テラーノベル
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第16話 好きなモノ
――夏休み最終日。
長かった夏休みも、今日で終わりだった。
窓の外からは、まだ蝉の声が聞こえている。
夏の暑さも相変わらずだけど、どこか少しだけ、秋の気配が混ざっているような気がした。
そして俺は――。
💚「終わらない……」
たっつんの家の机に突っ伏していた。
目の前には、大量の宿題。
国語。
数学。
理科。
社会。
英語。
💚「なんでこんなに残ってるの……?」
💛「知らんがな」
隣でたっつんが呆れた顔をしている。
💚「だって夏休みって長かったじゃん!」
💛「長かったからこそ、計画的にやれたやろ」
💚「……」
💛「お前、最初のほう何してたん?」
💚「遊んでた」
💛「そうやな。中盤は?」
💚「遊んでた」
💛「うん、終盤は?」
💚「……遊んでた」
💛「そらこうなるわ」
💚「だって楽しかったんだもん!」
💛「俺んちで宿題してたよな?なんで終わってないん?笑」
💚「サボってたから…?」
💛「サボるな」
💚「もういや〜!!疲れた!」
💛「はいはい。ほら、手止めるな笑」
たっつんが俺の前に、残りのプリントを並べる。
終わったプリントを回収し丸付けをしてくれる。
💛「今日中に終わらせるで」
💚「うぅ……」
💛「大丈夫やって」
💚「ほんと?」
💛「うん。ちゃんとやれば終わる」
💚「……よし!」
俺はシャーペンを握り直した。
💚「やるぞー!!」
💛「その調子や」
そこから、俺は黙々と宿題を進めた。
分からない問題があれば、たっつんに聞く。
💚「たっつん、これ分かんない」
💛「どれ?」
たっつんが隣から問題を覗き込む。
💛「あー、ここはさっきの公式を当てはめて――」
💚「なるほど!」
💛「分かった?」
💚「たぶん!」
💛「たぶんかい笑」
また問題を解く。
一ページ終わる。
また一ページ。
気づけば、机の上に積まれていたプリントは、少しずつ減っていた。
💚「あと……三枚!」
💛「いけるやん」
💚「たっつん!応援して!」
💛「頑張れー」
💚「棒読み!」
💛「頑張れ頑張れー」
💚「もっと心を込めて!」
💛「頑張れ!!じゃぱぱ!!」
💚「よし!!」
俺は最後の問題に取りかかった。
時計を見る。
もう夜になっていた。
窓の外は暗くなり、蝉の声もすっかり聞こえなくなっている。
そして――。
💚「……終わった」
シャーペンを机に置く。
💚「終わったぁぁぁぁぁ!!」
俺はその場で両手を上げた。
💛「お疲れ〜」
💚「終わった……本当に終わった……!たっつんありがと〜!!」
💛「よく頑張ったな」
💚「……えへへ」
たっつんがにこやかに笑い悪魔の一言を言う。
💛「明日から学校やで」
💚「……」
💛「どうした?」
💚「……夏休み、終わっちゃうんだね」
少しだけ寂しくなる。
夏祭り。
みんなで遊んだ日。
たっつんの家で過ごした日。
くだらないことで笑った時間。
全部、あっという間だった。
💛「まぁ、また学校で会えるやろ」
💚「……そうだね」
俺は笑った。
💚「じゃあ、明日からまた頑張ろう!」
💛「おう」
翌朝。
久しぶりの制服に袖を通す。
少しだけ懐かしい感じがした。
学校へ向かう道には、夏休み前と変わらない景色が広がっている。
でも。
俺には、少しだけ違って見えた。
💚「たっつん!早くー!」
💛「まってー!」
いつものように並んで歩く。
そして――。
学校に着くと、久しぶりにみんなの顔が見えた。
💚「おはよー!!」
❤️「じゃぱぱ!おはよ!」
🩷「おはようございます!」
💚「久しぶり〜!…ってあれ?2人ともなんか仲良くなってない…?怪しい〜!」
❤️「何が怪しいんだよ笑」
🩷「だってゆあんくんかわいいんですもん!」
💛「分かる〜!」
❤️「あれ?俺、モテてる?のあさん、たっつん、俺のために争わないで…✨️」
💛「ゆあんくんは俺のものだから!」
🩷「あ、どうぞ、全然譲ります」
❤️「え?」
その後教室へ向かう。
みんな変わらないな。
久しぶりに会った友達との会話は、なかなか終わらない。
夏休み何してた?
どこ行った?
宿題終わった?
髪切ったの!
