だんだん暑くなってきた7月
今日はオーナーの家で食事会だ。
ちょっとキレイめの服装でおめかしをする
「今日はクマがひどいな……もうコンシーラー無くなってきてるのに……」
憂鬱な気分だが、オーナーの誘いなら断れない……
よし…頑張ろう
重い腰をあげて、タクシーに乗る
でっかい門のプール付き一軒家に到着する!!
「おぉ……」
ここがオーナーのご自宅か……
さすがホテルも経営しているだけあって、すごいお家だ…………
ちょっと緊張してきた……
こんな服装でよかったのかな……と身なりを確かめつつ、呼び鈴を鳴らした
お家に入ると玄関にはシャンデリアと、よくわからないヘビと象のオブジェがある……
どれも高価なものだろうから、近づかないように恐る恐る前へ進む。
オーナーの奥様はとても綺麗で品がある
でも、ちょっと発言にトゲは感じられるが……
「あら、あなたクマがひどいですわね〜寝れてないのかしら?身だしなみは女性の基本よ!それぐらいできなきゃ〜 」
「はい…!」
そんな奥様の言葉でさらに憂鬱な気持ちになりながらも、笑顔を崩さないように接する。
すると………
くんくん……
「わぁいい匂い…!」
「でしょ〜〜♪うちの息子は料理上手なの〜
名門大学に出て、英語も喋れて、料理もできて多才♪」
「息子はファッションセンスもあるのよ。昔フランスの先生に褒められた事があったわ〜。
あなたのちんちくりん体型に似合う服装も、あの子なら見つけてくれるわよ♪」
ひ、一言多いな………
「さ、入って。息子を紹介するわ」
「はい…! 」
どんな人だろう……?トゲがないと良いんだけど…
「おっすぅー!!」
あ、ワイワイ系だ………
私が苦手なタイプぅー!!
「俺、裕貴っていいまーす!31歳独身でーす☆」
なんか、もう関わりたくない!!!
「えっと…新海結乃です…!よろしくお願いします。今日はお招きいただき……」
「そう固くならないの!楽にして良いんだから楽に☆」
「は…はい」
私含め、他の従業員たちが美味しい食事を堪能する。
料理は本当にどれも美味しくて、プロレベル!
すごい才能だなと思った……
なんだか自分が惨めに思えてきた
私は少し席を外してお手洗いに行った。
「ふぅ……やっぱクマ酷いよな……」
「はぁ……」
一人になると泣きたくなる
自分が嫌すぎて消えたくなる
このどうしようもない劣等感と自分への絶望感でくるしくなる
「あれ……また泣けてきちゃった……(笑)」
笑って誤魔化して、自分にまで嘘をつこうとしたけど無理だった。
涙がとまらない………
ずっと溢れて……声を出して泣いてしまった
「ふぅ……」
トイレのドアを開けて部屋に戻ろうとすると…廊下に裕貴さんが立っていた。
「えっと…お料理とても美味しいですね!本当、プロレベ……」
と…喋りかけると、途中で裕貴さんの声に遮られる。
「ねぇ、泣いてたでしょ?」
「え……?」
「いや、泣いてたでしょって。なのに何で無理して笑ってんの?」
「いや………その………泣いてませんよ!」
「いや、嘘つかないでよ(笑)わかるよ、鈍感な俺にだって。なにか嫌なことあった?うちの母の事で嫌な思いしたとか…?」
「いえ違います!ただ………」
「なになに、話してみ?」
その優しさに負けて、私は友達を失ったこと、失恋したことを打ち明けた。
すると………
「そうかー……まぁ、出会いはこれからもあるんだしさ!気の合う人、きっと見つかると思うよ!」
「はい…!そうですね!ありがとうございます!」
「よかったらさぁー俺の知り合いにおもしれーやつがいるんだよ。ちょっと変かもしれないけど、めっちゃ思いやりのあるやつでさ!」
「そいつの連絡先教えようか?良いやつだし、一度話してみるといいかも!」
そうやって、裕貴さんはその方の連絡先を教えてくれた。
その人がどんな人か分からないし……ワイワイ系なら嫌だなと思いつつも、善意を断ることができなかった。
連絡する気はなかったが、一応電話番号が書かれたメモを受け取った。
食事会が終わり、また何かあったらいつでも連絡してと言われ、裕貴さんと電話番号の交換をした。
数日後………
〈ピロン 〉
スマホの通知音が鳴る
「んー?」
部屋のベッドで寝転ぶ私はすぐに飛び起きた
「え…これって……」
通知の内容は、裕貴さんの知り合いという人からのメッセージだった。
まさか相手から来るとは想像していなかった
「なになに……」
そのメッセージの内容は………今度お会いできませんかというものだった………
考え込んだすえ、会うことにした………
それが、私の運命を変える出会いになるとは知らずに……
〈約束の 日〉
「んーと、噴水広場に着いたけど……いないなぁ……確か眼鏡をかけてて黒いジャケットの男の人だよね…… 」
私は、裕貴さんの知り合いの方を探す
「あ… 」
「あっ!」
目の前に、それらしき人物が現れた!
「ど、どうも!!はじめまして!」
私が元気に挨拶をすると
「はじめまして…宇部遥真です。」
大人しそうな優しい声で挨拶をしてくれた。
身長は私と5センチぐらい違うかなーという感じで、小さな口元が可愛らしい
見上げると、ふと彼の頭に目がいく。
寝癖だろうか?
漫画のようなアホ毛が飛び出していてつい笑ってしまった。
「笑わないでください…寝坊したんです。なんせ、毎日パソコンに向き合っていて忙しいので…」
「そうなんですねー!いつもお疲れ様です!」
「眼鏡、お似合いですね!」
「いえ…そんな事は…」
「私の話って、裕貴さんからお聞きしたんですよね…?だからご連絡くれたんですか?」
「はい。ちょっと喋ってみたいなぁと……質問していいですか?」
「はい!」
「新海さんのメガネは何色ですか?」
眼鏡??
私、眼鏡なんてしてないけど…
宇部さんの質問に、私は首を傾げた。
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