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不器用な恋のお話

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不器用な恋のお話

1 - 第1話

♥

1,010

2023年09月21日

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「ねぇ、教科書見せてくんない?」

その何気ない一言から、君は俺に話しかけてくるようになった。でもそれは一方的に、で。

「yanくん!一緒に帰ろ!」

「…無理」

俺は逆に、彼女を遠ざけるように避けていた。

自分でも、他の人から見ても、十分に分かりやすかったと思う。彼女と話す時は大体「無理」とか「だるい」とかネガティブな発言ばっかりだし、すぐに終わらせたい気持ちを、行動にわざと出していた。これだけ嫌な態度を取られたら、普通は話したくなんてない…のに

「yanくん!勉強教えてくんない!?中間の範囲が全く分かんなくてさ〜」

「…」

「…ちょっと、yanくん聞いてる?」

「……は?」

なんで…?なんでまだ俺に絡んでくるわけ?あんだけ嫌な態度取ってたのに。わざと早めて歩いていた足を止める。俺の隣に立つ彼女は、期待する眼差しで俺を見上げてきている。その姿に、いつもしつこいぐらいに話しかけている姿に、すでに腹が立っていたのか、

「お前まじでしつこい、俺が迷惑がってんのいい加減気づけよ」

「…え?」

「もう喋りかけんな」

なんて、口に出した時にはもう遅かった。廊下を歩いていた何人かは俺のこと見てきたし、俺自身この空間に居づらくなってしまって、彼女の反応も見ずに走って家まで逃げてしまった。

ガチャ、と玄関のドアを開き、一番に自分の部屋へ向かう。鞄を投げやりに床に置き、そのままベッドに倒れ込む。

「……はぁ」

やっぱり言い過ぎたか?と今になって反省する。彼女の反応は見ていないけど、自分でもだいぶ言ってやったつもりだ。でも、これぐらいしないと彼女に、俺が迷惑してること伝わんないし。

「……寝よ」

頭の中でぐるぐると考えてみたが、最終的には、もうどうでも良くなってしまって考えるのをやめた。時刻はとっくに24時を回っている。そろそろ寝なければ。明日からは彼女は話しかけてこないだろうか?そんな不安を抱いて机のライトを消した。

次の日

電車に揺られ、自転車を漕いで、学校へ行く。玄関で靴を変え、階段を登って教室へ向かう。ここまでは全ていつもの日常。

でも教室に着くといつも「おはよう」と声を掛けてくる彼女は、楽しく友達と談笑している。「やった!」と思ったのと同時に、なぜかそれを寂しく思う自分がいる。

……いやいや、なんでちょっと寂しがってんの。たくさんゲームできるし、のんびり学校生活を送れる。……全部俺が、望んでたことじゃん。

そんなことを考えているとあっという間に放課後になっていた。etさんの方をチラリと見ると彼女もこちらを見ていたらしく、目がパッチリと合う。

心臓が大きく跳ねる。

彼女は何かを言いたそうにしていたが、俺はその反応を無視するように、鞄を掴み、スタスタと早足でその場を離れた。

「待って!」

聞き慣れた声。俺は思わず足を止めた。

「…今まで、ごめん。私、迷惑だったなんて知らなくてずっとyanくんに話しかけてた。」

…さすがに受け止めてくれているのか、俺の言葉。いつもより気弱に話す彼女に、なんだか申し訳なくなって、ゆっくりと振り返る。

「…でも!お願い!一回だけでいいから!勉強教えてくんない!?」

パチンッと両手を合わせてお願いする素振りを見せてくる。

「……は?」

前言撤回。やっぱこの人うざい。彼女に少しでも申し訳なく思った自分が馬鹿だと思えてきた。

「うざっ」と彼女に言い残すと、すばやく玄関へ向かう。それでもetさんは「一回だけでいいから勉強教えて」と耳にタコができるほど俺を誘ってきたので、

「一回だけなら」と言ってしまった。


※ ※ ※ ※ ※ ※


意外な事にも、etさんとの勉強会は楽しいと思えた。俺自身、勉強を教えるのはそんなに得意じゃないけどetさんは、

「あー!そーいうこと!?」「なるほど!」

なんて、嬉しい相槌を打ってくれる。

…それに、etさんの前だと、素の自分で居られる。…いや、彼女にはいつもそっけない態度だったし、それが1番楽だったからか。だから今も

「そんなの頭使えばすぐわかるだろ」

…なんて、突き放すような言い方をする。 でも、etさんは

「は?分かんないから聞いてんでしょ」

って笑いながら俺の方を見てくる。ふにゃり、と笑顔を見せてくるetさんが、いつもは「うざい」と少しイラッとするのに、今日は、その笑顔が

…可愛い

と、思ってしまった。

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コメント

2

ユーザー

すごく面白いです! 主さん天才ですね(๑•̀ㅁ•́ฅ✨ 続き楽しみです(*´艸`)

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