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さて、相手は妖精族の子供ではあるがここに立ってる時点で実力は確かなわけだ。しかもこの子供たちほかの妖精族と比べてつかう武器が杖じゃなくてしっかりと剣と弓を使うあたり魔法だけに頼ってる妖精族とは思えないな。ルナベルの話だと妖精族は魔法に長けているから武器自体持たないって話だったがこの子たちはそれを見越してすでに持っているのか?どんな理由であれ自分たちで武器を持つという選択をしているあたり賢さも俺よりは上だな、うん。

これ俺が本格的に必要か怪しいな。マジで、何もできなくて俺退場しそう……。

「ルナベルおねぇちゃん。あの二人強いよね?」

「そうね、しかもだいぶ強いでしょうね。自分たちで武器を持つっていう選択をしているから少なくてもその辺のへっぽこ冒険者の剣術よりは練度が高いと思っていいかも」

「それは暗に俺をバカにしてるのか?」

「その自覚があるならもっと頑張りなさい」

「頑張った結果これなんだよ言わせんな」

「それじゃあ前話した通り肉壁よろしく」

「嬉々としてやるやついねぇから…」

ミナルたちがそんな雑談をしている時二人の少女もまた、作戦の確認をしていた。

「相手は三人だけど一人はてんで話にならないからマークからは外してもいいと思う。とはいえガン無視は絶対だめだ。頭の片隅にそんなのいたなぁ位でもいいから少しは意識を割いておけ。」

「うん分かってるよ!」

「気を付けるのはあの背の高い女の人。鎧を着こんでちょっと大きな盾を持つあの人、見た目からして前衛職だと思うから私らの物理攻撃は効かないと思う。かといって魔法もいっぱい使えばこっちが不利になるかもしれない。」

「でも相手は人間だよ?私達より魔力量も少ないし見た感じ魔法使えそうなのいないからおっきい魔法を使えば片付くって!」

「あんたの言い分も分かるけど冷静に考えて?この妖精族が勝てば自分たちは出ていくっていう申し出をしてきたのは人間側なの。つまり私らに勝てる見込みがあって妖精族に喧嘩を売ってきてる。だからそういった大技の潰し方も知ってるかもしれないし、知らなくても逆に利用されるかもしれないリスクがあるの。だから大技は基本控えて、返す術がないって確証を得たら使うことにして。」

「うん!分かった!!」

「で、問題はあの子。人間の子供。」

「私達と同じくらいの女の子だね!」

「あの子が何をしてくるかわからない。見た感じ弓を持ってるから後方支援なんだろうけどただの弓使いならここに立ってないだろうからきっと何かしらのとっておきがあると思う。」

「それじゃあ一番警戒するのはあの子?」

「そうだね。優先順位はあの女の子→背の高い女の人→一般男性の順だね。」

「基本攻撃は連射が効く低級の魔法と弓でいいかな?」

「一旦それでいこう。確実に相手はあの女の人が盾を使って守るからね。」

話がまとまったのと同時に大妖精が試合開始の合図を出す。雑談をしていたミナル達だが試合が始まった途端みな顔つきが変わる。基本のフォーメーションは前衛にルナベルが立ち、彼女を盾にするようにしてミナルが武器を構え最後尾にマリンが魔法による援護を行うという陣形だ。

「彼女らがなにするかわからないけど十中八九魔法は使ってくるからミナル死なないように気を付けてね?」

「気を付けてもステータス的に一撃貰えばお陀仏できちゃうんだよねぇ。」

「この戦闘に置いてあんたはそんなに重要じゃないから最悪真っ先にやられても問題ない。」

「ひっどいこと言うなぁこの人……。俺じゃなければ泣いてるからな?」

「言ってないで何とかして成果出しなさいよ?」

「善処しまーす。」

と、言ったはいいが俺ができることって本当に何もないけど……。まぁ強いて言えば何もセンスがないって気が付く過程でいろんな職に触ってきたから中途半端に知識はあるし観察眼も優れてる……と思いたい。だからこれを使えば戦闘が少しくらいは有利になるだろうから俺はとにかく生き延びて少しでも情報を与える方に専念しよう。攻防はルナベルとマリンちゃんに任せるしかないのが情けないんだけどな。

「まずは様子見でこいつを喰らえ!」

無詠唱による火の玉を複数作り出してルナベル目掛けて放つ。

「やはり魔法を使うのが妖精族だな。しかし牽制用の攻撃にしては私らをなめているな。」

飛んでくる火球に対してルナベルは盾ではなく剣で斬り捨てる。

「…なるほど?あなたの剣は並大抵のものではないのか?」

「そうね。この里を守るっていう動機がどれだけ不純でも元の肩書は血気騎士団の部隊長だったんだからこれくらいの魔法による攻撃は日常茶飯事で剣で斬れないと困る場面もいくつかあったんだから。」

「やっぱり楽には倒せないよね。けどそれは大方予想はついてた。目的はあんたじゃなくてその後ろにいる彼女だ!」

「なに!?」

火球を囮にしてその後ろから複数の矢が放たれておりそれらは意志を持っているかのように動きマリン目掛けて飛んでいく。

「しまった!火球に気を取られていた…!?」

「私は剣よりも弓の方が扱い上手いんだから!」

この攻撃は風魔法を応用した誘導の矢か?今の俺の剣術じゃあ全部を壊すことはできない……。けど、壊せないなら!

