テラーノベル
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第68話
俺はロルフの体を使って目を開けた。
泣いた女が一人いた。ここは、城のどこかだろう。
何をしたんだ?
まぁ、関係ない。
「ロルフ、なの……? 瞳が……生きてるんだよね…………貴方は、誰……?」
女が心配そうに言っている。
「ロルフが殺した友達の体の中に入ってた呪いと言ったら正解だな」
『やめろ! ロルフの体で何しやがる!』という黒人の男や『リュック! 目を覚まして』という光の子がウジョウジョ騒いでいるが知ったこっちゃない。
うるせえ。殺すぞ。
……それにしても、リュックの名前が出てくるなんて、どこの霊だ?
ロルフと関係するやつか……知らん。
「黒いモヤ……」
「あ? 呪いはそう言うもんだ。王の血を引き継ぐのにそんな事も知らないのか?」
『やめろっ!』
「ロルフ!」「「「ロルフさん!」」」
そう聞こえたと同時に大きな扉の開ける音がした。
この空間は俺の瘴気で溢れているはずだが、この女が浄化するから、効かない。
クソがっ……人の子にやられる俺ではない。
「ロルフから出ろっ! 光の子に何してるか分かってるんだろうな」
「おや? 勘違いをしてるみたいだな」
「勘違いって何だ?」
「ロルフは忌み子だ。俺が入ってる時点で分かるだろう」
そこまで聞くとここにいた殆どの人が青ざめた顔をした。
ふっ。そんな事も知らなかったのか?
だが、声を出してる奴らだけは顔色一つ変えない。
なんだ? 面倒だな……
「忌み子じゃない! ロルフは、貴方なんかに負けない!」
「ほう。度胸があるじゃないか」
俺は、ここ周辺に魔物を沢山呼び寄せた。
「これでも、言えるのか?」
『言えるさ。ロルフは負けん気が強いからね』
『無茶し過ぎるけど、これっぽっちの魔物で挫けるようなやつじゃないぞ』
『負けないと、ホルムの元王から断言する。頼んだぞ。ロルフ』
「お父様……私も、こんな状態のロルフに縋る事しかできないのは、悔しいけど、ロルフならできる」
何だ? こいつら……
「強気だが、果たして現実がそうかみてみろ」
俺は瘴気を大地全体にかけようとした。だけど、ロルフに邪魔をされて上手くかけられない。
光の男の癖に……生意気な……
微妙に強いが、このくらいなら振り払える。
「クソっ……」
俺は窓を割って、窓から布を使って飛び降りた。
外に出てもあいつらはしつこく着いてくる。
何だこいつら……片付けた方が早いか。
『そんな事にはさせないよ!』
そう言って女が俺の腕を掴んでいる。
「霊が何を言ってる! 口答えするな!」
そう言って振り払おうとしたけど、握力が想像以上に強い。
『ふふっ。女だからって舐めないでよねっ! ロルフの体だから、使い方はロルフしか分からないんだよ』
そう言って女は俺を飛ばした。
このチビが……もっとガタイのいい身体にはならなかったのかよ……
『アニカ姫! こっち!』
「分かった!」
そう言って、姫と呼ばれた王の血を引く女は俺の瘴気の殆どを浄化してしまった。
✡
僕はアニカのお陰で、体の所有権を奪えた。
言わないと……
「ごめんっ……ずっと、黙ってた。僕、忌み子なんだ」
「忌み子って何? ロルフは、光の子じゃないの?」
「呪いに取り憑かれた、光の家に生まれた人の事。アニカ。今の内に僕を殺して」
「嘘っ……嫌! ロルフを殺すなんて!」
そんな事言ったって……駄目なんだよ。
『ロルフ。急に、何を言ってる? 死ぬのを認めるのか?』
『そうだよ。呪いを取ればいいの。もう、そんな事するのはやめて』
『皆は生きて。お願いだから、しばらくはこっちに来ないで』
『お兄ちゃんは、駄目。忌み子って、よく分からないけど、死ぬのは絶対駄目』
皆……でも、できないな……
僕は、忌み子になってしまったのだから……
「皆、ごめんね。でも僕は、人々を、この景色をここまで酷くしてしまったんだよ」
「でもっ! ロルフと約束したじゃん! 一緒に行った所をもう一度、周るって!」
「ごめんね。僕も、もっと話したかった。ちゃんと伝えたかった……だから、もう無理なんだ。限界だ」
そう言ってアニカに剣を持つように促そうとした。
「僕を殺して。お願い」
〘うるせぇ。大いなる器だ。辞めろ!〙
僕は無言で首を横に振るアニカを見つめながら手を取った。
「え?」
「ごめんね。さようなら」
そう言ってアニカの手に剣を握らせて首を切ろうとした。
だけど、皆が僕の手を掴んで離さない。
それと同時に、ニコラさんやフリオたちが走ってきた。
あれ……皆……
「ロルフ! 何をしてるのか分かってる?」というニコラさんの声と『危ないな……』というリュックの声がハモった。
コメント
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第69話、読み終わりました。ロルフの体を乗っ取った呪いの存在と、それを取り戻そうとする仲間たちの必死さが対照的に描かれていて、すごく引き込まれました。特に「僕を♡♡♡て」と自分から剣を握らせるロルフの切なさと、それでも離さないアニカたちの絆に胸が熱くなりました。ここからどう巻き返すのか、続きが気になりますね。設定の重層的な作り込みも相変わらず素晴らしいです。
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