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涼ちゃんと手をつなぎたい。
そう書いたけど、そんなことは叶うんだろうか。いつも距離感の近い俺たちだけど、改めて手を繋ぐなんてことはそうそうないだろうな、と思っていた。
今日は仕事で大きめのワンボックス車で撮影スタジオまで移動があって、俺は涼ちゃんの隣に座った。
「昨日のありがと、早速使ってる」
そうお礼を言うと涼ちゃんはにこっと笑ってくれる。
いつもその笑顔に救われて、その笑顔にドキドキしてしまう。
そして手を繋ぐということが叶うかもしれない、と俺はその少しの期待からも更にドキドキしていた。
少しそのことばかり考えて上の空だったのかもしれない。
車から降りる瞬間、足元がふらついて段差を踏み外しそうになる。
「うわっ···」
その瞬間、涼ちゃんの手が俺の手を引っ張ってくれて、なんとか体勢を崩さずに済む。
「元貴大丈夫?珍しいね、ふらついた?」
俺の手を離さずに涼ちゃんも後ろから降りてきて、心配そうに俺を見つめる。
「クラクラした?寝不足とか?」
「ううん、大丈夫···ちょっとぼんやりしちゃった、涼ちゃんのおかげで助かったよ」
「ほんとに?無理しちゃだめだよ···。はら、手繋いでいこうよ、またふらついたら大変だから」
そうして繋いだ手をしっかりと握ると涼ちゃんが手をひいてくれる。
「ありがとう···」
叶った望みは想像以上の幸せを俺に与えてくれた。涼ちゃんの少し冷たい柔らかな手が俺の手を握ってくれている。
他の人になんて思われてもいい。
俺は今、とっても幸せだった。
そして俺はほんの少しづつあのノートに書くことが、どこまでか分からないけど叶っていくんじゃないか、と思い込み始めていた。
「ただいま」
誰もいない部屋だけど一応そうやって声には出してみる。そしてソファに座りあのノートの新しいページを今日も開いた。
不思議な事にそこに書きたい内容は涼ちゃんのことしか思い浮かばなくて、願いを考えている=同時に涼ちゃんのことを考えている時間だった。
「そう思うと願いって尽きないな···」
今日触れた涼ちゃんの手の感触が忘れられない。
本当に俺を心配してくれてスタジオに入るまでずっと手を繋いでくれていた。
途中、若井になにしてるの、と言われても涼ちゃんはいいでしょって笑って俺の手を離さなかった。
願い、が少し欲深くなっていくのが少し怖い。一度叶うとそれ以上を求めてしまう。
「···でも、偶然かもしれないし」
そう自分で言って、明日のことを考えた。明日は少し遠いところでイベントなので夜は泊まり。
もし、叶うなら。
俺はこれを願ってもいいのかな。
“涼ちゃんと一緒に眠りたい”
これがどんな形で叶うか、もしくは叶わないかもしれない。
叶っても移動中の車で寝るのもある意味当てはまっているわけだし。
けどもしこのノートがホンモノなら···わかるよね?と軽く表情をトン、と指で叩いた。
コメント
5件
わー元貴かわいい✨️ でもどんどん願いがさ、大きくなっていっちゃうよね🤭どんなお願いになるか、めっちゃ期待してます!
一回味わってしまうとね、もっともっとってなっちゃいますよね···☺️❤️ いつもありがとうございます、やる気出まくります!
これめっちゃ分かる!特に付き合いたての頃とかさ会えるだけで幸せ♡だったのが、もっと一緒にいたいとか、ボディタッチしたいとか、どんどん欲深くハマってくんだよね。 共感できすぎて一人で♡500押しましたわニパァッ(*´ω`*)ドヤッ!