…目を覚ました場所は暗い箱の中のようなところだった。
俺、ちゃんと自分の部屋で寝たんだけどなぁ…。
起き上がろうとするが、手足が鎖で繋がれていて動かない。
すると、革靴の音が響き始めた。
…俺が最も恐れていたもの。
それが、父という〈存在〉だった。
:ここでこのストーリーでの父さんと母さんの姿紹介!:
これが父さんです。ここのボス。名前は花垣景章(はながきかげあき)です。
この家系を繋げていくなら息子・娘を拷問したり先代を殺したりするえげつない人です。
これが母さんです。現在35歳です。名前は花垣レイアです。外国人とのハーフでもあります。
めっちゃ気さくで美人です。サイコパスですが…。あと、武道と話すのは基本こっち。
:主が失礼しました!:
父は俺の前に現れたとたん、何もなしに銃をこっちに向けて…
発砲した。
右腕に銃弾が刺さる。痛くて声を上げたかったが、口を何かで縛られているから騒げない。
父は続けて左腕にも銃を撃つ。
情けも何もなしに、四肢を撃っていく。
…どこでマイキーくんの事がバレてしまったのかはわからない。
けど、今は痛みに耐えるしかなかった。
銃弾を十数発ほど浴びた後、父はペンチを持ってきた。
そして、爪にペンチを挟むと、人力で俺の爪を剥がした。
感じたこともない痛みが電撃のように走る。
泣くことをずっと我慢していたが、これに耐えられるほどのメンタルは持ってなかった。
俺の目から涙があふれる。
すると、俺と同じ色の目が父の顔隠しの間から覗く。
そして、銃弾を撃って強制的に泣き止ませた。
そして、また爪を剥ぐ。
この地獄の所業を十回ほど繰り返された。
父がやっとペンチを片付けた後、持ってきたのはわけのわからないものだった。
…俺のナイフ。しかもご丁寧に二本。
そして、そのナイフを父は
粉々に折った。
そして、その粉を俺の顔に降らし始めた。
咄嗟に目を閉じたから失明はしなかったものの、顔のいたるところから血が出ていることは感覚で分かった。
父は、そのままの流れで俺の指を逆方向に折った。
そして、その指をまたもとに戻す。
それを手のすべての指に、5往復。
関節の外れる音が数回鳴った。
その度に、父は力づくで関節をはめる。
もう、痛みに耐えるとかじゃない。
これは、俺の間違いで起きたこと。
だから、俺は任務通り、ターゲットを殺害すればこれは終わる。
…この時、俺は…
人の感情を、初めて捨てた。
結局、俺がしたいことが分かったのか、すぐに拷問の手を止め、「明日にしろ」と命令された。
俺は、少しおぼつかない足取りで、部屋に戻る。
すると、任務報告に訪れたのか、アッくんとすれ違った。
アッくんは「大丈夫かタケミチ!?」と心配してくれていたが、返事をする気力はもう残っていない。
そのあと、アッくんはひとりで何かつぶやいたあと、「とりあえず千冬とお前の母さん呼んでくる!」と言って駆けだした。
俺は、もう動く力すら残ってなかった。
ゆっくり、その場に座り込む。
息も絶え絶えで、血を吐くしか能がなくなったかのようだった。
千冬は案外早く来た。
そして、俺に話しかける。
「相棒!返事しろよ!おい!!!!」
…こんな状態で返事ができるわけない。
だから、小さくうなずき返した。
千冬の目には、綺麗なハイライトがのっかっていた。
「泣くなよ、千冬…。」
俺は力を振り絞って、そう口にした。
お前が泣いて、今度はお前がこうなったらどうするんだよ…。
そう言う力は、もう残ってなかった。
千冬side
「泣くなよ、千冬…。」
そう言って、相棒はだんだんと目を閉じていく。
死ぬんじゃねえよ…死なねえだろ…?まだ…。
ただ意識が無くなっているだけなのに、俺は虚無になった気がした。
まだ…生きるだろ…?
この状況で、俺は場地さんの死に際を思い出す。
『半分コ…な…?』
自然と手に力が入る。
相棒まで…俺を置いていくなよ…。
もう…
俺を一人にしないでくれ…。
:武道sideに戻ります:
…目を覚ましたところは、俺の部屋のベッドだった。
すぐ横を向き、時間を確認しようとすると、誰かが時間を教えてくれた。
「今は6時半よ、午後の。」
後ろから声がする。咄嗟に後ろを向くと、母さんと千冬がいた。
しかし、なぜか千冬は母さんに寄りかかっている。
なんだ、俺の母を盗ろうってか?
「あ、ちふちゃんは泣き疲れて寝ちゃってるから静かに、ね?」
そう、母さんは口にする。
なーんだ、だから、千冬は母さんに寄りかかってたのか。
自分の手を見ると、包帯がぐるぐる巻きになっていた。
「全く…景章もひどいことするわね…ま、そこが好きなんだけど♡」
母さんは、またえげつないことを言う。
「縁起でもないこと言うなよ母さん…。」
そう、あきれた返事をする。
「あ、そうそう、ユズちゃん来てたよ。なんでも、情報を整理しに来たとか。」
ユズちゃん…?誰…。
「うちにそんな人いたっけ…?」
俺はそう返す。
母さんは「そっか!」という顔をして、俺に教えてくれた。
「ユズちゃん、名簿にいなかったもんね。ほら、八戒のお姉ちゃん。」
うーんと…と母さんはうなりだす。
あだ名で呼びすぎて名前を忘れたらしい。
俺は、名前を憶えてたから、言ってみる。
「柴柚葉…?」
「そう!それ!」
え…え!?
柚葉いたの!?
じゃあ、この前のあの人は…柚葉!?
全くイメージなかった…。
俺は声を漏らす。
母さんはクスッと笑った。
「明日、掃除に行くならもう今日は寝ときなさい。ケガ治らないよ。」
こんな時だけ母さん面。
少しうんざりだったが、まあ、いっか。
「わかった、おやすみ。」
母さんは、「いい夢を」と言って、まだ寝てる千冬を抱いて部屋を出た。
俺は、目を閉じて、眠りについた…。
マイキー殺害まで あと ?????????????????????????
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