カナメ視点
「「んじゃ、俺帰るな」」
「色々ごめん。また明日学校でな、それとイタチくんお大事にって伝えてて」
「「お〜!またな!」」
…もう何も考えたくないや。早く風呂入って寝よ。ていうか学校どう過ごしていこう。いつも通りでいっか。いつものように笑って、無表情すぎず…それでいいんだ。
((…あの病院から電話?もう用なんてないでしょ。英語で喋るの嫌だし))
「はい。え?葬式日本でするんですか?そちらで良いですよ…自分で向かうんで」
「分かりました。明後日頃にそちらへ行きますね」
葬式か…俺ちゃんと出来るかな
寝よ。
「…((え、母さん))」
カナメ母「ごめんね。カナメ」
「…母さん…!母さん!!…え?
なんで!触れれない!なんで…」
カナメ母「ごめんね…父さんと母さんが病気患ってたの言えばよかったよね…ごめんね…」
「病気って…」
カナメ母「早く見つかったんだけどね…何をしても治らなかったの…。海外でも」
「…母さん…」
カナメ母「もう時間かな…!カナメ!追いかけて南へ来ちゃダメよ。北へ進みなさい。母さんとの約束。この先きっと暗い未来があるのよ…けど、その場所で諦めてしまっちゃダメ。今いる友達とかがきっと道標よ。きっと、カナメがどんな場所へ行こうが、カナメを救ってくれる。それと、もし仮に幻覚、幻聴が起きても…それは私じゃないと思いなさい。ここからはきっと…カナメには言わなくていい事かしらね。ごめんね。こんな母さんで。幸せになりなさいね…」
「母さん!!!」
「はっ!!…かあ、さん?」
夢?俺の…アドバイス…。覚えてる。記憶にある…。あれ、そこに目の前にいる母さんって…。
歩いて抱き締めようとすると、母さんは消えた。なーんだw幻覚か。…母さん達の手紙…。ベッドサイドに置いて寝てたんだったな…。もう二度とこの字を見ることは無い。もう二度と家族からの愛を受け取れない。もう二度と…母さんと父さんの顔が見れない。
((今何時…あーもう学校の支度しないと…
なのに、
なんで…泣いてんだろ俺))
早く支度して出よ。ここにいたら…辛くなる。
イズミ視点
カナメの家向かおっかな。丁度家目の前だし。
俺と同じようなチャイム音を鳴らしたが、走る音すらも聞こえず、応答はない。
(?いない?もう行ったのか…なら早く行こっと)
「あ、イズミおはよー」
「「おはよ!カナメ。もう大丈夫か?」」
「うん。大丈夫。」
そう言って顔はいつもと変わんねぇが…カナメ自身何か壊れてるように見える。
カナメのことが好きな人「カナメくん…ここ教えてくれない?」
「あーうん。いいよ…ここはさーーーー」
カナメの事が好きな人「ーーーー?」
「正解。よく出来たね。」
カナメのことが好きな人「ありがと!カナメくん!カナメくんってやっぱ凄いね!」
「ありがとう。そんな事ないよ」
カナメの事が好きな人「いやいや!何かなんでも出来て、悩みもないような雰囲気が良いと思う!」
「……そっか!それはありがと。またね」
「「…」」
なーにが悩みなさそう!だ。思いっきりあるだろうが。
カナメ視点
悩みのないような雰囲気…ねぇ。やっぱ悩みのない俺の方が良いよね。けど、無理だ…。だって、母さん達の事を気付けなかった。一方的に嫌われてるって確信して、隠された愛にも気付かず…最低じゃんか。
体育の授業中。頭が働かない。相手の隙が見えない。得意のバレーなんだけど…。
クラスメイト「カナメ!あぶねぇ!!」
ドゴンッと力強いスパイクが俺の腹に当たった。勢い良すぎるあまり、壁にもたれた。
拾う構えをしておけば確実に繋げれていただろうか…。
「いって…」
クラスメイト「ご、ごめん!腹大丈夫か?すげぇ音したけど…」
「うん。大丈夫。念の為保健室行く」
クラスメイト「まじでごめんな…」
「「あ!待って俺も行く」」
「ありがとうイズミ。」
「「あ〜?保健の先生いないんか。じゃあ俺が見てやろーう」」
「うげwマジかよ」
「「女の先生より仲良い俺の方がいーだろ?ほら見せてみろ」」
「ん…」
「「うーん。ちょっと腫れかけっぽいな」」
「そっか〜」
「「日にちが経てば治ると思うぜ!今日明日は痛ぇかも」」
「ありがとさん」
「「ていうかカナメって腹筋割れてるんだな!すげ〜」」
「イズミは割れてるの?」
「「カナメ並に割れてないなぁ…悲し」」
「そのうち割れるよw」
「「んじゃ、授業戻るか」」
(あの腹の大量の傷は…なんだ?)
その後は授業がなかったから、イズミと一緒に帰った。俺のことは何も触れないでくれた。いつか言えるようになったら言うって思ってたのに。言えそうにないや…。あんな事思っておいて言えないなんてホントだっせぇ…。
家に帰ったけど、何かお腹空かないや。でも食わないと死ぬし、母さんの約束守れない。ヨーグルトでも食べれば生きとけれるか。その後は覚えてない。
多分風呂入った。風呂場濡れてたし、シャワーから雫が落ちてたし。気付いたらベッドに座ってて、髪ももう乾いてる。肩にはタオルがかけられてた。時計を見れば0時だった。早く寝よ…
寝れない。寝ようとすると母さん達を思い浮かぶ。母さん達がここにまだ居た頃を…。一緒に笑ってくれた日。一緒に考えを述べた日。愚痴を聞いてくれた日。急に家事をやってみろと言われた日。ある日突然厳しく家事、掃除を教えられた日。母さん達とお別れをする時、俺を抱き締めてくれた…日。俺に…手紙を…置いて最期を見送れなかった日…。
イズミ視点
カナメのあの顔を見てから約2週間経った。
俺以外の奴から見て普通らしいが、俺から見たらおかしい。不器用満載の笑顔が見なくなって、反対に愛想笑いになっていた。
カナメの今の”なにかの苦しみ”の1つは、カナメの家族だろう。手紙の内容は本当に見てないが、返事からして少し予測出来ていた。
そして最近、一緒には帰っているが返事が遅い。自分にとって不都合で無視しているとかでは無くて、本当に聞こえてないような感じ。今日は用事があると言って、先に帰ってしまった。
俺、このまま待った方が良いのかな。でも…待てば待つ程…カナメの苦しい顔を見続けて辛い。
学校帰る道には近くに海がある。今日はふとそこへ目に入った。少し近くに行って見に行こうかな。…え、あれカナメ?…死ぬ訳ないよな。
カナメ視点
今日はイズミと帰るの断っちゃったな。イズミと一緒にいるのが嫌でもなくて、ただ辛くてたまらなかった。
海…そういやこんな所にあったな。久々に目に入ったな。少し、海の近くへ行きたいな
『悩みなさそうな雰囲気で良いと思う!』
『北へ行きなさい』
…守らないと…。母さんの約束。最期に言ってくれた約束…。けど、気付いたら俺は海へと足が浸かって行った。この足を、誰か止めてくれ…。
会える訳が無いけど、母さんか父さんが…俺を止めてくれないかな。
幻覚でいいや…母さん、父さん俺を止めてくれよ。
「「カナメ!!!!」」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!