テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
4,436
コメント
2件

1話からひっそり読ませて頂いてます… 美しく可愛らしい鬼の涼ちゃんなのに、いざって時には強くなっちゃうし、それで人気があがるのが気に食わない大森さん、それを傍観する若井さん…全員個性的ですっごく好きです❣️✨️🍑
読み終えたよ〜🌙 「村人たちが限界オタクになった」で既に笑った(笑)。涼架ちゃん、無自覚すぎてかわいすぎる……! 元貴の嫉妬深い感じも、クールなのにツンデレっぽくて良いなって思ったよ。そして山を半分消す涼架ちゃん、強すぎて好き。和傘が取れて角が現れた時の描写、すごく綺麗でドキドキした。ラストの「好き」も、急すぎて逆に胸に刺さったよ……。次も楽しみにしてるね🤍
涼架が村に来てから、一ヶ月が経った。
結論から言うと。
「涼ちゃーーーん!!」
「今日も綺麗ですねぇ!!」
「ありがたや……」
「神様ぁ……」
「も〜、やめてってばぁ」
村人たちが限界オタクになった。
「……ムカつく」
縁側で元貴が真顔になる。
「お前最近それしか言ってないな」
隣で滉斗が笑った。
現在。
涼架は村の守護者として暮らしている。
最初こそ鬼ということで怖がる者もいたが、今では完全に逆だった。
美しい。
優しい。
強い。
しかも子ども好き。
人気が出ないわけがない。
「涼ちゃん、お団子どうぞ!」
「わ、ありがと〜」
「今日も髪綺麗だねぇ」
「えへへ、そう〜?」
「はぁ〜尊い……」
「なんなのあいつら」
元貴がじっとりした目になる。
滉斗が肩を震わせた。
「嫉妬深ぇ〜」
「うるさい」
「別に取られねぇだろ」
「いや涼ちゃん無自覚だから」
「確かに」
涼架は、自分がどれだけ人を魅了しているのか全然わかっていなかった。
昔は怖そうに見えるよう頑張っていたけれど、今はほとんど素でいる。
なので最近は、かなりふわふわしていた。
「元貴〜」
「んー?」
「これ取れなぁい」
涼架が差し出してきたのは、団子の包み。
紐が固結びになっている。
「……え、涼ちゃんこれ開けられないの」
「こういう細かいの苦手なんだよねぇ……」
「かわい」
「また言ってるぅ」
元貴は真顔だった。
「だって涼ちゃんが可愛い」
「もう〜……」
耳まで赤くなった涼架を見て、滉斗が吹き出した。
「お前らほんと夫婦みてぇ」
「違うよぉ!」
「違わなくてもいいや」
「息ぴったりに真逆のこと言ってやがる」
「むぅ……」
頬を膨らませる涼架。
それを見て元貴が静かに顔を覆った。
「何してんの」
「可愛すぎて無理」
「知らなぁい……」
その日の午後。
元貴は村外れで昼寝していた。
風が気持ちいい。
最高である。
すると。
「元貴ーー!!」
ばたばたと足音が近づいてきた。
滉斗だった。
「起きろ!」
「んぇ……」
「山の方に妖が出た!」
「……滉斗行ってきて」
「お前桃太郎だろ!」
「その設定まだ生きてたんだ」
「だから設定言うな!」
結局。
元貴はしぶしぶ起き上がる。
「涼ちゃんは?」
「先行った」
「は?」
その瞬間。
どごぉん、と遠くから轟音が響いた。
地面が揺れる。
「…………」
「…………」
「嫌な予感する」
「奇遇だな俺も」
二人は山へ向かった。
そして。
「……あ」
元貴は固まった。
山の一部が消えていた。
「えっ」
綺麗に。
本当に綺麗に。
斜めにすぱーん、と。
「……涼ちゃん?」
煙の向こうから、赤い影が現れる。
「あ、元貴〜」
涼架だった。
「いや、“あ、元貴〜”じゃなくて」
「終わったよぉ」
「何が!?」
「妖退治〜」
「山が終わってる」
「ちょっと力加減まちがえちゃったぁ……」
「ちょっと!?」
滉斗が腹を抱えて笑い始めた。
「だから言ってただろ!町消せるって!」
「俺見たことあるもん」
「いや本当にやるやつある!?」
涼架は困ったように眉を下げる。
「ごめんねぇ……」
しゅん、とした瞬間。
頭の和傘飾りが、ぽろっと落ちた。
「あ」
本物の赤い角が現れる。
風に赤髪が揺れる。
夕陽を背負った姿は、息を呑むほど綺麗だった。
「…………」
「元貴?」
「無理」
「なにがぁ?」
「好き」
「えぇ!?」
滉斗がまた笑い転げる。
涼架は顔を真っ赤にした。
「ほんと急に言うよねぇ!?」
「だって綺麗」
「うぅ……」
涼架は角を隠すように頭を押さえた。
「そんな見ないでぇ……」
「なんで」
「恥ずかしいからぁ……」
元貴は数秒黙って。
「え、待って可愛い」
「も〜〜!!」
山に叫び声が響いた。
その後。
“山を半分消した鬼”の噂が広まり、村での信仰はさらに増した。
「ありがたや……」
「涼架様……」
「守護神様……」
「だからやめてってばぁ〜!!」
そして元貴は。
「涼ちゃん人気出すぎ……」
さらに嫉妬深くなった。