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隠岐目線
⸺おれの初恋の子、ナマエちゃん。
親の付き合いもあって仲が良かった。けどナマエちゃんは生まれつき病気で体が弱かった。
せやから家や室内でよく遊んでいた。ナマエちゃんはよう笑う子でかわえかった。
小4のころやったかな、病気が悪化して学校休んで入院しとった。俺はよく病室に顔を出して学校での話とか折り鶴しとった。
『わたしも早く行きたいなあ』
そんなこと、言うとった気がする。
「すぐ良くなる!治ったら一緒に行こうや」
そう言ってナマエちゃんを元気づけるのが日課だった。でもある夏、もうナマエちゃんと会ったらあかんと言われた。
その時は(大変やから会ったあかんのかな、)くらいにしか思わんかったけど、それっきり二度と会うことはなかった。
ーー
中学も普通に卒業して高校は三門市のとこで進学した。ボーダーの活動も日常も何事もなく過ごしとった。
ナマエちゃんのことも忘れかけていた高2の夏。移動教室の途中、隣のB組の前を通りかかったとき⸺
「……え、?」
ふんわりとした目元。とても見覚えがある顔立ち。教室のドアのすぐ近くの椅子に座っとった。でもその席、元々は空席やったはず⸺
それよりも既視感の正体を確かめたい。
細い体、目元、指、髪……………
思い出した。
俺の好きやった子
⸺ナマエちゃんや。
ーー
エセ関西弁やばい