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初めての友達

9 - 第8話 北へ…?

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2024年06月16日

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カナメ視点


「「んじゃ、俺帰るな」」


「色々ごめん。また明日学校でな、それとイタチくんお大事にって伝えてて」


「「お〜!またな!」」


ガチャン…と音と共にイズミの姿はなくなり、自分1人だけの寂しさ、家族が誰もいなくなった辛さが一気に頭の中へとのめり込んでくる


昨日からさっきまで、忘れたくて忘れていた事が、全て頭に入ってくる



…もう何も考えたくないや。

早く風呂入って寝よ。ていうか学校どう過ごしていこう。いつも通りでいっか。

いつものように笑って、無表情すぎず…それでいいんだ。


…あの病院から電話?もう用なんてないでしょ。英語で喋るの嫌だし



着信を了承して、耳元にスマホを近付ければ、滑舌良すぎて稀に何言ってるか分からない、聞いた事のある人から、葬式の話が繰り広げられる



「はい。え?葬式日本でするんですか?そちらで良いですよ…自分で向かうんで」


「分かりました。明後日頃にそちらへ行きますね」



電話を切り、すぐ後ろにあるベッドへと倒れて天井を見る



葬式か…俺ちゃんと出来るかな

寝よ。































「…え、母さん」


カナメ母「ごめんね。カナメ」


「…母さん…!母さん!!…え?




なんで!触れれない!なんで…」


カナメ母「ごめんね…父さんと母さんが病気患ってたの言えばよかったよね…ごめんね…」


「病気って…」


カナメ母「早く見つかったんだけどね…何をしても治らなかったの…。海外でも」


「…母さん…」


カナメ母「もう時間かな…!カナメ!追いかけて南へ来ちゃダメよ。北へ進みなさい。


母さんとの約束。この先きっと暗い未来があるのよ…けど、その場所で諦めてしまっちゃダメ。今いる友達とかがきっと道標よ。

きっと、カナメがどんな場所へ行こうが、カナメを救ってくれる。


それと、もし仮に幻覚、幻聴が起きても…それは私じゃないと思いなさい。ここからはきっと…カナメには言わなくていい事かしらね。ごめんね。こんな母さんで。幸せになりなさいね…」


「母さん!!!」


































「はっ!!…かあ、さん?」


夢?俺の…アドバイス…。

覚えてる。記憶にある…。あれ、そこに目の前にいる母さんって…。



歩いて抱き締めようとすると、母さんは消えた。


なーんだw幻覚か。…母さん達の手紙…。



振り返ってベッドを見たら、サイドに手紙を置いていたことに思い出した



ベッドサイドに置いて寝てたんだったな…。

もう二度とこの字を見ることは無い。もう二度と家族からの愛を受け取れない。もう二度と…母さんと父さんの顔が見れない。


今何時…あーもう学校の支度しないと…

なのに、

なんで…泣いてんだろ俺



-北へ進みなさい-



母さんが言ってくれた言葉…生きないとなぁ。







早く支度して出よ。ここにいたら…辛くなる。




イズミ視点

カナメの家向かおっかな。丁度家目の前だし。

生存確認……じゃないけど



俺と同じようなチャイム音を鳴らしたが、走る音すらも聞こえず、応答はない。



?いない?もう行ったのか…なら早く行こっと





















































暑くて汗をかきながら、廊下を歩いて扉のしまったエアコンがあるという天国の教室を開ける。



あ〜幸せ。ガチ天国。



真ん中の後席を見れば、顎に手の平をのせてボーッとしているカナメがいた





















ハイライト……昨日の時からねぇな
































「あ、イズミおはよー」

「「おはよ!カナメ。もう大丈夫か?」」



そう言いながら、カナメの隣の席である自分の席に座り、鞄をサイドにあるフックに引っ掛ける



「うん。大丈夫。」


そう言って顔はいつもと変わんねぇが…

カナメ自身何か壊れてるように見える。



俺たちの会話が一旦終わった頃に、タイミング良くクラスの女がカナメに近付いて行くのを見て、掌を顎に付け、2人をジッと見る



不審者に思われてない…よな


カナメのことが好きな人「カナメくん…ここ教えてくれない?」


「いいよ。ここはさーーーー」


カナメの事が好きな人「ーーーーー?」


「笑 ーーーー。」


カナメの事が好きな人「ーーーー?」


「正解。よく出来たね。」


カナメのことが好きな人「ありがと!カナメくん!カナメくんってやっぱ凄いね!」


「ありがとう。そんな事ないよ」


カナメの事が好きな人「いやいや!何かなんでも出来て、悩みもないような雰囲気が良いと思う!」


「……そっか!それはありがと。またね」



「「…」」


なーにが悩みなさそう!だ。

思いっきりあるだろうが。

カナメの事が好きなんなら、少しくらい何か気づいてやれよ








カナメ視点


悩みのないような雰囲気…ねぇ。

やっぱ悩みのない俺の方が良いよね。けど、無理だ…。

だって、母さん達の事を気付けなかった。

一方的に嫌われてるって確信して、隠された愛にも気付かず…最低じゃんか。






やっぱり、中学の時に言われた「クズ」は本当なのかもねw





























体育の授業中。頭が働かない。相手の隙が見えない。得意のバレーなんだけど…。



ー北へ進みなさい-










うるさい…うるさいよ!なんなんだよ!

好きなバレーなんだよ…邪魔しないでくれよ!





あとで、存分に聞いてあげるから!!

















