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第20話の続きです
突然現れたエマに王子様と言われてしまった───
「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺がエマの…王子様?!」
「あの時助けてくれたじゃないですか!あの木を守ってくれたので」
「あの木…でかい樹木の?あれって何?」
「あの樹木はたくさんの精霊がいるのです。その精霊が島を守る役割をしているのです」
島を守る。ディスティニーアイランドってそんなことあるのか?というかそんな設定なかったような気もするけど…
「…ふふ」
「どうかなさいましたか?」
「いや、さっきも言ったけど…俺の友達に本当にそっくりだなって思って」
「そうなんですか、じゃあ私も友達の仲に入れてもいいですか?」
「もちろん!!」
「やった!!」
満面の笑みをしたエマ。なぜかフレイムの親友を思い出す───
(元気かな…ずっと会ってないからな…)
「…んん」
夢か…ダイヤにそっくりなエマ・シオンか───
教室
今朝の夢を思い出してエマ・シオンの絵を描いていた。
(本当にダイヤそっくりだったな。ロクサスとヴェントゥスみたいな設定だな…)
「フレイムさん」
「ダイヤ、今朝の夢のキャラクターを描いているんだ!」
「ちょっと見てもいいかな?」
フレイムの絵を見たダイヤは、全く同じダイヤだと驚いてしまった。
「これ…私?」
「ダイヤにそっくりだけど、エマ・シオンっていう名前なんだ。初めて会った時はそりゃ驚いたよ」
「エマ・シオンちゃんかぁ…会ってみたいな!」
「会えるかどうかは運次第だな!」
「運なら今ならいいですよ!この前凱旋門賞で出走しましたから!」
実はフレイムが三冠を達成した数ヶ月後の凱旋門賞でダイヤは出走した。結果は残念だったが、いい経験を詰んだらしい───
「あの時ゴルシも出走してたしな、専用の勝負服めっちゃ似合ってたよ!」
「本当に?!ありがとうフレイムさん!」
「俺も記念の日に違う勝負服着てレースしてみたいな!ローマさんの赤虎かっこよかったなぁ──」
去年のファン感謝祭でエキシビションレースを行っていた。その時の勝負服を来ていたのは、ジャパンフォーミュラ、通称JF23のTGRカラーの勝負服”赤虎”だった。理由としては、三井優希の兄、三井蓮が出場している。
「フレイムさんもきっと2着目の勝負服来るかもしれないから!」
「そうだな、願うしかないよな!!」
その願いは…叶うことになるかもしれない───
栗東寮
「ねぇねぇ聞いた?!チームスクーデリアのエウレカ先輩!」
「まさか7勝するなんて想像つかなかったよ!!」
次々と飛び交う噂───
フレイムも知っているが、先日行われたジャパンカップでチームエースのエウレカマイが勝利し、GI7勝目を上げた。これは、生徒会長のシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ウオッカ、同期のキタサンブラック、スクーデリアローマと同じ勝利記録に並んだのだ。
(さすがだなエウレカ先輩、けど俺も負けてられねぇ!有馬記念で勝利してやる!)
有馬記念まで1ヶ月を切った日。フレイムも気合いを高めていた。
「さぁそして、ウマ娘ワールドチャンピオンシップ最終戦が行われ、勝利したのはチャンピオンのエースプロ───」
テレビを見ていたフレイムは電源を切り、就寝時間になった。
「………………」
「……ここは?」
目を開けたフレイム。視界の周りは何かの中にいた。
「……何これ?家の中?」
「やっと目が覚めたのねフレイムさん」
「エマ!」
「貴方が急に倒れるから心配したのですよ!」
「急に倒れる…?」
倒れる?そんな事あったのか?夢の中なのに…かな?
「というか、ここは?」
「私のお部屋ですよ」
「エマの部屋か…凄い綺麗だな!」
エマの部屋は大きなシャンデリアや人形、ピアノ、大きなシングルベッドなどが置かれていた。まるでダイヤの豪邸と同じぐらい広い──
「あっ!忘れてましたわ!」
「何?」
「実は私も…キーブレードが使えるのですよ!」
そう言ってエマは、右手からキーブレードを出した。しかも、そのキーブレードが───
「…過ぎ去りし思い出?!」
約束のお守りと過ぎ去り思い出の二刀流が使えるキーブレード。しかしなぜエマが過ぎ去りし思い出だけを使えるの?!
