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第13話:「告白当日!屋上で交わす“好き”の言葉」
その日は朝からずっと、心がざわついてた。
授業中も上の空。
プリントは裏返しのまま提出しそうになるし、
「いちかー、筆箱落ちてるで!」って声に
「えっ!?」って跳ねて、思いっきり机ぶつけた。
——ダメや。集中できん。
だって、今日、
ツムに告白されるって知ってるから。
あいつは冗談みたいな顔して、
「告白するからな」なんて言ってたけど。
あれ、本気やったんやろなって、もう、ずっと思ってる。
放課後。
足が屋上に向かうにつれて、心臓がバクバク言ってる。
階段、あと3段。2段。1段——
ガチャ。
「……来た」
そこにいたのは、制服の上着を肩にかけた、
いつもふざけてるのに、今はちゃんと真剣な顔した宮侑。
「来てくれて、ありがとうな」
「……当たり前やろ」
でももう、この時点でなんか泣きそうやった。
「俺さ、最初はほんま、一目惚れやった」
「……知ってる」
「絵に向かってる顔見たとき、
なんか“この人、めっちゃかっこええな”って思った」
かっこええって。
今まで、そんな言われ方されたことなかった。
「けど、話してくうちに、 笑ってるとこ見たり、 男子とアホみたいにふざけてるの見たり、 ツッコミキレッキレなの知ったりして、 思った」
「——もっともっと好きになってまうやん、って」
「……ツム」
「俺、ちゃんと伝えたかった。
俺、いっちゃんのことが好きや。付き合ってほしい!」
……あかん。
今、たぶん、世界で一番、幸せな顔してる自信ある。
でも、伝えなきゃ。ちゃんと。
「……私も、ツムのこと、好きやで」
「え」
「なにその“え”想定してたやろ!?!」
「いや、でも、え、マジで?うっそやん。
俺、脳内で“付き合ってくれへんパターン”5周してたんやけど」
「悲観的すぎるわ!!」
でもそのあと、ふふっと笑って、ツムが言った。
「俺、子供の名前50個ぐらい考えてんで」
「はやとちり過ぎだろ!!!」
でも——この笑顔を見た瞬間、
この人と一緒にいる未来、想像できた気がした。
コメント
3件
良かったねいっちゃん ♡