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#学園
大正
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裏五条
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異世界・ゴラスペでの戦いも終結。
かつてない強者だった5番パウロ・オリベイラだったが、相手が悪すぎた。
ちなみに、そのパウロと副官の19番は逆神みつ子に砂の中から引きずり出され釣り上げられたところである。
「みつ子さん、あたしがやろうかいね?」
「いんや、あたしに任せぇさんよ!!」
「……あたしがやろういね。一瞬で終わらせるけぇ」
やる気しかない呉の老人会。
サーベイランスがヨロヨロと南雲の周りを飛び回る。
山根健斗オペレーターが上官に意見具申するためであった。
『南雲さん! まずいっすよ! 敵の幹部にトドメ刺しちゃ!! どうするんですか、報告書! そもそも、逆神くんのおばあさんたちの事をどう報告するんですか!?』
「色々と言うなよ! 私だって困ってるんだよ! みつ子さんの手からどうやって5番を奪えばいいのさ!? 私の命も道すがら奪われるわい!! あと、おばあ様たちの事を報告できる訳ないでしょうが!! すぐに国協が動くよ!! 命の恩人だぞ!!」
『そう言うと思って、既に老人会の皆さんのデータは消しときました』
「君は本当に優秀だな。その優秀さを見込んで頼みがある。みつ子さんを説得してきてくれ。君、サーベイランスだから死なないじゃないか」
先ほどまで「数百万するから!!」と必死に守っていたサーベイランスを迷いなく捨て駒にする決断を下す南雲修一監察官。
理由は「私、この戦いが終わったら、結婚するんだ……。だからね、死にたくないの」だそうである。
そんなことをやっていると、みつ子が手のひらに溜めていた煌気を解き放った。
「さぁぁぁぁぁぁっ!! 『餓狼一心』!!」
「あああああ!! もうなんか! 最終奥義みたいな名前のスキルがぁぁぁぁ!! フィーネってあれでしょ! イタリア語で終わりって意味でしょ!? 山根くんが見てたアニメのラスボスの名前それだったもん!! 仕事中にアニメ見るなよ!! 今になって腹立ってきた!!」
5番と19番の体を煌気の塊が貫いた。
彼らは力なく倒れ伏す。
『南雲さん。知ってるっすか? 指揮官の最たる仕事は、部隊の責任を取る事っすよ』
「監察官の椅子がまた1つ空いたよ……。下柳さんは普通に裏切ったから、不祥事で辞職するのは私が初めてだよ……」
絶望に暮れる南雲を見て「なっはっは!」とみつ子が笑う。
南雲は「あ、ざまぁみろってことでしょうか?」とすぐに思った。
「南雲さんは優しいんやねぇ! さっきまでの敵を見て、顔色変えてから! 安心してええんよ! これでこの2人の煌気供給器官は回復したけぇね!」
「……椎名くん。塚地くん。逆神流の人ってさ、基本的に説明不足だよね?」
「うにゃー! あたしたちを巻き込まないで欲しいですにゃー!!」
「わたくし、あの方たちに盾突く度胸はありませんわよ。お独りでお逝きくださいませ」
南雲も命がけでチーム莉子を守ろうとしていたのに、圧倒的な力の前にはそんな些細な功績は一瞬で記憶から消えるらしかった。
ちょっとだけ薄情になったチーム莉子の成人乙女たち。
そこで節子と久恵が足りない部分を補足説明するべく立ち上がった。
「みつ子さんも大事な時に言葉が足りん人やけぇねぇ! この人ね、自分の煌気で無理やり人の煌気を回復させる事ができるんよ! あたしらもできるけど!」
「それぇね! このナイスミドルもやけど、ヤングの方はほとんど煌気が切れちょったからねぇ! みつ子さんが処置せんかったら、2度とスキル使えんようになっちょったんよ!!」
つまり、みつ子の『餓狼一心』は超荒療治の煌気回復スキル。
強力過ぎる煌気を対象にぶっこむことで、無理やり煌気供給を再開させると言う、凶悪な心臓マッサージのようなものである。
なお、呉の老人会は会員の8割が似たような回復スキルを身に付けている。
久恵、節子、よし恵も当然だが使用可能。
「うっぐ……! がはっ」
「ああ、良かったねぇ! ヤングボーイ気が付いたよ!! ナイスミドルは顔色が悪いねぇ」
