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イズミ視点
「「カナメ!!!!」」
待ってくれ…。死なないでくれ!俺にはお前がいないと…初めて友達と思えた…。やっと心の底から信頼できる奴とやっと出逢えた。
お前が死んだら…
「イズミ…」
「「…!」」
カナメの肩に、添えようとする右手は硬直した
酷い顔だ。
ここまで近くで見たこと無かったから、気付かなかったけど…酷い隈だ。
ほぼガチ恋距離ぐらい。
無表情で、無理してるような素振り見せなかったから気付けなかった。いつくらいから寝ていないんだろうか。
寝ていても3時間程度か。
…今まで無理していたのだろうか。
「やっぱ…イズミだよねぇ…w」
「「…」」
その言葉には、どんな意味があるのかなんて、今の頭じゃ考えれない。
そんな事よりも…俺は何も言葉は出なかった。
普通ならば「「良く頑張ったな」」「「気付けなくてごめん」」なんて言葉が出てただろうに。
ただ抱き締めることしか出来なかった。
水は膝ぎりまであって、海ん中走ってカナメを追いかけたから、全身びしょ濡れ。
それに、急いで向かって少し高さのある段差を飛び降りたから両足首痛めたが、
そんなのどうでもいい。
ただ、カナメの頭を撫でて、抱き締めて…それしか出来ない俺が情けない。
今までもこういう事あっただろ?そういう風にすれば良いのに、なんで………
なんで今になって、出来ねぇんだよ。くそ…
「…体冷えちゃうよ…」
「「…良かった…」」
咄嗟に出た言葉が出て、そのまま勢いに任せた。
「え…」
「「生きていて…良かった…。見つけれて良かった…!ごめん、気付けなくて」」
「…見つけてくれてありがとう」
なんで俺が泣いてんだろ…。
泣くのはカナメなのに。
いつもカナメから香る少し甘めの匂いはなく、
香りなんて何も無かった
カナメ視点
そりゃ母さん達が止めてくれるわけがないよ…。死んでんだから。でも、イズミが来てくれて嬉しかった。止めてくれてありがとう。
俺がイズミより身長低いからイズミの胸元へ顔が当たる。抱き締められてるから…心臓の音聞こえる。
鼓動が早い。焦ってきてくれたのかな…
それに、泣いてる…。今なら…
「…俺ってさ、生きていていい…?」
「「……あったりめぇだろうが…!」」
「…ほんとに?」
「「ガチで…!!お前いねぇと俺生きてけねぇよ!」」
「…ありがとう。」
俺がいないと生きてけない…か。嬉しいな。
母さん、母さんはこれを見計らってあーやって答えたの?
あの後10分ぐらい、海に浸かってイズミに抱きしめられていた。
俺も、不意に抱き締め返していた。
「そろそろ離して?wマジで風邪ひいちゃう」
「「ごめん…w歩ける?」」
「うん」
歩けるって言ってんのに、手を繋いで導いてくれる。
…ふと横を向くと、母さんと父さんが見えた。口パクだが、「生きていて良かった」そう喋ってるように見えた。父さんは安心したような、見た事ない笑顔を見た。やめてよ…明後日2人の葬式なのに。
だけど、これも幻覚と考えると辛いな
非科学的なもの……今はこの言葉を忘れてたい
「「家まで送ってく」」
「そこまでしなくて良いんだよ?」
「「いーの。今日は甘えとけ」」
「ありがとう」
「「ここだっけ?家」」
「うん。ここ。送ってくれてありがとう」
「「またな」」
「…またね」
またな、かー。
玄関のドアを開けて、廊下を歩いて自分の部屋に入ってすぐ目に止まったのは、床。
中学以来からやってない何週間も掃除をサボる事を、 今している
…部屋汚な…。いつから掃除してないかな。
ここ数週間はしてないな。けど、気力湧かないや
明日は…とりあえず学校早く終わって…明後日は葬式の為休んで…。
あぁ、やっと母さん達の顔が見れるのか。
約3年ぶりか…ていうか寒。早く風呂入ろ
