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私
達は何者なのか? 我々は何処から来たのか? 我々が何者で何をすべきか? 我々はどこへ行くべきか? 我々の行く末とは? 我々は如何にして生まれたのか? 我々は何故存在するのか? 我々は一体どうあるべきだというのだ! 我々は神に問うた。
しかし答えは無かった。
そこで我々は考えた。
ならば自ら考えようではないか。
まずは自らについて考えてみることにした。
そして思い至った。
己のことをよく知らぬ者が、どうして他の者のことを理解できようかと。
なればこそ、我らは我が身を知ることから始めた。
そして我等は知った。
我らには翼があった。
ならば飛ぶことも容易かった。
空を往き、海を渡り、地を征く者よ その翼は風に乗りて雲を呼び 嵐を従え雷雨を呼ぶ 天駆ける姿はまさに疾風の如し その爪牙にて全てを切り裂け 我が名は────
「………………」
少女は窓の外を見つめながら、ふぅっと息をつく。
そこは薄暗い部屋だった。四方の壁には本棚が設置され、びっしりと本が並べられている。部屋の中央に置かれた机の上には、パソコンと大量の紙束が置かれている。その部屋にただ一人座っている少女がいた。彼女はキーボードを打ちながらブツブツと呟いている。
「……うん。やっぱりこれは面白いね! 最高だよ!」
彼女の名は「水川悠真」という。年齢は十七歳で、高校二年生である。彼女がいる場所は自宅であり、今は学校からの帰り道であった。今日は休日であったが、学校で宿題が出ていたのでそれをやっていたのだ。そしてそれが終わったので、こうして趣味に没頭しているというわけである。
彼女が作っていたのはとある小説サイトで公開している作品だ。ジャンルとしては異世界ファンタジーになるだろう。内容は現代の日本に住む少年がある日を境に魔法が存在する世界へと転移してしまうというものである。彼はそこで元の世界へ戻る方法を探すための旅に出かけるのだが――という内容になっている。
「うーん……」
俺は悩んでいた。
現在時刻は午後2時半過ぎ。
場所は自宅マンションの一室である俺の部屋の中だ。
ちなみに隣には誰もいない。
彼女はまだ来ていないのだ。
だから今の内に悩み事を解決しておく事にする。
「どうすっかなぁ?」
今更だがもう一度確認しよう。
今日は何の日か? そう、バレンタインデーなのだ!