「よし恵さん、ちぃと気合いれちゃってあげぇね!」
「……はいよ。『鮮血の一突』!」
よし恵さん。それは本当に回復スキルですか。
だが、19番も5番に続いて意識を取り戻す。
疑った者は速やかな謝罪をした方が賢明である。
『呉の鮮血の雨合羽』の異名は伊達ではない。
「ほいじゃあね、あたしら帰るけぇ! 南雲さんもあたしらが長居しちょったら困るやろう? ああ、言わんでもええよ! あたしら、空気読める年寄りじゃけぇね! なっはっは!!」
そう言うと、みつ子は『門』に煌気を注入する。
ちなみに六駆は転移先を変える度に新しい『門』を出すが、このように煌気を叩き込むことで強引に転移座標を変える事もできるのだ。
映りの悪いテレビをぶっ叩いて直す寸法である。
立ち去ろうとする呉の老人会。
だが、南雲はどうしても叫ばなければならない理由があった。
彼は指揮官として、監察官として、みつ子に異を唱えた。
紛れもない決死行でもあった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「み、みつ子さん!! すみません! 少しだけお待ちいただけませんか!?」
老婆たちが色めき立つ。
「あらぁ! みつ子さん、ほんとにモテるねぇ! この短時間で若いツバメを捕まえたんかいね!!」
「やめぇよ、節子さん! 南雲さんが照れちょるじゃろうがね!! なっはっは!!」
ちなみに南雲さんは顔色が真っ青なので、照れていないだろう事は明らかである。
「あの……。5番と19番を担いでお帰りになられるのですか?」
みつ子が5番を。
よし恵が19番をお持ち帰りしようとしていた。
敵の幹部を丸ごと持って帰られると、さすがに南雲も黙っていられない。
だが、みつ子はニィと歯を見せて言い切った。
「この子らはうちで預かることにしたんよ! なんかねぇ、後ろ向きなことばっかり言いよったやろ? 気の毒になってきてねぇ。うちで美味しいもんでも食べさせてから、自信つけさせてやりたいんよ!!」
「い、いえ、しかし!! アトミルカのナンバー5ですよ!? 危険が大きすぎます!!」
「ああ、平気やけぇ! あたしらに勝てるわけがなかろうがね! 何なら、ちぃと鍛えてやろうかいねぇって話しよったとこよ!!」
南雲修一。これ以上の言葉を発する事を諦める。
そして、呉の老人会は門の向こうに消えて行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「南雲さん、南雲さん。もしかして、すっごくまずいですにゃー?」
「でも、おばあ様たちがいらっしゃらなかったら、わたくしたち全員死んでましたわよ? これはもう、異議を唱えるのが筋違いですわ」
「みみみっ。芽衣は何も見てないし、何も聞いてないです! きっと、それが1番安全です! みみみみっ!!」
「……君たちの言う通りだ。……私たちは、どうにか5番を倒すことに成功した。そして、5番は戦いの最中に行方不明となり、生死の判別も付かず。そうだね?」
サーベイランスがやって来た。
『やだぁー! 南雲さんってば、逆神くんの事を隠してたのバレた時、五楼さんにむっちゃくちゃ怒られたの忘れたんですか? バカな人っすねー!!』
「やーまぁーねぇー!! やーめーろーよぉー!! 私だって苦渋の決断だよ!! と言うか、他に取れる選択肢なんて用意されてないじゃないか!!」
山根はそののち、「まあそうなると思ってたんで、既に改ざんした戦闘映像を本部の端末にぶっこんどいたっす!」と南雲に報告した。
「うん。そう。……なんで一回私を苦しめたの?」と聞く南雲に「自分なりの愛っすよ!」と舌を出す山根。
南雲修一はあまりにも厳しい戦いを終えて、考えを改めた。
「命があって、副官としょうもないやり取りができる。それ以上望むべくもないじゃないか」と。
見上げたゴラスペの空は、いつの間にか粉塵が晴れており澄んだ青をしていた。
コメント
1件
うわあ、今回も呉の老人会が大暴れでしたね!みつ子さんの「餓狼一心」がまさかの回復スキルってオチにはもう笑うしかなかったです。よし恵さんの「鮮血の一突」に至っては絶対回復じゃないだろってツッコミたくなりました(笑)。あと山根オペレーターの先回りっぷりが神がかってて、南雲さんとの掛け合いが毎回じわります。「自分なりの愛」って言い放つところ、最高でした。