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3 - 【澄んだ泡の道しるべ ~ 聲が聞こえたあの日はきっと ~ 】裏話

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2025年03月19日

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今回は

【澄んだ泡の道しるべ ~ 聲が聞こえたあの日はきっと ~ 】

の裏話をしていく。


この話は生まれつき耳が聞こえにくい主人公『三樂 月』がある朝起きると遠くから不気味で切なげな動物の声が聞こえた。

だがその声の正体はクジラで、

それは不思議なことにはっきりと聞こえた。

そして物語が進むうちにある男の子『傘原 空』に出会う。

最初に月が傘原 空こと空くんに出会った場所は線路だった。

線路内に生命の光を宿していない空くんが居、

電車と空くんがぶつかる瞬間を見てしまい、

思わず目を瞑る月。

だがしばらくしてから目を開けるも、

世界はいつもと同じ日常を過ごしていた。

そんな話である。



その日からずっと月は朝起きるとクジラの声が聞こえるようになっていた。

夢かと疑うが、

いつも起きると服は濡れているかのように冷たかった。

そのことを友達に伝えるも、

『なんかの病気なんじゃない?病院行けば?』と聞く耳を持たず、

すぐ違う話題へと移ってしまうを繰り返していた。

そんなある日隣に誰かが引っ越してきたため、

学校へ行く時間が少しある今現在、

挨拶に行こうと考えた。

チャイムを押して引っ越してきた隣人を待っていると扉の奥から出てきたのはあの線路で見た電車に轢かれたはずだったあの男の子が出てきた。

それが傘原 空である。

夜には空くんがパジャマ姿で出歩いている姿も見る。

その理由は傘原 空が夢遊病であるため、

パジャマ姿で無意識のまま家から出てどこかへ向かっていく。

それはいつものことで向かう先は毎日変わらない。

その場所は線路。

いや、詳しくいうと線路内である。


そして事件が起こる日。

その日は朝起きてもいつも聞こえていたはずのクジラの声は聞こえなかった。

だが月はそんなことを気にする余裕もないほど学校に遅刻してしまいそうな時間に起きた。

急いで支度をし、家を出る。

そうして月は遮断機が降りてきている危ない線路を通ろうとする。

が、水の音と自身の身体が地中に沈みこんでしまう。

気づくと月は水中世界のような場所にいて、

後ろから空くんに

【前世って信じるタイプ?】

と聞かれてしまう。

そして気づけばいつものように自分の部屋で寝ていて。

いつものように服や体は濡れているかのように冷たくて。

だが、いつもと違ったのは青色の花、

青い彼岸花を持っていたということ。


なぜこの場に空くんが居るのか。

その理由は先程話した通り空くんは夢遊病持ちで夜出歩き、いつも線路内へ行く。

そして無意識のまま水中世界に入り込んでいるからだ。

夢だと思っている空くんは起きている時との性格が全く違う。

この際、言ってしまうが空くんはこの夢遊病が原因で既に亡くなっている。

そう。

空くんは今は幽霊の姿であるということ。

では、なぜ月には空くんの姿が見えているのか。

その理由は前世の関係が鍵となっている。

前世の空くんは『迷子のクジラ』

そして前世の月は『泡』

クジラと泡はなんの関係性があるのか?