「…私、探しているのです。約束のお守りが使える持ち主を」
「持ち主…エマも同じ壮絶な過去を過ごしたのか?」
「…えぇ、私の父と母は…小さい頃に亡くなってしまったんです。それで祖母の所へ引き取られて今に至るんです」
「…そうなのか、なんか辛い事を思い出してごめん」
「気にしないでください。フレイムさんと話すの楽しいので!」
「嬉しいよ。ありがとう──
そうだエマ、せっかくだからソラ達に会いたいんだ!」
「ソラ!電話越したけど会えたな!」
『久しぶりだねフレイム!ハートレス達を1人で倒したの凄いな!!』
「あの時は挫けそうだったけど、助けたいが勝って、前に進むことができたんだよ!ソラ達の教えも生かせたし!!」
『いやぁ、なんか恥ずかしいな!エマから王子様って言われたけど、それ本当?』
「俺にもよく分からないんだ、繋がりとか全く無いから」
『ソラ!早くしないとカイリが待ってるぞ!』
『分かった!じゃあまたねフレイム!』
「じゃあなソラ!」
僅かながらソラと話せた。テイオーを救ったことや、王子様になってしまった事などを話した。
「お電話終わりましたか?」
「ちょうど終わったところだよ」
ふと声を大にしてやってきたのは、エマのお祖母様だった───
「すみません!少し話したいと仰っていたので…」
「…この方は誰ですか?!」
「いきなりお邪魔してすみません!メジロフレイムと申します。エマさんとは仲良くさせてもらっています!」
「エマ、関係ない人を勝手に上がるのはいけないと何度も言ったのに!」
随分と厳しめの人だな。うちのばあやぐらいだな…
「いえ、この方は私を助けてもらい、精霊の木を守ってくれた方なんです!」
「…ほうほう、貴方があの木を守ってくれたのですかね?」
「エマの話は聞いております」
「…貴方、それほど強くないですね」
強く…ない…?あれだけの敵を倒してもなのか?けど────
「…なら試してみますか?これだけの悪党共を!」
そのお祖母様は、杖を使いながら、巨大な悪党を召喚させた。しかもでかい!!
戦闘モードに入り、巨大な悪党を1人で戦うことになってしまった。
あの怪人はフレイムの実力で倒せると思い、アルテマウェポンではなく、ダイヤモンドダストを使った───
しかし…
「えっ?!技が?!」
ロック数の攻撃を使うも、攻撃が効いていない。
(意地でも攻撃を与えるしかない!!)
フローズンクレセントを繰り出すフレイム。この攻撃はロック数が最大24の値で出され、フリーズブレードに変形し攻撃を与える。
「これで攻撃が効いたはず…」
しかし───
怪人はフレイムの最大威力の攻撃を与えられるが、全然ダメだった。
「…なら、アルテマウェポンでやるしかない!」
だが───
キーブレードをチェンジするが、チェンジができない!!
「貴方は最強のキーブレードを所持しているようね。最初から使えないようにしたので」
「何?!」
お祖母様の魔法でフレイムのアルテマウェポンの使用ができなくなっていた。ダイヤモンドダストしか使えない──
怪人がフレイムを突き飛ばした。かなりの衝撃でやられてしまった。
「…痛ってぇ…」
「お祖母様!これ以上フレイムさんを攻撃しないで下さい!!」
「貴方は黙ってなさい!大して勝負にもならないキーブレード使いはいらないのです!!」
「………」
おい…自分の娘だろ!
弱いから要らないって、そんな事言うか?!
ぜってぇ許さねぇ!!
「要らないって勝手に決めつけんなよ…!自分の娘だろ…!」
「フレイムさん…!」
「…弱いなら、強くなるように日々鍛錬をして強くなるんだよ!まだ分かんねぇのに勝手に決めつけやがって…!!」
フレイムの怒りの鬱憤──
その思いがエマを変えることになる。
「お母さん見て!キーブレードの試験合格したよ!」
「本当?おめでとうエマ…ゴホゴホ!」
「お母さん!!」
これは夢なの?お母さんも…お父さんも…なんで…なんでこうなる運命なの?
「エマ…貴方は私たちを守る存在になるって約束できる?」
「約束?」
「…エマ、このキーブレードを授けましょう」
渡されたのは、過ぎ去りし思い出──
けどなんで?
「このキーブレードはもう1つあるけど、そのキーブレードは…貴方の大切な人が持っているはずよ」
「大切な人?」
「きっと…貴方の手を差し伸べてくれる優しい人がいるよ…」
優しい人…探しても探しても見つからない。もう何年も経つのに…見つからない…。
(お母さん…お父さん…優しい人なんて…)
完全に力尽きてしまっているフレイム。俺は本当に弱いのか…?いや…まだだ…!
