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第一章:ヴィヤーグラの生い立ち
舞台は1950年代バーラトにあるグジャラート州にあるジャングル。湿気が漂い、滑り気(ぬめり)が強かった。
そこでベンガルトラのメスが木の下で一頭のホワイトタイガーのカブを出産したが、色が白いせいで狩りに支障をきたすと思ったのかすぐに見捨ててしまった。
※カブとはライオンやトラの赤ちゃんの英語表現です。
その手のヒラ程小さいホワイトタイガーはただ母親の体温の熱と、濃い湿気を含んだ土の匂い、そしてミルクを探す本能的な口の動きでひたすらか細い、しかし鋭いピーピーという高音の鳴き声を上げるしかなかった。
その時一人のサングラスをしているアルビノ持ちの青年がたまたま通りかかり、一頭の白いカブタイガーを拾い上げて職場であるサーカス団まで連れに行くのだった。その青年の名はチャンドラ・グプタだった。
チャンドラ「なんて可哀想な赤ちゃんトラ…その子をヴィヤーグラと名付けよう」と抱き上げるのだった。
それから6ヶ月後。
チャンドラはサーカス団から虎の飼育を任された。
猫じゃらしを使ってヴィヤーグラを可愛がった時、こう呟いた。
チャンドラ「可愛い子猫。やっぱりトラって懐けば大きい猫だから、なんだか余計可愛く見えちゃう.と
ヴィヤーグラは猫じゃらしを見て、ネコ科特有の残酷な捕食本能が現れて、人間からすれば可愛く見えても、いかにも子どもながらも獲物を狙う動きをしていた。
ヴィヤーグラの心の声「パパ…僕は本当に子猫に見えるの?僕がヒューミーに飼われてるネコみたいだなんて…なんで僕はトラとして生まれてしまったの?なんでイエネコじゃないの?」と悩みながらも本能に抗えず、猫じゃらしを追いかけ回すしかなかった。
一週間後、ヴィヤーグラは育ての親であるチャンドラにまたたびやその枝をたくさんプレゼントされた。
ヴィヤーグラは好奇心で匂いを嗅ぐと酒に酔うかのような感覚に陥り、背中をすりすりと擦りつけるようになった。なぜかと言うとまたたびの主成分であるネペタラクトールが脳神経に作用して引き起こされるためだった。
ヴィヤーグラの心の声「なんて気持ちいいんだ…」と。その後枝を牙で噛み続け、虫除け成分の放出量が爆発的に増えてさらに効果が高まった。
チャンドラ「アハハハ…やっぱりネコみたい…」と呟いた。
その後ヴィヤーグラが「ギャーオッ!ギャーオ!」と餌をねだり、チャンドラは檻の外から鶏の骨つき肉を与えた。
ヴィヤーグラは無我夢中に食べ続けた。
チャンドラはヴィヤーグラを見ながらこう言った。「僕は子どもの頃、アルビノで周りからいじめられてた。見ての通り白いだろう?まるで君みたいにね。しかも弱視で太陽が苦手でサングラスをしてる…でもなりたくて僕はそうなったんじゃない。でも大人になってサーカスで働いてから白い君を見つけて…それで君を育てるって決めたの。僕みたいな辛くて…悲しい人生を送ってほしくなくて…」と手で目の下を拭き、咽び泣くのだった。
ヴィヤーグラは泣いているチャンドラの方を向いた。
ヴィヤーグラの心の声「パパ…でも僕はママなんて知らないし顔も覚えてないよ…パパしか知らないし、まだ子どもだし野生のトラの生き方なんてわからないよ…」
それから5年後。
ヴィヤーグラは大人のオスのホワイトタイガー(人間年齢だと35歳)へと成長し、サーカスでは観客から拍手の声が聞かれ、大人気になった。目つきも鋭くなり、子トラの面影は一切なく逞しい体つきに成長した。
ヴィヤーグラの心の声「俺はなぜか心が満たされねぇ…本当の親を知らねぇで育っちまった..イエネコ同然に飼われて、複雑な気分になるのはなぜだ…」と。
いつも通りチャンドラは愛情を込めて檻の中に入った。餌をあげた後、弱視によるためなのか視界が不自由なせいで、うっかりヴィヤーグラの目の前で無防備に後ろを振り返り、背中を向けてしまった。
その時ヴィヤーグラは理性より、ネコ科特有の捕食本能が芽生えてしまい、チャンドラに襲いかかってしまった。
ヴィヤーグラが低い声で「ロアー!!」と咆哮して前足の爪でチャンドラの背中を引っ掻いてしまった。多量の血が生々しく飛び散った。
そして激しく暴れ、チャンドラの首を大きな牙で仕留めて、一瞬で息絶えた。
ヴィヤーグラの心の声「嘘だろ…俺…なんてことをしてしまったんだ…なんでパパを殺したんだ…本能には勝てねぇってのか…謝っても謝っても償いきれねぇ…」と悲しく、罪悪感に苛まれてしまった。
そして人間たちに知られてしまい、危険な猛獣と言うレッテルを貼られたヴィヤーグラは殺されるかも知れないと、ただひたすら野生へ逃げるしかなかったのだった。
ヴィヤーグラはひたすらトラ特有のしなやかな体と体格の良さも相まって何とか湿っているジャングルへと辿り着いた。
ヴィヤーグラはこの白い見た目のせいでシカやレイヨウと言った草食動物には逃げられてしまい、なかなか狩りができなかった。
木の上にいる同じネコ科のバーラトヒョウも「アイツは白いベンガルトラか..関わらない方が身のためだ」と警戒するように見渡していた。
コメント
5件
わあ第一章、一気に読んじゃったよ〜!!😭💕 ヴィヤーグラの生い立ちがもう切なくて切なくて…白いってだけで見捨てられるところから始まるの辛すぎる!! でもチャンドラが拾って愛情注いでくれて、2人の絆がすごく温かかった…だからこそ、あの本能の暴走でチャンドラを襲っちゃうシーンが胸にグサグサ刺さったよ…「本能には勝てねぇ」って苦しむヴィヤーグラの心の声がリアルで辛い… 野生に逃げても白い姿で狩りもうまくいかなくて、すべてが報われない感じがたまらない…続きすごく気になる!!🐯✨