テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「 気の利く彼 」
どうぞ !!!
ツーツーッとシャーペンと紙が擦る心地よい音が耳に入る。
今どきデジタルのご時世だからこそアナログでこなす仕事が倍楽しく感じる。
申請を通してもらう書類にサインをする前に注意事項とかもよく読む。
詐欺とかの場合だとよくわからない日本語とか使われている場合もあるからな。
桃「……っし、今度こそ頼む…!!」
そう、今読んでいた書類はライブの申請の書類だった。
今度の夏、を終えた辺り、冬かな。の辺りで、ライブをしたい!とのことで至るところに申請を出している。
今申請を通して許可が出たのは3箇所、後2箇所くらいは欲しい。
なんて考えながら書類にツッツッツッと名前を綴る。
桃「……ふぅ…」
全部名前を書き終えたところで一呼吸をつく。
また断られた時のダメージが高いんだなぁ、これが。
俺はよく、「前向きに頑張れるいいヤツ。」とか「鋼のメンタル。」とか言われる。
それは間違ってはいないと思う。
…でもメンバーが絡むと話は変わる。
俺は『リーダー』という立場であって、メンバーのみんなを連れて行かないといけない。もちろんあの夢の舞台にも。
そこで「ライブ出来ません。」とか言われたらメンバーに悲しませてしまうきっかけを作っているのは結局は俺になる。
そういうのになるとやっぱり、申し訳ないなってなるし、自分をたくさん責めてしまう。
桃「………っ、こわー…w」
そう考えるとやっぱり多少の責任と緊張が押し寄せてくる。
手と足は震えるわ、声も若干出しにくなる。
緊張が全身を通って伝わってくる。
明日郵便局へ出して、結果待ち。という感じで今から郵便局に出しに行くところ。
そこで、2回扉をノックされる
桃「?どうぞ〜」
ギィと音を立てて開けられた先に居たのは俺の相棒のIf、まろだった。
青「うい〜、おつかれ〜」
桃「ん、お疲れ様」
何を用事かわからないままズカズカ入り込んでくる。
不思議そうにしていると要件を簡単に詳しく説明してくれる。
どうやら、俺を慰めに来たらしい。
桃「ん?……慰めってなにするん?」
桃「つか、俺凹んでないんだけど……」
青「いやー、最近のないこは元気がない。」
即、そう返答されるもんだからびっくりする。
しばらく黙っていると彼は無言のまま俺の頭をそっと撫でる。
優しく微笑みかけたりもしてくる。
桃「…なんだよ…」
青「ええやん、休暇も必要や」
にひっと笑ってみせる彼。
社畜のお前がいうか?みたいな顔をしているに違いない。生憎にも俺は顔に出がち、らしい。
いや、まろが察しよすぎるだけだと思うがな。
桃「…まろ、今から郵便局行くんだけどさ、ついてきてくんない?」
青「えー、どないしよっかな〜笑」
悪戯な笑みを浮かべる
それでもきっと彼はついてきてくれるんだよ。優しいから。
桃「…って言ってついてくるんだろ?」
青「よくわかっとるやんw」
桃「5年も一緒にいりゃ、わかるわ。」
へらへら笑ってる彼とは真逆に真顔でツッコミを入れると彼は「あひゃひゃ」って心底楽しそうに笑う。
生きてるだけで楽しそうってホンマに羨ましいよな。
なんて考えながら上着を手に取り、社長室の扉の方へとゆっくり歩き出す
青「……はぁ、」
急に真顔になってため息を付いたかと思うと俺の腕をぐいっと引っ張る
そのまま近くにあったソファに座らされる。
また立ち上がろうとすると押し付けられる、どうやら立ち上がろうとすること自体の行動に許されないらしい
青「お前は休め、なんのために俺が来たと思っとんねん。」
桃「え…?…でも…っ!」
青「休暇も必要や。」
先程かけられたものと同じセリフをかけられる。
うっすらと圧でさえ感じる。
青「…ほら、お前の好きなわかめごはんや、食っとけ。」
桃「いや…俺ダイエット中なんだけど。」
青「これくらい大丈夫や、お前栄養失調になりかけてそう。」
そう言って彼の鞄の中からコンビニのわかめごはんを出してぐいっと押し付けられる。
渋々受け取ると嬉しそうな顔をする。
そうして、俺の持ってた資料を雑にとると扉の方へ向かう
青「ほな行ってくるな。」
桃「行ってらっしゃい。」
青「それ全部食ってなかったらボコすからな」
ニコニコ笑いながら物騒なことを言い残して、郵便局へと向かう。
彼が完全に居なくなったのを確認して、俺はわかめごはんのフィルムをぺりぺりと剥がして一口、口に放り入れた。
end
コメント
2件
本垢から失礼 🙄🙄 正直自分は青桃って恋愛だけじゃなくて友情も描ける大好きなペアですすすすす 🫶🏻💖 今回も特別イチャイチャしていないけどやっぱてぇてぇよねって感じ ←