「俺の心は…キーブレードより強いんだぁぁぁぁぁぁ!!!!」
フレイムが1面の光を体中が覆った。その光がエマの心に宿った───
「エマ…力を貸してくれ!」
「私の力…私はそんなに…」
フレイムのダイヤモンドダストは光り──
約束のお守りへと変わった。
約束のお守り…大切な人…!!
「まさか…思いが宿って約束のお守りが…!!」
過ぎ去りし思い出と約束のお守りを使い、二刀流を使いこなす戦法を打って出た。
「何?!攻撃が大きい!!」
二刀流の攻撃力に度肝を抜かれ、唖然するエマのお祖母様。
これはアルテマウェポンと同じぐらい強いかも!!
(効いてる!!この調子なら行ける!!)
ロック数3の攻撃、アタッチブリザードを繰り出す!!
(凄い…フレイムさんキーブレードを初めて使うのに、あんなに使いこなせるなんて…さすがだわ)
「あんなにも使いこなせるとは…この子恐ろしい…」
二刀流の使いこなし、巨大な怪人を倒したフレイム───
初めてのキーブレードを使いこなし、攻撃技約束魔法を繰り出す戦法、もうソラに近い存在になっている。
フレイムはエマのお祖母様によった。
「……」
「…実に面白い方ですね。是非とも我が皇居の…」
「…違ぇだろ」
「はい?」
「フレイムさん…」
フレイムはまだエマの暴言に許しはしていなかった。辛さも分かっていなかったお祖母様を、声を大にした。
「…私は…そんな事1度も思ってません!!愛する娘のために…亡くなられたお父様やお母様任せられた使命なんです!」
「は…?任せられた使命?エマの心は折れそうになってたんだぞ!!」
(心が折れそう?フレイムさん…心が繋がっているのですか?!)
「…私、弱いのですか…?」
暗い道を歩み続けるエマ。しかし…心が折れそうになっていた。
「エマ」
「…誰?」
「もう心配いらねぇよ。やっと見つけぞ…約束のお守りを」
「…フレイムさん、ありがとうございます。ずっと探していたんです。約束のお守りが私の大切な人だと!」
「俺の心はそんなに強くない。けど、友達や家族の思いがあるから…」
家族の思い…
「お祖母様!」
「…エマ?」
「…私、強いキーブレード扱いになりたいんです!」
「馬鹿な願いはやめなさい!貴方はまだ…」
「”弱いキーブレード使い”じゃなくて”強いキーブレード使い”になりたいんです!いや…なってみせます──
私の大切な人と共に!!」
その言葉と同時にフレイムの手を握った。
確信がついたのだ。弱いなら、共に進んで行けば…光る兆しが!!
「…任せてください!必ず俺がエマを最強のキーブレード扱いになってみせます!」
「…共に進もう…エマと…」
「フレイムさん?」
「…んん?ローズか、おはよう」
「また夢でも見ていたんですか?しかもエマって誰ですの?」
「…知らね」
教室
「…最近寒くなってきたな」
「本当ね、風も冷たいし風邪ひいちゃう」
さり気ない日常会話が聞こえる教室。
「皆さん、尻尾ハグ知ってる?」
「尻尾ハグ?」
「ドラマでやってる恋愛みたいな?」
昨夜のドラマでやっていた「LOVEだっち」の最終回がやっていて、朝から皆大騒ぎらしい。
「…えぇ…僕は…そうゆうのあんまり…苦手…」
「ダイヤちゃん、せっかくだから尻尾ハグしない?」
「いいよキタちゃん!」
「それじゃあ…え?」
尻尾ハグをしようとするキタサンだったが、その隣に黒と青緑の毛色の尻尾が──
「…悪いなキタサン、ダイヤとの尻尾ハグは俺が貰ったぜ!」
「えぇぇ?!フレイムさんいつの間に?!なんでなの?!」
「言っとくけど、ダイヤからの許可は頂いてるよ〜」
「…いや、なんでダイヤちゃんと?」
「なんでって…大切な人だからかなぁ〜?」
とか言ってるけど、エマとダイヤは本当にそっくりだし、何故かそう思っちゃうよな──
12月上旬
チームスクーデリア トレーナー室
「初めましてスクーデリアローマ君!」
「…初めまして、ワンダーウィードさん…」
室内には三井とローマ、ルドルフ、そして…
「早速本題だ、君のウマ娘を…世界のカテゴリーにレギュラーとして───」
この出来事が、フレイムの残酷な過去を知ることになるかもしれない…