コメント
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私は曲そんな聞かないんで分かんないですけど めっちゃ合ってました、!!! かんおさんの表現力のおかげかもしれませんけど、凄かったです!
最近ョピが可愛すぎてえぐい(語彙力)
⚠︎これはwrwrd様の名前をお借りした二次創作です。ご本人様とは一切関係ございません。
⚠︎BLです。苦手な人はブラウザバック。閲覧は自己責任でお願いします!
堅気
…
朝、目覚ましの音と、風が吹いて靡いたカーテンが頬を撫でて起きた。
窓を開けっぱなしにして寝てしまっていたらしい。そのおかげで部屋がずいぶんと湿気ている。
外はまだ薄暗く、早朝だとわかる。
「ん…おはよだいせんせ……」
寝起きでしょぼくれた目で辺りを緩やかに見渡し、恋人におはようと言葉をかける。
いや、結果的にはその言葉は恋人には届かなかった。
恋人の姿がそこにはなかった。
冷水を浴びたかのような気持ちになり、目が覚める。
ああ、そうだ。そうだった。
昨日、俺たちは別れたんだ。
「なあゾム、別れよ」
突然告げられたたったひと言。
その衝撃はあまりに強くて、何を言われたのか理解するまでにしばらく時間がかかった。
「なん、な、」
「すまん、僕が距離を置きたいんや」
がつん、と、頭を殴られたような。
なあ大先生、俺、お前のことが好きなんだ。大好きなんだ。だから、別れるだなんてそんなこと…。
「ごめ、俺何かやった?なおすから、やから、」
「……ちゃうねん、ゾムは悪くない」
何か思い詰めたような顔で言う大先生のその気持ちはきっといつまでもわからない。
気を遣って「悪くない」って言ってるだけで、本当は俺に原因があるのかもしれない。
その日のうちに大先生は家から出て行った。
特に大した荷物もないから、出て行くのは楽だったのだろう。
追いかけられなかった。拒絶されるのが、怖くて。家から出られなかった。
よく寝坊して、撮影に遅れる大先生を起こすために、少し早めに設定してある目覚まし時計の音が鬱陶しくて、投げやりにボタンを押して止める。こんなのもう意味なんてない。
風でまたカーテンが揺れて、ベランダが覗く。
タバコが嫌いな俺を気遣って、吸う時はベランダに行ってくれていた。…まあ、そのおかげでベランダにはタバコのにおいがこびりついてしまっているのだけど。
部屋の中にいない時は、いつもベランダにいた。
もう、そこには誰もいない。
タバコの煙たさも、においも、大先生自身も、そこにはいない。
鼻がつんとして、涙が溜まってきた。
大先生は俺の特別な人だった。
眠いときほんのり体温が上がることも、キスは短めな方が好きだってことも、大先生以外は誰も知らない。
…あれ?
「……俺は大先生のこと、どれくらい知ってんねやろ。……大先生、何が好きなんやっけ」
パッと思いついたのは、キャスターの名前。
大先生が、いちばん好きなタバコの銘柄。
俺がもっと、もっと自分から大先生のことを知ろうとしていれば、何か変わっていただろうか。わからない。わからない、けど、きっと今と状況は少し違っていたんじゃないだろうか。
大先生の好きなものを好きになろうとしていれば、もっと何か変わっていたんじゃないだろうか。
考えたって無駄なのはわかる。
けど、それを考えずしていったい何を思えばいい。
ふと視界の端に、大先生が置いていったタバコが見えた。
何を思ったか、それを手に取り、中に入っているものを一本取り出す。
ライターで火をつけて口に咥えれば、そのまま息を吸い込んだ。
「ッゲホ、ゔ、ぇふっ」
まずい。
ただそれだけなのに、その気持ちが虚しくて、涙が止まらない。
ベランダで吸えばよかった。
部屋の中にはタバコの煙もにおいも充満していて、しばらくは収まらないだろう。
大先生の、…いなくなった元恋人のにおいに包まれて早朝、布団に埋もれて静かに泣いた
…
読んでる最中に「ん?」と思った人いるかもしれません。
曲パロでした。
コレサワさまの「たばこ」と言う曲でして…ずっと前から好きな曲なんですけど、ふとこの曲脅威に合うな…と思ったらもう書いてました。
こう言う感じの曲って他に何かありますかね