「ミナル!体張って守りなさい!!」

「言われなくてもそうする予定だわ!」

そういいマリンの前に立ち飛んでくる矢を剣でいなし取り逃した分は体で抑える。

「いっっっっっ……たぁぁぁぁぁ!!?」

「ミナルお兄ちゃん!?」

「超痛いんですけどこの矢!?風魔法を纏ってるだけでこんなに威力上がるんだねぇ!!?」

嘆くミナルをみて矢を射った少女が疑問を抱きもう一人の少女に問いかける。

「……?おねえちゃんあの人私の矢の正体を一瞬で見極めたよ。」

「魔法の応用を簡単に見抜いたのか?だが、それでいてなぜ肉体で止めにいたんだ?風の矢を使ってきたならこちらも風を使えば気流が変わり避けることも容易だったのに……。」

「何かあるのかな?」

「分からないが、それでもあの矢を受けたんだ。満足には動けないだろう。」

「よく身を挺してマリアちゃんを守ってくれた。」

「死ぬほど痛いんだけどね!?」

「コラテラルダメージだ。問題ない。」

「俺は道具か何かなのか?」

「これからやろうとしてる策にはマリンちゃんの罠魔法が必要だ。できれば無傷で罠セットくらいはしたい。」

「その過程で俺がどうなってもいいのは納得いかないがな?」

「とにかく次はこちらの番だ。マリンちゃん準備は大丈夫?」

「うん!いつでも大丈夫だよ!!」

「それじゃあ展開して頂戴。」

ルナベルのその一言の後フィールド内にいくつもの魔方陣が描かれすぐに消える。

「今の魔方陣は……。」

「なんか嫌な予感がするよおねぇちゃん。」

「迂闊に動けないけどこっちは魔法による遠距離攻撃がある。むしろ相手が自ら動けなくなったみたいなもんだから臆せず魔法を使っていこう。」

「わかった!!」

一人は変わらず火球を連打しルナベルの動きを封じ続け、もう一人はマリンを隙があればこちらも同じように魔法で狙っていく。

(流石に二人分の攻撃を私一人で捌けるわけでないが、かと言ってミナルがマリンちゃんを守れるかといえば無理だろう。全てが平均以下のアイツでは自分の体を使っての防御になるから先にミナルが壊れてしまう。となるとマリンちゃん自身が何とかしないといけないが罠魔法をメインで扱いたいから余計な魔力の消費は避けたい。ミナルがもう少し頑張って貰えたら私にだけ負担が掛からなくて済むんだけどなぁ…。)

「戦力的にアンタが大半を担ってるなら崩すのも容易いな!」

ルナベルを抑えている彼女の後ろからもう1人の少女が現れルナベルを狙うとフェイントをかけてマリンを狙っていく。

「これはマズイな…。」

「まずはその子を狩らせてもらう!」

幾つもの火球がマリン目掛けて飛んでいく。

「なら俺がもっかい体を張って守る!」

可能な限り飛んでくる火球を剣でかき消し取り逃したぶんは自分の体で受け止めマリンを死守する。

「ガハッ……。さ、さすがに凡人以下の俺にはどれも致命傷レベルなんだな………。」

「ミナルお兄ちゃん!!?」

限界まで耐えたあとミナルはそのまま床に倒れ込む。

「結果的に人数を減らせたのは良かったな。まぁ、アレは居てもいなくても変わらな…。」

「お、おねぇちゃん!!後ろの子の様子が変だよ!?」

自身を守って倒れたミナルを間近で見たマリンは自身の非力さを恨み怒り、その負の感情が増幅し彼女自身の潜在能力が底上げされていく。

「ミナル…お兄ちゃん……。私のせいで、私のせいで!!」

「マリンちゃん落ち着きなさい!そこのバカは死んじゃいないわ!ただ気を失ってるだけだから冷静さを保ちなさい!」

「大丈夫ルナベルお姉ちゃん…。私これでも冷静だから……。」

そういい弓を構えた瞬間ミナルを攻撃した少女が何か強い衝撃を受け後方に飛ばされる。

(今のは…。さっき見せた矢に風魔法を纏わせるのとは別で、魔力そのものを飛ばしてきたの?しかもただ放つんじゃなくて弓を使う事で少しでも火力をあげるだけでなく、ほかの攻撃かもしれないという『択』を取らせてきた……。一体この子は何者なの?本当に人の子なの?)

「そこ…危ないよ?」

「なに?」

次の瞬間床から土の棘が生えてくるも間一髪でそれを避ける。

(こんなとこに魔法を撃ってきた!?いや違う…。これは『罠魔法』とか言うやつだ。使う人物が少数すぎて存在感も薄れてる上にそもそもそれ特化の人物なんて滅多に居ないから思考から外れてたけどこの子はその希少な人物『罠魔法』を得意としてる人物か。さっき見せたアレはブラフでそこ以外にも罠が掛けられてるだろう。)

「ミナルお兄ちゃん以上に…苦しんでもらうからみんな。」

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