そう思う人はいると思う。

クジラは狩りの際に泡を使って魚を追い込むことがある。

時には仲間と協力して泡を使った漁をすることも。

だが、前世が迷子のクジラである空の唯一の友達は泡である月しか居なかった。

しかも泡である月は仲間のくじらに案内すべく、いつも一緒に居た。

そんな前世の関係のせいで既に死んでいる空の姿を月は見ることが出来たという。

物語が進むうちに、

月は水中世界に入り込む条件を見つけ出す。

その条件は

『朝、クジラの声が聞こえること』

『警報音が鳴り響き、遮断機が降り始めている線路内に飛び込むこと』

の2つが条件だった。

でも初めて空くんと出会ったあの日はクジラの声が聞こえていなかった。

その理由は『空くんが月を呼ばなかったから』である。

空くんは朝寝て、夜に起きる。

昼夜逆転生活を送っていた。

寝る時は1人でいつも寂しかったから『月を呼ぶために声を上げた』だから空の声、いやクジラの声が月の元に届いたということ。

でもその日は呼ばなかった。

その理由は『ただ遊んでいるだけ』である。

まぁ、簡単に言うとこちらに関心を向けるかもしれないと思ったただの意地悪である。


そして条件の1つである『朝起きた時にクジラの声が聞こえる』をクリア出来た日、

家から急いで出て線路へと向かう主人公、月。

向かっている間に踏切の警報音が鳴り響く。

『次の警報音が鳴るのは約15秒後』

これはリアル世界でも同じく起きることである。

そうして心の中で秒数をカウントして『1』と思ったと同時に線路内に侵入する。

『失敗したら死ぬかもしれない』

そう思っている月の目には遠くから迫り来る電車の姿が見える。

だが、電車が自分の目の前に来て絶望を感じたと同時に身体は水の音と沈んでいった。

そう。

条件はもう1つあり、

『電車がぶつかると同時に線路内に立っていること』

だった。

そうして自ら水中世界に行くことに成功した月が安堵の声を漏らしていると水中世界の

空が驚いた声を漏らしながら近づいてくる。

月はなぜ自分が死ぬかもしれないというリスクを背負いながらも水中世界に来たのか。

その理由は青い彼岸花について知るためだった。

早速空くんに聞くと、

水中世界ではどうやら

『青い彼岸花』という名前よりも

『糧の青花』という名前で知れ渡っていることを知る。

水中世界には様々な海洋生物が泳いでいるが、

クジラの姿は無かった。

それに気がついた月が空くんに聞くも、

地雷だったのか変な空気が流れてしまう。

なぜ変な空気になったのか。

その理由は先程空くんの前世は迷子のクジラだと話した通り、

友人は前世が泡である月しか居なかった。

そのせいで空くんは月を酷く愛していた。

とても重くとても酷い愛で。

だから水中世界にクジラが居ない理由は

『僕にクジラの仲間(友達)が出来たら月は僕から離れて行ってしまうかもしれない』と不安に思ったため、居ない。



話は戻るが空くんが糧の青花についての説明を行う際、

月をどこかへと連れていこうと腕を引っ張る。

だが空くんの手は氷のように冷たかった。

そう。

もう既に死んでいることを表している言葉である。

移動中、様々な生物に会うがどこかおかしい。

互いに全身を千切り合う棒人間のような生物や突いたら爆発するクラゲなどなど。

それは空くんの曲がった愛を表しているものの1つでもある。

そうして着いた場所は糧の青花が咲き誇る花畑。

そこで空くんは

『糧の青花は水中世界のような全ての生物の餌である』

ということと

『水中世界から現実世界に戻りたい時は糧の青花を摘むといい』

ということを話す。

そうして帰る際、

月は空くんに言われた通り、

糧の青花を摘み、

現実世界へと戻る。

じゃあここで、糧の青花…

いや、青い彼岸花について話していこう。

青い彼岸花は現実世界に無い空想の花で、

もちろん花言葉なども存在しない。

だが物語が進むうちに月は条件クリアどころか線路内に行ってもいないのに辺りの景色が水中世界のような景色へと変わる場面がある。

その際に

『青い彼岸花を握り、祈りのようなポーズで仰向けに寝ている空くんの姿』

『糧の青花の花言葉は想い出して、すぐ忘れて、また。』

を見聞きする月。


祈りのポーズをして仰向けに寝るのは人が亡くなった際だけ。

しかも青い彼岸花を握っている。

それは青い彼岸花が何かの意味を持っていることを表している。

しかも物語内には『幼い姿』と書かれている。

それは空くんが幼い頃から夢遊病を患っており、幼くして亡くなったことを表している。

そして気になる花言葉。

存在しないはずの花の花言葉を知っている…

というか予想する空くん。

そう。

架空の花である青い彼岸花は死の象徴であった。

しかも先程話した『青い彼岸花を摘むと現実世界に帰れる』という言葉。

一般的に『彼岸花を摘む』という行動は『異界のものを口にする』ということと似た意味を持つ。

『異界のものを口にする』というのは『現実世界に戻れなくなる/死んでしまう』という意味で、

『彼岸花を摘む』という行為は『死に至る』という意味である。

そう。

主人公、月は現実世界に戻る際に青い彼岸花を摘んでいる。

そして青い彼岸花は架空の花。

=最初に青い彼岸花を摘み取った際、

月は死に至っている。

ということになる。

しかし、ここでは裏設定があり、

現実世界に帰るには青い彼岸花、

糧の青花を摘み取らなくても時間が経てば勝手に帰れるようになっている。

じゃあなぜ空くんは月に糧の青花を摘み取るよう言ったのか。

それは空くんは自分が死んでいるのを知っているため、糧の青花である青い彼岸花をわざと摘み取らせて月を死人にし、一生一緒に居るためにわざとしたのである。

自分が死んでいること、

また前世のことを知っている空くんだが

自分が夢遊病を患っていることは知らないでいる。



そして物語の最後、

空くんの家に訪れた月は空くんのお母さんにある仏壇へと案内される。

空くんの仏壇だ。

そうして物語は進んでいき、

青い彼岸花について月が調べ、

青い彼岸花は摘むと死んでしまうということを知る。

ここで物語は終わっている。

その後、月は空くんによって水中世界へと引きずり込まれ…

どうなったかは分からない。

もしかしたら途中から現実世界と水中世界のような区別がつかなくなっていたのかもしれない。


そして題名に書かれている『聲』

これはクジラの切なく恐ろしい鳴き声と月の耳に雑音無く聞こえる空くんの声を表している。

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