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第22話 「今日はみんなでのんびり旅!」
朝靄の残る街道。まだ完全に目を覚ましていない空に、ゆっくりと光が差し込む。
馬車……ではなく、今回は徒歩。
それぞれの国を巡るための、長い長い旅。
「……静かですね」
ゆーまが地図を見ながら、いつも通り丁寧に言う。
その横で、こむぎが背伸びをしながら欠伸。
「朝はこんなもんやろ~。ゆーまっち真面目すぎやねん」
「ですから“ゆーまっち”はやめてくださいと……」
「はいはい~」
軽口のやり取りに、後ろからくすっと笑い声。
前の方では、
うたが景色に目を奪われて立ち止まっている。
「……綺麗」
「だろ?」
はるてぃーが、少しだけ距離を詰めて同じ方向を見る。
言葉は少ないけど、並んで見るだけで十分だった。
その少し後ろ。
たくぱんは落ち着かない様子で、やたら水筒を触っている。
「……どうしたんや、たくぱん」
山田が気づいて、からかうように声を落とす。
「な、なんでもないし……!」
「朝から顔赤いで?」
「ちがっ……!!」
山田はそれ以上言わず、ただ楽しそうに笑った。
少し離れたところでは、
「わぁ……土、柔らかいですね」
ねむろが足元を見て言うと、
「あー、この辺は地面の質がいいから」
あすたがさらっと答える。
その目は、ねむろから離れていない。
「……ねむろ、足元気をつけて。」
「だ、大丈夫です……!」
「俺が見てるから」
言われるたびに赤くなるのを、
あすたは面白そうに眺めていた。
さらに後方。
「じおる、歩くの早くね?」
そろもんが声をかける。
「申し訳ありません。つい癖で」
執事らしく背筋を伸ばしたまま、じおるは歩調を落とす。
「真面目すぎだって。旅なんだからさ」
「……そろもん様がそうおっしゃるなら」
一瞬だけ、じおるの表情が柔らぐ。
少し遅れて歩く二人。
「ねぇねぇ、そーちゃん!見て見て~✨
この石、ハートっぽくない?」
「……どこがっすか?」
「え~!ちゃんと見てよ~!ほら、ここ!」
きゅーはぐいっと距離を詰めてくる。
近い。近すぎる。
「……近いっす」
「え?そーちゃん顔赤いよ?暑い?」
「暑くないっす!!」
きゅーは首を傾げて、にこっと笑う。
そして最後尾。
「なぁ、つきの」
「んー?」
「こういう旅、悪くねぇだろ?」
「……まぁね」
ごんざれすの無邪気な笑顔に、
つきのは視線を逸らして答える。
「……かわいい」
「え、今なんか言った?」
「何も言ってない」
でも、足取りは少し軽かった。
それぞれが、
それぞれの距離で、
それぞれの想いを胸に。
旅は、静かに続いていく。
第23話 1/20 投稿予定