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第十章
そこには、福田達央,橋本健、原義十、櫻井百合香、栗崎理波,古塚加奈、悠一、俺がいた。
「今日は集まって下さってありがとうございます。」悠一は言った。
「今日集まっていただいたのは事件の真相をお話しするためです。ではまず,橋本健さん事件発見時の様子を教えてください。」悠一が言うと
「はい。俺は6時ごろに美羽の部屋に行きました、チャイムを鳴らしても美羽が出てくる気配がなかったので持っていた合鍵でドアを開けました。そしたら、中で美羽が倒れていたんです。」と橋本健は言い終えると古塚加奈が口を開いた。
「なんで最初っから合鍵で開けないのよ。」
「美羽が着替えてたりするかもしれないからって。」橋本健が少し情けない声で言った。
「バッカじゃないの?そんなの浮気最中だったらまずいからじゃないの?」古塚加奈がそう言うと
「古塚さん!」と櫻井百合香が言った。
「美羽のこと何も知らない奴が事件解決?なんてできるわけないでしょ?」古塚加奈が言う。
「確かにそうかもしれません、ですが古塚さんも知らないことはあるんじゃないですか?」と悠一が古塚加奈の言葉を遮るように言うと古塚加奈は黙り込んでしまった。
「今回の事件は密室殺人事件です。では犯人はなぜわざわざ密室にしたのか、自殺に見せかけたいなら凶器は現場に置いておけば良いのに。なぜ殺人現場から凶器を持ち去ったか、それは、“置けなかった“からです。」悠一がそう言うと周りが、置けなかった?と頭にはてなを浮かべている。
「つまり、犯人は現場に凶器を置きたかった。でも,置いたら自分が犯人だとバレてしまうから“置けなかった”んです。例えば,犯人の指紋が拭き取れない素材だったとか,もしくは、」と言いかけ俺たちの方をぐるりと向き
「その人の名前が入っていたとか、」と言った。
「なんでわざわざ名前の入ったものでっ!」と栗崎理波が言った。
「さっきも言ったでしょう?この事件は突発的な犯行だからと、
でも,なぜ、わざわざ名前の入ったもので殺したか1番理解してるのはあなたですよね?栗崎理波さん。」悠一は微笑むように言った。そう言うとみんなの視線が栗崎理波の方に向いた。
「私が犯人だって言いたいの!?」栗崎理波は荒々しく声を張り上げた。
「あなた以外誰がいるとお思いですか?」悠一の目は光っていた、何か獲物を仕留めたときのように、俺が見たこともない怖いそんな目だった。
「証拠はあるの?てか、動機は?」栗崎理波は明らかに焦っていた。
「では、まず事件発生時の時のお話をしましょう。あなたは、午後4時半ごろ福田美羽さんの部屋に訪れた、久しぶりに会わないかと言って。そして福田美羽さんと会い“なにか”がきっかけで福田美羽を自分の腰につけていたベルトで殺害、その後福田美羽さんをベットの横に横たわらせた。そして、自分の着ていた服の糸をほどき福田美羽の鞄に紐をテープか何かで貼り付けたあと,外側から鍵をかけ、あのアパートの特殊な作り、つまり,郵便入れが上にあることを利用しそこから紐を通し鍵をつけ紐に滑らせて、鞄の中に鍵を入れた。最後に紐を外側から引っ張り鞄からテープを外し紐を回収するこれで密室の完成です。」そう悠一は言うと栗崎理波が
「そんなの私以外にだってできるじゃない、動機もないのに、」と言い放った。
「動機は、知っていますよ?俺の口から喋っても良いんですか?」と悠一が言った。
すると、栗崎理波はため息をつきこう言った。
「もう良いわよ、私が殺したわ。あの日」と言って栗崎理波は喋り始めた。
今日久しぶりに会って話せない?と美羽からひさしぶりに連絡が来た。
私もいろいろと話したいことがあった、しかし美羽は昔私の妹のことを虐めていた。正直、美羽のことは許せないし大嫌いだけどなんだか嫌な予感がしたので会うことにした。
ピーンポーン
「はーい、いらっしゃい理波!」と言ってドアから顔を覗かせたのは大人になった美羽だった。昔も可愛かったけど、今はもっと可愛い。
「久しぶり、美羽。」私は、無理やり作った笑顔で美羽に挨拶した。
美羽の部屋は美羽だな、と思うような部屋だった。
「これ、羊羹良かったら食べて!」私は手土産で持って来た羊羹を手渡した。
「ありがと!え、これ今流行ってるやつじゃん!」と喜んでくれた。
「あのさ、義十と最近どうなの?」
「別れたよ」
「私、あんたのこと大っ嫌い」
「え?なんで急に」
「高校生の時さ、佐久間さんとダメなことしてたでしょ?」
「佐久間さん?」
「忘れたとは言わせないよ?」
「!」
「思い出した?」
「なんで知ってるの!?」
「だって私のお父さんみたいな人だもん」
「今でも許せないよ、また、理波に取られると思った。」
「だから、春花の事虐めたの!?」
「そうだよ?あんたの体に傷がついたら佐久間さんにバレちゃうかもしれないからね」
「だからって春花を虐めて良い理由にはっ!」
「私のお父さんを取っといて、どの口が言ってるの?」
「義十に言うから!」
「義十と仲良いの?」
「うん、あんたの汚い過去全部!義十に言うから!」
「まって、お願い言わないで」
気づいた時にはもう遅かった。
「理波?嘘だよな?」原義十が言った。
「嘘じゃないわ、全部ほんとよ。」栗崎理波が微笑むように言った。
その後、栗崎理波は逮捕された。
俺は忘れない栗崎理波が最後に言ったあの言葉を
そう泣きながら言っていた、栗崎理波を。
コメント
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もしかして、鍵閉め忘れたのは、自分の家じゃなくて福田美羽の家の?