そんな話をしているうちに――。
始業のチャイムが鳴った。
💚「あー、学校始まっちゃったかぁ」
💛「当たり前やろ」
💚「でも、みんなに会えたからいいや!」
💛「現金やなぁ笑」
そして放課後。
俺たちは、いつものようになんでも相談部の部室へ向かった。
💚「やっぱここ落ち着くなぁ」
💛「分かるわ」
💚「うわ!掃除してないから汚い!」
💛「お前どうせ掃除せんやろ」
💚「もちろん!俺が掃除したら逆に汚れる」
💛「じゃぱぱは掃除用具ぶち壊すからな」
💚「よっと」
この椅子に座るのも久しぶりだな〜
💛「よっと」
なぜか俺の上に座ってくる。
💚「うわ〜ん、前が見えないよ〜」
💛「じゃぱぱはのっぽやから見えるやろ」
💚「…チビ」
💛「はぁ!?お前がデカいだけだよ!!」
そんなことを話していると――。
コンコン。
扉がノックされた。
💚「はい!」
扉が開く。
🐸「やっほ〜」
そこに立っていたのは、黄緑色の髪の毛をセンター分けにしたギザギザの歯の男の子。カエルの帽子をかぶってる。
💚「あ!ばっくん!!!久しぶりー!」
🐸「久しぶり!」
この人はシヴァさん。
俺はたまにばっくんって呼んでる!
💛「知り合い?」
💚「うん!この人は友達の友達のシヴァさんー!友達の友達って、それはもう友達だよね!!」
💛「あ、うん」
🐸「じゃぱぱさんやっぱ面白いね笑」
💛「はじめましてー!シヴァさん、俺はたっつん」
🐸「たっつん!!よろしくー!」
💛「よろしくー」
🐸「…てかずっと気になってたけど、じゃぱぱさんなんでたっつんに椅子にされてるの?」
あ、忘れてた。
てかたっつん、何ナチュラルに俺の上座ってるんだよ。
💚「知らん、降りてくんない、降りろ」
💛「やだ降りないもん」
🐸「あはは〜やっぱ面白いね〜〜」
いつものように、ゆる〜い様子。
でも――。
俺はなんとなくシヴァさんの表情がいつもと少し違うような気がした。
💚「シヴァさん、どうしたの?」
🐸「……え?」
💚「なんか、元気ない?」
🐸「いや……別に」
そう言って、シヴァさんは笑った。
でも、その笑顔は心の底から笑えてないように見えた。
少しの沈黙。
そして――。
🐸「……ねぇ」
💚「ん?」
🐸「俺、相談してもいい?」
俺たちは顔を見合わせる。
💚「もちろん!」
💛「ええで」
🐸「……」
シヴァさんは少しだけ迷ってから、口を開いた。
🐸「俺さ……」
そして――。
🐸「自分が何を好きなのか、分からないんだ」
部室が静かになった。
💚「……え?」
🐸「みんなにはあるじゃん。好きなものとか、夢中になれることとか」
💛「じゃぱぱやったら食い物やな」
🐸「でも俺には、そういうのがなくて」
🐸「何を聞かれても、『別に』って答えちゃうんだよね」
シヴァさんは少しだけ俯いた。
🐸「……俺って、何が好きなんだろう?……俺には……好きなモノなんてないのかな。」
その言葉を聞いて、俺はしばらく何も言えなかった。
でも――。
ここは、なんでも相談部。
💚「……よし!」
俺はたっつんごと立ち上がった。
💛「うわっ」
💚「じゃあ、シヴァさんの好きなもの。一緒に探そう!」
💛「…せやな!」
🐸「……!」
シヴァさんが顔を上げる。
💚「なんでも相談部は、なんでも解決するからね!」
🐸「……ふふっ」
シヴァさんが、少しだけ笑った。
――こうして。
新学期最初のお悩みが始まった。
シヴァさんの『好きなモノ』を探すために。
俺たちは、みんなで考えることになった。
――俺たちにもまだ、答えは分からない。
でも。
一緒に探せば、きっと何か見つかる。
そんな気がした。
【9月上旬】
ここまで読んでくださりありがとうございます。
夏休みがついに終わって、シヴァさんのお悩みです。
シヴァさんの好きなモノは何なんでしょう?
シヴァさんのお悩みは3話構成となっております!
♡やコメントありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです!!もし気に入ってくださったら、♡だけでもいいのでお願いします!
(投稿遅れてすいません!配信見てました)
キャラクター紹介
🐸**=シヴァ、3年C組、野球部。シヴァさんが来ると一気に空気が和やかになる。めったに怒らない温厚な人。**
#リクエスト
Rei7
1
118
えとゆあ推し!
61
コメント
3件
シヴァさんの好きなもの、、、、パンツ?w
うわ〜、じゃぱぱの夏休み最終日、めっちゃ共感したよ〜!笑 宿題をギリギリまで遊んでたってとこ、リアルすぎて「あるある」って思っちゃった😂 たっつんが隣で丸付けしてくれたり、棒読みでも応援してくれる優しさが沁みたな〜。 そしてシヴァさんが「好きなものがわからない」って打ち明けてくれたところ、胸がぎゅってなったよ…。普段は和やかな人だからこそ、その悩みの重さが伝わってきた。じゃぱぱが「一緒に探そう」って言ったシーン、すごく温かくて、なんでも相談部の空気がちゃんと出てるなって思った🤍 新学期最初の悩み、これからどう解決していくのか楽しみにしてるね!🌙