飯飯…。ゼリーしかない。
そういやしばらく買い出ししてなかったな。
まぁいいか、あんまし腹減ってないし。
…歯磨きもしたし、制服も干したし、寝よ。
今は…0時前か。今日は4時間以上寝れるといいな。
((うーん…あ?母さん、父さん))
母「カナメ…」
「母さん…?」
父、母「じゃーね…」
「待って…?そこ、屋上…!待って!ねぇ…俺もそっちに行かせてよ!!」
「…」
「はぁ、はぁ、はぁ…」
また…こんな夢…。
『じゃーね…』
あぁ〜…もう。そんな言葉、聞きたくねぇのに
ここ最近ずっとこんな夢ばっか見て、寝れやしない。もう1回寝ても違うこんな夢を見て…。でも、どんな違う夢を見ても、母さんと父さんが死ぬ夢ばかり。俺も死ぬというのは一切見ない…。追いかけて死のうとしても、止められて2人だけ死ぬ。
夢で良いから、俺も死なせてくれよ。
辺りが明るくなった。やっと朝が来た。
と 言っても、4時30分ぐらいだけど。あの後1度も寝れなかった。顔色、隈が悪くなる一方だ。
目標にしてた4時間以上というのは超えられず、3時間程の睡眠だった。眠いのは眠いが、今すぐ寝たいという欲はない、そして学校では不思議と眠くない。
5時…。学校行くにはまだ早いし、少し近所ランニングしておけば6時ぐらいになって良い時間帯になるか
ランニングここ最近していなかったような?
腹筋は…少し消えたか?また作るか。
人並み以上には多分割れてるかと思う。高校生なの!?って腹チラやら何かの拍子に見えたらそう言われる。
俺の自己満とも言えるが、何故か一時期俺全てが汚らしく見えて、腹だけでもって思って本気で鍛えたんだよな…。
髪型は…まぁ多少人に見られても大丈夫だろう。靴紐結んで早く行って帰ろう。
…あっつ…。完全な猛暑日で15分もすれば全身汗だくになる。こりゃ帰ったら朝シャンだな。
今日は人気がないから女性の方に見られずに済む
ラッキー
「あっつ」
早くシャワー浴びよ。
鏡を見れば、中学の頃から変わらず、目に一番に映るのは、自傷行為、相手に付けられた傷まみれの腹を見る。
その都度、俺は吐き気を襲われる。
腹の傷、もうこれは一生消えないだろーな。
中3の頃に何回も傷を付けられて、古傷も色々残りまくりだ。
…人に見せれる腹ではないのに、イズミに見せてしまった。
引かれたかな、気持ち悪いよな。こんな腹。
いくら鍛えて割れてると言っても、傷が残ってたら気持ち悪い。
こんな事考えたくないし、こんな腹も見たくないから、早く上がろ。
髪乾かして…お、丁度良い感じの髪型になった。
今は…6時30分か。 少し早いけど学校の用意しよ。良かった。制服乾いてる
飯も食って、歯磨きもして、…よし、いつも通り。いつも通りの顔。いつの間にか、鏡でいつもの顔をチェックするのが当たり前になってるな。
行ってこよ。
「「…ん?あ、カナメじゃん!おはよ」」
「おはよ。今日はこっちから来たんだね」
「「まーな!気分的に」」
(ちゃんと生きてるのか確かめたかった。が正確だけどな)
「今日来るの早いね?まだ登校時間の1時間前ぐらいだけど…」
「「何か思ったより寝れないから学校で寝ようと思ってな!」」
「なるほど」
「一緒に登校しない?」」
「もちろん」
「「今日さ〜イタチが寝ぼけて俺の部屋まで来て、隣に寝ての故に寝ながら俺に腹パンするんだわ。酷くねぇか?」」
「ごめんw笑いでるww」
「「笑ってくれて嬉しいけどよぉwマジで死ぬか思ったんだぜ!?起こさんように声抑えてさ!だから朝叱ったわ」」
「面白い話だねw」
「「だろ?w」」
ほんとに面白い。イズミが俺の兄だったら、同じ苦しみを分け合えていただろうか…。
流石に良くないか…笑
数学の授業中だが、 ノート書きすることは、ほぼなく先生の話をただひたすらに聞く中、久々に段々と睡魔が襲ってくる
