テラーノベル
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『ゔ…ダメだ、手が疲れてきた』
あれから数日、フシデの世話でZAロワイヤルには参加できていなかった
ZAロワイヤル中でも抱きついて離れない為、フシデを持ちつつのバトルになってしまい負ける事が多かった
かといってフシデを家に置いていくと泣いてしまうしで 本当に人間の赤ちゃんの子守りのように感じる
『(まぁ施設にいた頃、弟達の 面倒はよく見てたし慣れてるけど…)』
しかしこうもずっと抱いて歩くのは辛い
やはり何かあるのではないかと、カラスバさんに聞こうとするも事務所に行けば忙しいのか「カラスバ様は今席を外しております」の一点張り
アザミに聞いても、「あぁ〜…今忙しくてさ…」と言われてしまう
『はぁ……』
落ち込みつつ、とりあえず近くのヌーヴォカフェに座りひのこローストとハムサンドを注文する
するとすぐにひのこローストとハムサンドが出てくる
「はいよ!ひのこローストとハムサンド、あとこれはウチのマスターからのオマケな!」
『えっ?わ、ありがとうございます!』
オマケと言われたのは自分が好きなクロワッサンだった
ふとキッチンカーの中にいるマスターに目を向け頭を下げると笑顔を浮かべ小さく頭を下げていた
しかしどこか見たことあるようなマスターに、少し違和感を抱きつつも横で早くハムサンドくれ!というように急かすアチャモにハムサンドを少しちぎり口の近くに持っていった
それから数十分、まったり過ごしていた時だった
『フシデずっと寝てるけど本当に大丈夫なのか───』
「こんなとこで一丁前にカフェなんぞしやがって!!お前らのせいで危うくカロスはなくなりかけたんだぞ!!」
『!?』
「申し訳ありません。」
「謝って済む問題じゃねーんだよ!!」
小太りの中年の男が、先程のマスターと女の定員に向けて怒声を上げている
その怒声に驚いたのか先程まで寝ていたフシデがまた泣いてしまう
『ああっ、ごめんね〜……』
〖ンミィ〜…ッ!!〗
フシデを撫でなんとか泣き止ませる
ふの周りを見ると、「またかよ…」「警察呼ぶ?」「でもフレア団でしょ…」などと全く助ける気は無い様子
『(ヌーヴォカフェって確か、フレア団の残党とか子供とかの第2世代の子がやってるんじゃなかったかな…)』
だから、ヌーヴォカフェの人達は5年前に直接悪事を働いてないはず
それに働いていたとしても、今の彼らの行動を見るに何も非難される必要はない
それなのにこうもフレア団と言うだけで当たり散らかす人がいるのか
こうやって当たる人間も、そして誰も助けない周りの人間にも腹が立つ
『デンリュウ、フシデとアチャモをお願い』
面倒見のいいデンリュウを出してアチャモ達を任せたあと揉めている3人の元へ行く
『こんな公共の場で怒声をあげるなんて、子供やポケモン達が怖がってますよ』
「あ”ァ!?誰だお前!部外者は引っ込んでろ!!」
相当腹が立っているのか、割って入ったシオンにまで睨み怒鳴る
そんなシオンをヌーヴォカフェのマスターが驚いたように目を開け見つめる
『貴方にこのふたりが何かしましたか?してないでしょ』
「それは…けど、コイツらフレア団でもしかしたら ───」
『じゃあ貴方も部外者ですね。大の大人が被害者面して、若い人を上から怒鳴ってみっともない。
───こりゃ、いい歳の取り方しませんね』
「な!?なん、だと!!このクソアマが!!」
『っ!?』
流石に煽りすぎたか、怒った男が横に置いていたホットコーヒーを手に取りシオンへかけようとする
───バシャッ!!
ギュッと目を瞑るがいつまで経っても痛みは来ない
不思議に思い、恐る恐る目を開けるとそこには見覚えのある人物が右腕を横に少し伸ばしてジャケットを広げ立っていた
『カ、カラスバさん…!?』
ポタッ、とジャケットからコーヒーが地面へ落ちる
『や、火傷し───』
ハッとして慌てて心配するがすぐに青筋をたてたカラスバが男を睨む
その威圧に一気に周りの空気が冷たくなり、ヒュ、と小さく喉がなる
「なんや、金ない言いよったんにこない事する暇はあるんやな。 ××さん。
こりゃ来週楽しみやわ、なァ?」
「ひっ、ひぃ…!!な、なんでカラスバさんが…!!」
「というか、この服高いのにどないしてくれはるん?
