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※この話はR-18の表現を含みます。18歳未満の方の閲覧を固く禁じます。
「湯船にお湯、張ったんですか」
半分ほど湯が張れたところで風呂場にぐち逸が入ってきた。眼鏡を外しているのが珍しく、溜まっていく湯から視線を外し見つめた。
「うん。最近ハマってる」
「この辺は湯船に浸かる習慣は無いですから意外で。健康的なので良いと思いますよ」
……サウナと合わせて今ハマってるのは事実だけど、一緒に浸かって密着したい気持ちが7割とは言えないな。
「体を洗うのでレダーさんは浸かっていてください」
「は?いや俺が洗ってあげるよ」
「は?何でですか。……あ、恋人だからですか?」
「ん。ぐち逸だからだよ」
予め用意した2つのバスチェアにそれぞれ座った。余った金で買ったそれなりに質の良いシャンプーを手に取って、後ろから髪を洗ってやる。
終始ちょっと不服そうなぐち逸の顔が鏡越しに見える。それを他所に鼻歌を歌いながらトリートメントまで終わらせた。
次はとボディーソープを手に取ると、振り返って手首を掴まれる。
「そっれは、自分でします!」
「なんで、こっからでしょ?」
抵抗できないようにガッチリとバックハグして手のひらで泡立てる。
腹、胸部、肩に背中。順番に泡で身体を撫でた。あくまで健全な洗身。
「あ、の」
ぐち逸は少し前にかが み、眉をひそめてチラリとこちらを見た。
「もう、流していいですか」
「駄目って言ったら」
「流します」
そう言って立ち上がるぐち逸を引き止めるべく、腕を伸ばしぐっとその体を捕らえる。
「っ!……」
…………あ。
……まあ、当たっちゃったもんは仕方ないよね。ちょっと硬くなったそれにさ。
「……すみません、離して」
「まあまあまあ」
ニッコニコでぐち逸の方を掴みまた座らせて、改めてそれに触る。
「っあ!?やめて、くださ」
「いーよ。抜いたげる」
顔を耳元に寄せ、後ろから抱き寄せたまま右手を上下に動かすと、風呂場にはぐち逸の息を吐く音と詰まる音、時々声が響く。
ぐち逸は抵抗して俺の手を剥がそうとしていたけど、力の差と泡の滑りでそれは叶わなかった。
「ひっ、れだぁさん、出ますっ……から!」
「いきな?」
前に捩れたぐち逸の全身がビクッとして、次の瞬間には手のひらが白く汚れていた。そして果てて俺にもたれかかる。
当たり前だけどぐち逸の精液初めて見たとか、早いなとか、イキ顔見そびれたとか……感想はたくさんあるけれど。
ぐち逸に伝えるべきこと。
「かわいかったよ」
「……恥ずかしい」
「あは、ほら。もう洗っちゃお」
そこから泡や体液を全部流し終わって、俺のことも洗って……ってお願いする前に湯船に入ってそっぽ向いてしまった。仕方なく自分で洗っていた内に1人のぼせたらしいぐち逸は、俺があと流すだけのところで出ていってしまった。
追うように風呂から上がると、ぐち逸は脱ぐときより断然早く着替えていた。逃げてんなぁと詰めてやりたかったが、そもそも仕事帰りで疲れていそうだったぐち逸のために、電気を消し広いダブルベッドで2人寝そべる。
向かい合うとパッと目が合った。
「会いたくなった時は連絡してな。俺もするから」
「……はい」
距離でやっと聞こえるような小さな声で返事をしてくれた。きゅっと俺の服を握って、頭を俺の胸に預けてくれる。
さらりと落ちたぐち逸の髪をそっと耳に掛けてやった。
「あと抜きたくなった時もね」
「…………」
ぐち逸は無言そして真顔で顔を上げ、反対向きに寝返った。
残念ながらその日は、ぐち逸の背中を見つめて眠りについた。