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『逃げ場なんて無い』
tg視点
tg …しおたん、誰か来た……よね?
震える声で、俺は尋ねた。
ドアの前。ノブの向こうに、誰かが――いた、はずだった。
so そうかもね
しおたんは優しく微笑んで、俺の頭をなでた。
その手があったかくて、でも背筋はぞくっとする。
so 開けてみようか
tg え……?
so だって、ちぐちん、気になるでしょ?
so 誰が来たのか……外、見たい?
俺の手をとって、しおたんはゆっくり立ち上がった。
扉の前まで来て、鍵に指をかける。
カチリ。
tg っっ!
緊張で、喉がからっぽになる。
でもしおたんは、まるで普通のことのようにドアを開いた。
ギィ――
ゆっくり開かれた扉の向こう。
そこには――
誰もいなかった。
静寂。
風が吹き込んできて、カーテンが揺れる。
目の前には、ただの玄関と、小さな庭と、塀と……何も、いない。
tg え…? さっき、ノック、したよね?
so したよ
しおたんが、俺の耳元で囁いた。
so ちぐちんには、聞こえたんでしょ?
tg え、でも…誰も、いな…っ
so ほらね、逃げ場所なんて、どこにもなかったでしょ?
――ドアが、バタン、と閉まった。
鍵の音。
背中に、しおたんの腕。
逃げ場のない、あたたかい檻。
so 次は……ちぐちんの番、だよ?
♡▸︎▹︎▸︎▹︎6000
ごめんなさい🙏
次回完結ですっ.ᐟ
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