テヒョンside
学校帰りに病室に行くと、ジミナはベッドでぐったりと横になり、ハァハァと荒く息をしていた。
「ジミナ大丈夫!?体調悪いの?」
「う…ん。今日はちょっと…身体しんどいんだぁ(泣)」
「そかそっか。可哀想に。どこが痛いの?さすろうか?」
「心臓…痛い…苦し…(泣)」
「わ、どうしよう…今日はジン先生お休みなんだよねぇ。他の先生に診察してもらおっか?」
「え、ジン先生じゃなきゃやだぁ…。これぐらいはよくあるやつだから、まだ我慢できる…ぐすん…。」
大丈夫と言いながらも、すごく辛そう…。
最近、右手のことにかかりきりだったけど、心臓の方は比較的調子が良さそうに見えたから…
心臓が痛いというのをきいて、僕は気が気ではなかった。
ジミナのベッド脇に座ると、僕はジミナの服の中に手を入れて左胸の心臓のあたりをそっと触る。
身体はすごく熱かった。びっくりして、すぐ額に手をあてる。
「わ、あつ…。お熱、計ってもいい?」
「う…ん。」
慌てて引き出しから体温計を出し、ジミナの襟元を開いて脇に体温計を差し込んだ。
「ごめんちょっとだけ我慢して、動かないでね。」
ぐったりしたジミナの腕を押さえる。
その間もジミナは、肩でハァハァと苦しそうに息をしていた。
「熱いね。苦しいね。よしよし。」
「テ、テヒョン〜。」
「ん、何〜?」
「熱が高かったら…座薬するのぉ…?(泣)」
「うーんどうかなぁ…。それは先生にきいてみないと…。」
「い、いやだぁ…。」
「ジミナ座薬苦手だもんね…。解熱剤、飲み薬にしてもらえらかきいてみようね?」
「ピピ、ピピピ…」
「わぁ、39度5分もあるよ(汗)やっぱすぐ診てもらわなきゃ。ナースコール押すよ?」
「ふぇぇぇん…(泣)」
やっぱり来たのはいつもと違う先生だった。
小児科病棟で見たことはあったけど、男の先生で、ガタイが良くて、なんだか怖そう…。
ジミナ人見知りだし、こんなに体調悪いのに初めての先生で大丈夫かな…。
「熱は何度だったの?」
「39.5度です…。」
「高いなぁ。ちょっと診察するね。」
ジミナの胸に聴診器をあてる。
ジミナはいきなりあてられた聴診器の冷たさにビクッとしてた。
ジン先生なら、必ず手で温めてからあててくれるのに…。
「あーちょっと不正脈でてるなぁ。ジン先生今日休みだしまいったな…。ちょっと待ってて。」
先生はすぐに戻ってきた。看護師さん2人を連れて、注射のトレーを持ってる…。
それを見たジミナは泣き出してしまった。
「もう!大きいんだから、注射ぐらいで泣かないの。いつもやってることでしょ?お尻に注射するからおさえて。」
先生は急いでいるのか、イライラした様子で看護師さん達に指示を出す。
ジミナは看護師さん2人に無理矢理うつ伏せにされ、押さえつけられてしまった。
1人がジミナの背中、もう1人が足を押さえて下着を膝まで下ろし、あっという間にジミナの小さなお尻は丸出しになった。
「いやぁーー!やめてー!はなしてーー!」
ジミナは必死で身体を捻って抵抗しようとしていたけれど、小くて細い身体で、それが叶うはずもなく…。
僕は突然目の前に繰り広げられた光景に、唖然としていた。
無理矢理こんなことしないで!ジミナを傷つけないで!って止めたくなるのを、なんとか堪える。
…仕方ないんだ、ジミナは高熱で混乱してるし、こうするしかないんだと思おうとしても…やっぱり、ジミナがあんまり可哀想で、耐え難くて…。
先生は、ジミナに声を掛けることもなく、用意してきた注射針を手に取ると、太い針をジミナのお尻にためらいなく突き刺した。
「あーー!いったーーい。」
ジミナは突然の痛みに泣き叫んだ。
「動かない!すぐ終わるんだから我慢して!」
先生は次に座薬を取り出し、
「ついでに入れちゃおう。」
と言ったかと思うと…
そのままジミナのお尻の奥を開き、太い指でロケット型の座薬をグッと押し込んだ。
あ…そんな…いつもはクリームとか付けて、そぉっとやってるのに…ジミナ痛がるじゃん…。
案の定ジミナは、
「ギャーー。いったぁーい。やめてー」
とまた泣き出し、お尻をよじって逃げようとした。
先生は指で肛門をギュッと押さえたまま、
「暴れないで!座薬出てきたらやり直しになるよ!」
と怒鳴った。ジミナはビクッとしておとなしくなったけれど…
「ううううう…」
と枕に顔を埋めて呻き声を上げていた。
あぁせめて座薬は僕がやってあげたかったのに…。
処置が終わると、うつ伏せのまま大泣きしているジミナを残し、先生と看護師さんはすぐに出て行った。
僕は、ショックだった。
先生はお尻に注射を打つ時に、いつもやっていることでしょって、冷たく言った…。
何度やっても痛いものは痛いし、嫌なんだよ…。ジミナは今まで沢山辛い治療をしてきたから、余計怖いんだ。なんでそれが、分からないの…?
