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雨上がりの夕方。
朝来ていた彼は
“訓練がある”と言って、気まずそうに出ていった。
それからは誰も来なかった。
何を期待しているんだ。
どうせ来ない。
来て欲しくもない。
くだらない同情でくだらない会話をしに来たって
俺が人を信じないのに変わりはない。
そもそも、君のことだって信じてないよ
zm。
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10数年前_
細かい年月は忘れた。
覚えてるのは、当時俺が学生だったということ。
あの頃から内気な性格で
いじめの対象だった。
誰も助けてはくれなかった。
みんな、皆、かわいいのは自分だけ。
それはもはや、この世界の常識だ。
他人のために自分を犠牲にする人はそう居ない。
でも、1人、俺を助けた奴がいた。
名前は忘れた。
俺とは正反対の印象を持っている青年だった。
いつもうるさくて
クラスの中心にいた。
そんな人間が大嫌いだった。
結局、自分が目立つための材料に過ぎなかったのだ。
数日後、そいつは俺を裏切った。
体育館裏に呼び出されて
“もう助けない”
と言われた。
理解が出来ずに喚いていると
胸ぐらを掴まれ、呆れた口調で吐き捨てる。
“暇だったから助けてやっただけなんだよ。”
“飽きたからもう庇ったりしねぇ。”
そう言われた。
この時だった。
人を信じなくなった最初の1回。
そりゃ、1回目はさすがに傷ついたよね。
裏切られるなんて思ってもみなかったんだもの。
でもさ
あの人達さえも裏切るなんて
誰も思わないよ。