クラスメイト「カナメ!あぶねぇ!!」



ドゴンッと力強いスパイクが俺の腹に当たった。勢い良すぎるあまり、壁にもたれた。

拾う構えをしておけば確実に繋げれていただろうか…。



これも、俺が受ける罰かな



「いって…」


クラスメイト「ご、ごめん!腹大丈夫か?すげぇ音したけど…」

クラスメイト「うそぉ!?カナメ今の取れねぇの…。なら俺も取れねぇわ」



クラスメイトのやつは、猛ダッシュで、俺の心配をしてくれた。


中学の時はこんなのなかったな



「うん。大丈夫。念の為保健室行く。

体育の先生に伝えてて」


クラスメイト「まじでごめんな…」


「「あ!待って俺も行く」」


「ありがとうイズミ。」





イズミに肩を貸してもらいながら、左手で腹を擦りながら、保健室まで辿り着き、ガラッ!!と勢い良くイズミが開ければ、微かに人の気配がする保健室ではなかった。


「「あ〜?保健の先生いないんか。じゃあ俺が見てやろーう」」


「うげwマジかよ」


「「女の先生より仲良い俺の方がいーだろ?ほら見せてみろ」」


「ん…」



摩っていた左手をそのまんま、服を胸部まで上げ、イズミに見てもらう。


何だか恥ずかしい。

それに、しなければならないから、服を上げてるけど、こんな汚らしい腹なんて見せたくない。




「「うーん。ちょっと腫れかけっぽいな」」


「そっか〜」


「「日にちが経てば治ると思うぜ!今日明日は痛ぇかも」」


「ありがと」


「「ていうかカナメって腹筋割れてるんだな!すげ〜」」


「イズミは割れてるの?」


「「カナメ並に割れてないなぁ…悲し」」


「そのうち割れるよw」


「「んじゃ、授業戻るか」」



(あの腹の大量の傷は…なんだ?)



その後は授業がなかったから、イズミと一緒に帰った。

俺のことは何も触れないでくれた。

いつか言えるようになったら言うって思ってたのに。



言えそうにないや…。

あんな事思っておいて言えないなんてホントだっせぇ…。


-北へ進みなさい-



家に帰ったけど、何かお腹空かないや。でも食わないと死ぬし、母さんの約束守れない。

ヨーグルトでも食べれば生きとけれるか。




その後は覚えてない。

多分風呂入った。風呂場濡れてたし、シャワーから雫が落ちてたし。気付いたらベッドに座ってて、髪ももう乾いてる。肩にはタオルがかけられてた。時計を見れば0時だった。早く寝よ…























寝れない。寝ようとすると母さん達を思い浮かぶ。


母さん達がここにまだ居た頃を…。



一緒に笑ってくれた日。一緒に考えを述べた日。愚痴を聞いてくれた日。急に家事をやってみろと言われた日。


ある日突然厳しく家事、掃除を教えられた日。

母さん達とお別れをする時、俺を抱き締めてくれた…日。


俺に…手紙を…置いて最期を見送れなかった日…







イズミ視点



カナメのあの顔を見てから約2週間経った。









俺以外の奴から見て普通らしいが、俺から見たらおかしい。



不器用満載の笑顔が見なくなって、反対に愛想笑いになっていた。

俺と2人きりになれば、無理して笑うことは一切なく、無表情で言葉を綴り続けてた。

笑うことがあっても、無理して笑っているような





普通のやつなら、きっと怖いだろう。

だけど、俺は見慣れてたという事もあるだろうが、そこまでは…怖くなかったが、今までの中では1番だった。



カナメの今の”なにかの苦しみ”の1つは、カナメの家族だろう。

手紙の内容は本当に見てないが、返事からして少し予測出来ていた。


そして最近、一緒には帰っているが返事が遅い。


自分にとって不都合で無視しているとかでは無くて、本当に聞こえてないような感じ。今日は用事があると言って、先に帰ってしまった。



俺、このまま待った方が良いのかな。でも…待てば待つ程…カナメの苦しい顔を見続けて辛い。

学校帰る道には近くに海がある。

今日はふとそこへ目に入った。少し近くに行って見に行こうかな。




海の方へ顔を向けながら、歩いていると、見た事のある綺麗なホワイトカラーの髪色で、細身な人が海を見つめている















…え、あれカナメ?…死ぬ訳ないよな。



カナメ視点


















息が苦しい。辛い。


しんどい。


最近ずっと、誰かに俺の首を絞めているような、そんな感じになる。



どうしてなんだろー笑







































今日はイズミと帰るの断っちゃったな。イズミと一緒にいるのが嫌でもなくて、ただ辛くてたまらなかった。


言い訳…だよなこんなの。

こんなんただのクズじゃねぇか。



















































あーいや、”クズ”か笑


















ふと横を向けば、隣にはイズミが居なかったから、いつも見えなかった綺麗な海が見えた



海…そういやこんな所にあったな。久々に目に入ったな。少し、海の近くへ行きたいな



『悩みなさそうな雰囲気で良いと思う!』

『北へ行きなさい』



…守らないと…。母さんの約束。最期に言ってくれた約束…。




































そして、俺が悩みなんてあまり考えないようなそん世界が、いつか…来るんだよな?




















母さんと父さんが病気で死なずに今も健康に生きていけたらという架空のこの世界に…俺は、何を求めてる?

































なのに気付いたら俺は海へと足が浸かって行った


















この足を、誰か止めてくれ…。

会える訳が無いけど、母さんか父さんが…俺を止めてくれないかな。





















幻覚でいいや…母さん、父さん俺を止めてくれよ。

















































カナメ!!!!



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