テラーノベル
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「才花は会社に入って言われたことや決まったことをするイメージが出来ないんじゃないか?指示待ちのワークスタイルなんて考えられないだろうな。クリエイティブな思考なんだと思う。自律的行動が出来る自律型人材。どの会社にも欲しいタイプだけれども、そういう人は個人で活躍したり、成功することも十分可能だから」
「社長タイプ?」
「気遣いし過ぎて人を使うのは苦手そうだが?」
「ぼっちタイプ?」
「言い方に問題あるな」
羅依がそこでフッと笑って私の頭を撫でる。
朝からカッコいい…
「才花の可能性は無限ってことだ。年齢的にも才能的にも性格的にも無限の可能性がある。無駄だと思うようなこと、無意味だと思うようなことをたくさんやればいいと思う」
昼間にネイルに行くと今回は、ピンクミラーネイルを7本、マットな質感のショッキングピンクネイルを3本にしてもらう。
マンションに戻り、今日のワークアウトを済ませると軽くシャワーを浴びてから出掛ける準備だ。
昨日は袖がレースの黒い襟付きブラウスに黒のワイドパンツで出掛けたけれど、今日はクラブだから雰囲気をガラリと変える。
リブ素材がボディラインにフィットする蛍光ピンクカラーのクルーネックカットソーはもちろんミニ丈。
ミリタリーオーバーカーゴパンツはブラック、ピンク、ホワイトが派手に迷彩柄を作り出している。
これ以上派手にすると兄が困るかもしれないので、髪はシンプルに高い位置でポニーテールにするだけ。
ソフト素材の長め丈のブラックジャケットを羽織ってピンクより黒を多くして外を歩くことにする。
カットソーはお腹と背中も出てるしね。
「才花」
「ここで待っててくれたの?ありがとう」
兄は私の着く時間を予想して駅で待っていてくれた。
ゆっくりと歩いて洋食屋さんに向かいながら、兄は私の膝について詳しく聞く。
大丈夫だと、具体的なことをつけ加えながら何度も伝えて
「…だから出来ないことは何もないと思う。ただまだそこまで全部の動きが確かめられてないけど」
と言うと
「才花の言う動きって、例えばラグビー選手が走ってタックルして、されて踏ん張る…という感じと全然違って動きが複雑な分、確かめづらいですね。踊ってみて初めて分かるんですかね?ここです」
兄がドアを開けてくれた。
そうなんだよね。
私の感じる元通りは、いろんな方向に動かして、いろんな方向から体重を乗せるから複雑だ。
でも自分の体重が掛かるだけで他からの負荷がかかる訳じゃない。
滑らかに360度動かせるのかが、まだわからないだけだ。
「オムライス…小さく作ってもらえるかな?」
「小さく?」
「うん。満腹でクラブに行くと吐く」
「踊らなくてもいいし、踊ると言っても揺れてジャンプしてるだけの客が多いと思いますが。あちらにも食べ物は多少あるからいいでしょう」
特別踊る気満々ってことではないよ。
今日はクラブ自体を楽しむという目的もあるしね。
でも、何となくの習性だよ。
満腹では動けない。
「これ、ありがとう」
兄に洗ったハンカチを返すと
「返さなくても良かったのに」
と私を見る。
「うん。あのね…お父さんの誕生日知ってる?っていうか…何歳?」
「ああ、そうですよね。この前は言ってなかったですね。親父は来月の11日に56になりますよ」
「11月11日だね、覚えた。お兄ちゃんは?」
「12月3日」
「1、2、3…だ」
「才花も1、2、3の1月23日ですね」
「お揃いだね」
調べものも仕事としている兄だからか、父から聞いたのか、兄が私の誕生日を知っていることが少し嬉しかった。
コメント
1件
お兄ちゃんとのデート✧*。たくさん話してたくさん甘えて(ღꈍ◡ꈍღ) お誕生日知っててくれて嬉しいね🥹それも1、2、3のお揃いだなんて🫰🏻➰💕 お父さんへのプレゼントも早めに考えなきゃ!来月なんてあっという間だよ〜!