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#読み切り
登場人物
私: 慎重で真面目な性格。日々の生活の中で小さな癒やしを求めている女性。
女の子: 自由で無邪気、どこか核心を突くような不思議な雰囲気を持つ少女。
私: (モノローグ)傘をさして、いつもの街を歩く。落ち込んだ日、息が少し重い日、決まって向かう場所がある。
私: (モノローグ)この街に引っ越してきたばかりの頃。私が偶然入った、小さな光の店——手作りのアクセサリーや、磨かれた鉱石が並ぶ、静かな空間だ。
私: (モノローグ)品のある店主が営むその店は、眺めているだけで気持ちがすっと軽くなる。新しい人生を始めた自分へのごほうびに、いつかここでひとつ、小さな“きらめき”を選ぼう。そう決めていた。
私: (ショーケースを眺めながら)……。
私: (モノローグ)今日もショーケースの前に立ち、きらめきをぼんやり眺めていると——隣に、見慣れない女の子が立っていた。理由は分からないけれど、きっと彼女もこのきらめきに惹かれて来たのだろう。
私: (モノローグ)しばらく二人で並んで眺めていると、女の子がくるっとこちらを向いた。
女の子: おねーさん、これ欲しいの?
私: (ふふ、と思わず笑って)うん。これを手に入れるのが、今の目標かな。
女の子: (足元の石を拾い上げ、内緒話のように)……これでガラスをトントンしたら、すぐ取れるよ?
私: (慌てて)だ、だめだよ! そんなことしたら、お店の人が困っちゃうから。
女の子: (腕をつかまれたまま、くすっと笑って)おねーさんの“欲しい気持ち”って、そのショーケースの中に閉じ込められてるんだね。
私: (ハッとして息をのむ)……!
女の子: きっと、大人になる間に誰かに“自由が飛んで行った”んだよ。本当はもっと自由に手を伸ばしてよかったはずなのにね。
私: (モノローグ)雨音が静かに響く中、ショーケースの向こうで光る“きらめき”よりも——女の子の言葉の方が、ずっと鮮やかに胸に残った。