隣を見れば、どうやらイズミもで、目が合って欠伸をしながら喋りかけてきた
「「ふぁー…ねんむ…」」
「授業中だぞ?んでも俺も眠くなりそう」
「「何でこの先生って毎回眠くなるんだろーな」」
「自分の話が眠くさせるって分かってるのかのように、先生成績下げますよって言うもんな。いやらしい」
「「いやホントにな…」」
先生「イズミくん、カナメくん。2人とも良く喋ってますね。喋ってるのならば理解仕切ってるのですね?ならばこの問題解いてみてください」
「「うげ…激ムズの問題じゃんか」」
「ーーーです」
先生「なんだと!?…正解です…。次は○○さん」
「「サンキューカナメ」」
「勘で当たって良かった〜…」
その後の授業、昼飯も順調に終わって帰る時間になった。今日は何だか眠かったな…
「「かなめ〜! 一緒に帰ろうぜ」」
「いいよ〜」
「「よっしゃ!」」
「「今日一段と眠たかったわ…。」」
「んでも寝てなかったじゃん」
「「寝かけはしたわ!」」
「自慢げに言うなよw」
昨日からイズミに「「お前がいないと俺生きてけねぇよ!」」って言葉がずっと再生される。
俺にとってうれしい言葉だったのだろうか?それとも、生きる理由?みたいなのになったからなのだろうか
「「カナメー?聞いてた?」」
「…え、あ!ごめん、もっかい言ってくれる?」
「「ん。今日さ暇だったら新しく出来た飲みもんだけ飲みに行かない?それ買って歩いて帰っても良いし」」
「あーいいね!すぐ近くのアレでしょ?」
「「そー!」」
「俺も気になってたんだよね。買って歩きながら帰ろ」
「「よっしゃ!!」」
嘘。全然気になってなかった。というかそういうのを見ていなかった。ここ最近ずっとLI○Eかヨーチュウブしか見てなかったから。何の気力も起きなかった…本当は最新のものを見たかったけど、それを見る事すら嫌だった。
「「うわ、涼しい〜!」」
「「なに飲もっかなー」」
「俺はこれで」
店員「かしこまりましたー」
「「あ〜、俺はこれでお願いします」」
店員「かしこまりましたー。他はいりませんか?」
「はい」
店員「では、金額800円になります」
「「割り勘すっか」」
「りょーかい」
店員「すぐ出来ますのでお待ちくださーい」
「「楽しみだな〜」」
「な」
店員「お待たせ致しました〜ご注文の品です」
「「んじゃ、行こっか」」
「おう」
美味しい…な。久々にこんな飲み物飲んだな。最近ずっと水かお茶で過ごしてたし…。
「「なぁ、これめっちゃ美味い。飲んでみ?」」
「良いの?じゃあ俺のも1口飲んでいいよ」
「「よっしゃ。それも気になってたんだよな」」
「…美味これ。お気に入りになった」
「「俺カナメの方がお気に入りなったw」」
「まじかw物々交換する?w」
「「良いのか?!じゃあ物々交換な!」」
「「はぁー美味かった。あ、丁度カナメん家だな。一緒に行ってくれてサンキュな!また明日!」」
「…明日明後日もしかしたら用事があって休むかも」
「「?そーなのか。りょ!」」
「「じゃあまた明明後日!」」
「おう!」
…疲れたぁ。イズミといるのじゃなくて…色々考えすぎて疲れた…明日は母さん、父さんの葬式か…。ほとんどが海外の人だろうな。英語、ちゃんと喋れるかな。一応誰とでも喋れる程度には勉強してあるけど…。
あれ、イズミからLI○E…
玄関に余った飯置いてるから食べろよ!って来てる。見てみるか
玄関を開けると、右の方に袋に包まれた飯が置かれていた
「うわ美味そ」
見ただけで美味しそうで思わず声が出た。
見た感じ今日はイズミが作ったのではなさそう。イタチくんっぽいな。
椅子に座って早速食べてみる事にした。
「…美味い」
こんな美味しくて満足気のある飯はいつぶりだろうか。美味しすぎてあっという間だった。今度お礼言っておこう。
今日こそちゃんと寝たい。母さん達を見送る時くらい、綺麗な顔で見送ってやりたい。
寝よう。