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第17話 普通?
放課後。
なんでも相談部。
シヴァさんから受けた相談。
『好きなものがわからない』
言われてみれば、意外と難しい悩みなのかもしれない。
好きなものなんて、自分で勝手に決めればいい。
そう思っていたけれど。
いざ「何が好き?」と聞かれると、答えられない人もいる。
💚「……というわけで!」
俺は机をバンッと叩いた。
💛「どういうわけや」
💚「ばっくんの好きなもの探しをします!」
🐸「おー!」
🐸「でも、どうやって探すの?」
💚「それは――」
俺は少し考える。
💚「……いっぱい試してみる!」
💛「雑やなぁ」
💚「だってやってみないと分かんないじゃん!」
💛「まぁ、それもそっか」
💚「じゃあ早速!」
俺は部室を見回した。
💚「ばっくん、何かやりたいことある?」
🐸「うーん……」
シヴァさんは腕を組んで考える。
🐸「特にないかなぁ」
💚「じゃあ、好きな食べ物は?」
🐸「……これも特にない」
💛「食べ物もないんか」
🐸「嫌いなものもそんなにないんだけどね」
💚「じゃあゲーム!」
🐸「ゲーム……普通かな」
💚「漫画!」
🐸「普通」
💚「スポーツ!」
🐸「普通」
💚「音楽!」
🐸「普通」
💚「……」
💛「全部普通やん」
💚「うーん……」
これは思ったより難しい。
でも。
だからこそ、なんでも相談部の出番だ。
💚「じゃあ、今日はいろんなことやってみよう!」
🐸「いろんなこと?」
💚「そう!」
俺は立ち上がる。
💚「好きかどうかなんて、やってみないと分からないから!」
💛「まぁ……それは確かに」
🐸「じゃあ、何からやる?」
💚「まずは――」
俺は部室の隅に置いてあったボールを見つけた。
💚「スポーツ!」
🐸「急だなぁ笑」
俺たちは校庭へ向かった。
風が少しだけ涼しい。
最初は軽くボールを使って遊んでみる。
💚「シヴァさん、投げて!」
🐸「おっけー!」
シヴァさんがボールを投げる。
俺が受け取って、たっつんに投げる。
💛「俺もやるの!?」
💚「やろーよ!」
🐸「いいじゃん!やろやろ」
💛「シヴァさんが言うならやるわ」
💚「え…俺…」
俺たちはしばらくボールを投げ合った。
シヴァさんも楽しそうに笑っている。
でも――。
💚「どう?楽しい?」
🐸「うーん……」
シヴァさんは少し考えた。
🐸「楽しいは楽しいよ」
💚「じゃあ好き?」
🐸「……分かんない」
💚「そっかぁ」
次はゲーム。
その次は絵。
さらに音楽。
いろんなことを試してみた。
でも。
シヴァさんの答えは、いつも同じだった。
🐸「楽しいけど、好きってほどじゃないかな」
💚「……」
気がつけば、夕方になっていた。
部室に戻って、俺たちは机を囲んでいた。
💚「うーん……」
💛「難しいな」
🐸「ごめんね。せっかくいろいろやってくれたのに」
💚「え?なんで謝るの?」
🐸「だって、何も見つからなかったし」
💚「でも!」
俺はシヴァさんを見る。
💚「楽しくなかったわけじゃないんでしょ?」
🐸「……うん」
💚「じゃあ、いいじゃん!」
💛「そうやな」
🐸「……」
シヴァさんは少し驚いたような顔をした。
💚「好きかどうかなんて、今日一日で分からなくてもいいんじゃない?」
💛「そもそも、好きなものって一個に決めなあかんもんでもないしな」
🐸「……」
💛「それに、最初から『これが好き!』って分かってる人ばっかりちゃうやろ?」
💚「うんうん!」
シヴァさんはしばらく黙っていた。
そして。
🐸「……じゃあさ」
💚「ん?」
🐸「俺が今まで『普通』って思ってたものも、本当は好きかもしれないってこと?」
💛「そういうことちゃう?」
🐸「……そっか」
シヴァさんが、少しだけ笑った。
🐸「じゃあ、もうちょっと探してみようかな」
💚「もちろん!」
💛「焦らんでもええしな」
🐸「二人とも、ありがと」
💚「任せて!」
俺は胸を張った。
💚「なんでも相談部だからね!」
💛「それ昨日も言ってたな」
💚「大事なことだから何回でも言うの!」
🐸「あはは!」
三人で笑う。
帰り際。
俺ーーシヴァは一人で廊下を歩きながら、今日のことを思い返していた。
スポーツ。
ゲーム。
絵。
音楽。
どれも『大好き』とは言えない。
だけど――。
今日、一番楽しかった時間は。
何だっただろう。
🐸「……」
ふと、俺は足を止める。
頭に浮かんだのは。
くだらないことで笑っていた、あの時間。
でも。
🐸「……いや、まだ分かんないか」
そう呟いて、また歩き出した。
――好きなものは、まだ見つからない。
だけど。
昨日よりほんの少しだけ。
自分自身のことを考えてみようと思えた。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
『普通』と『好き』の違いって案外分からないものです。でも、だからこそそれを見つけるのも楽しいのではないのでしょうか?
次回 第18話 好きかもね
明日の20:00頃に投稿する予定です。
コメント
1件
読了しました!🐸 シヴァさんの「楽しいけど、好きってほどじゃない」という感覚、すごく共感できました。「普通」って言葉に隠れた本音を、無理に答えを出さず見守る部活メンバーの距離感が優しくて。最後に一番楽しかった時間を思い返して「まだ分かんないか」と呟く余韻が好きです。焦らなくていいよ、って言われたみたいに、ほっこりしました。続きも楽しみにしてます🌷
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