座薬を挿れる時だって先生は、お尻出てるからついでにやっちゃおうって感じで、軽く言った。
ジミナがどんなに座薬を嫌がってるかも知らないで…。
いつもジン先生が、どれだけジミナを優しく扱ってくれていたかが分かった。
ジン先生だったら、処置をする前にはちゃんとジミナの目を見て説明してくれる。ジミナが嫌がっても宥めて、頑張ろうねって、優しい声もかけてくれる。
…ジミナは、石でも物でもないんだよ?15才の男の子で、ちゃんと心があって、それで僕の大切な大切な片割れで…。
僕は内心、自分が辱めを受けたようなショックを受けていた。
ジミナは高熱と、今されたことのショックで号泣して、ベッドの上で錯乱状態だった。
「いや!いやー!はなして〜。」
うなされたようにワァワァ叫んでる。
僕は慌ててジミナのベッドに乗り、ジミナを抱き起こし、両手をゆすって言った。
「ジミナ!ジミナ落ち着いて。もう誰も何にもしてないよ?先生たちも帰った。痛いの全部終わったよ。僕しかいないから、安心して。」
僕はジミナを思いっきりギュッと抱きしめた。ジミナの身体はガタガタと震えてた。
「…先生、怖かった。ぼ、僕が、いい子じゃなかったから…怒られちゃった…ぐすん。」
「ジミナは何にも悪くない。あんな風に突然押さえつけられたら、誰だって怖いに決まってる。」
「い、痛かったし…惨めだった…もういやだぁ〜(泣)」
「うんうん、痛かったね、怖かったね…。」
僕はジミナの頭を撫でた。
ジミナは僕の膝に顔を埋めて、泣き崩れてしまった。
「う、うえええん…注射だけでも痛くてびっくりしたのに…座薬…いきなりブスッて…(泣)」
「びっくりしたね…。お薬、早く効くといいね。すぐに楽になるよ。大丈夫、大丈夫。」
僕は自分の膝の上で泣き崩れたジミナの背中をさすった。
小さなジミナの身体は嘘みたいに熱くて、汗でじっとりと濡れていた。
「お尻まだ痛い?可哀想だったねぇ」
小動物みたいにうずくまるジミナのお尻を、そっとさする。
その後もしばらくすすり泣きしていたジミナだったけれど、30分ぐらい経つと少し薬も効いて、眠くなってきたみたいだった。
「テヒョン〜。寒い、怖い…。一緒に寝て〜。」
ジミナは弱って甘えてくるから、僕はいいよと言って布団の中に入った。
ジミナを両腕でそっと包み込む。身体、まだ熱い…。
ジミナは僕の胸に顔を擦り付けてしゃっくりあげていたけれど、暫く経つと、寝息をたてて眠り始めた。
僕もホッとして安心した途端、眠気に襲われてしまって…
ジミナを抱きしめたまま、一緒に、泥のように眠りに落ちた…。
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