それにこの子にそれかけて、火傷でも出来たらどないするつもりやったん?」
よく見ると、目の下にクマが出来ている
仕事が忙しいというのは本当だったのか
そう思いながらも、今にも殴り掛かりそうな勢いで男にキレるカラスバの手を掴む
『カ、カラスバさん!大丈夫ですから…それよりカラスバさんが…』
「あかん、大事な女がこない事されて簡単に許す訳ないやろ」
『へ…?大事…?』
カラスバがサラッと言った言葉に顔を赤くする
『(どういう意味!?え!?えっ!?)』と困惑するシオン
「ほんまええ覚悟しとるわ。そない肝座っとるお前さんにオススメのお仕事があるんですわ。勿論引き受けてくれるやろ? 」
「っ、ひぃ!!」
「チッ、…まぁ逃げたって無駄やけど」
カラスバに怖気付き、腰を抜かしながら男が逃げるがすぐにサビ組の人達が男を追いかけていった
それを横目に見ながら、ハッとして慌ててカラスバの手を引っ張る
『私の家近いですから…!!』
「は?ちょっ…」
どこかしんどそうなカラスバの手を取り近くのタクシーを呼び無理矢理カラスバをタクシーに乗せて自宅へ向かった
『火傷してませんか?大丈夫ですか…?』
「大丈夫や、それよりそんな男にベタベタ触らん方がええで 」
自宅に帰るなりジャケットを奪い取り、火傷がないかカラスバの身体をペタペタ触る
『大丈夫そうだけど…とりあえずシャワーは浴びて下さい!!』
「ちょっ、押すなや…!!」
『服は適当なの近くで買ってきますから!あ、ジャケットは洗うんでそこのカゴの中に入れててくださいね!』
そう言って、足早に脱衣場を去るシオン
脱衣所に取り残されたカラスバは少し周りを見回したあと、困ったように溜息をつき服をゆっくりと脱いだあとシャワー室へ入っていった
───数十分後
シャワーから出ると、リビングで泣いているフシデをあやしながら何やら勉強しているシオンの姿があった
『…あ!カラスバさん、大丈夫でした?』
「服まですまんな、この借りはまた返すわ」
『いえいえ助けてもらったんですし、気にしないで下さい。それより……』
「な、なんやマジマジ見て」
カラスバの顔をじーっと見たあと、フシデを片手に抱きつつカラスバの手を引き横の部屋のドアを開ける
すると寝室だろうか、綺麗に整えられた白色のベットが置かれている
『クマ酷いですよ。寝てないんでしょ』
「いや別にこれくらい大したことや──」
『だめ、寝てください。ほら』
そう言ってカラスバを押してベッドの中へ入れる
「(ここでシオンが毎日寝よんか…って何考えとんや!)」
押されるまま、少しやましい気持ちを隠しベッドの中へ入るとほのかに甘い匂いがカラスバの鼻をかすめる
『あとは〜……はい、アチャモ!』
「なんでアチャモなんや…」
『アチャモ抱いて寝ると暖かくて、ぐっすり寝れますよっ』
そう言ってアチャモをカラスバの横に置く
アチャモ自身もドヤ顔でカラスバの胸の中へ潜り込む
「(確かにあったかいな……)」
『ふふ、眠くなってきたでしょ』
慣れた手つきでカラスバのメガネを取ったあと、頭を優しく撫でる
膝の上には相変わらずフシデが居て眠っている
「…寝かしつけんの、慣れとんやな」
『よく弟達を寝かしつけてたので』
「オレ、子供扱いか」
『でもメガネ外したら、結構可愛らしい顔してるんですね』
そう言って笑うシオンに対し、眉を顰めた後何かを思いつき少し口角を上げシオンの腕を引っ張り自分の方へ寄せる
『きゃっ!?』
「こない近くても、可愛ええ思うん?」
すぐの距離にカラスバの端正で綺麗な顔が
その事実に一気に顔を赤くさせて、目を泳がす
そんなシオンの反応に口角を上げ、楽しそうに笑うカラスバ
「どうや、可愛ええ思うんかって聞いとんや」
『ッ〜!?そ、それ…はっ……』
突然起こったことに、タジタジになり困っていると膝の上に乗っていたフシデが泣き出す
〖ミ”ィ〜〜ッ!!〗
『あ!ご、ごめんね…!驚いたよね』
ハッとして立ち上がり、フシデを抱き上げあやす
そんなシオンに対し「(なんや、こうするんが正解か…)」と考えるカラスバ
『もう、変な事しないで大人しく寝て下さいね!』
「あかん、独りやと寂しゅうて寝れへん」
『何言ってるんですか!アチャモがいるでしょ!!』
──バンッ!
そう言って顔を赤くしたシオンが寝室のドアを閉める
『はぁ…なんなのあの人…!』
先程のことを思い出すとまた顔が赤くなる
そんなシオンをリザードンが心配そうに見つめていた
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