中也side
任務は思ったよりも簡単だった
数は多いが戦力は大した事ねぇ奴ばかり
情報を聞き出さなくてはいけない為
完全には殺さず、気絶させた状態で部下に引き渡した
任務も大事だが俺の意識は違う処にあった
其れは太宰の事だ
あの顔色、明らかに異常だ
瞬きをする間に倒れてしまいそうな程に
俺は兎に角太宰の元へ行きたかった
10分後、やっと部下への引き渡しが終わり
俺は其の場を駆け出した
時間的に太宰は未だ此の階には居ない
俺は下の階を急いで捜索した
すると3階から銃声が鳴った
計画書の事を思い出した途端
嫌な予感が頭を過った
ただ無心に銃声が鳴った方へと走った
3階に到達し一つ一つ部屋を見回っていると奥の方から何者かが歩いている姿が目に映った
俺は銃を構え此方へ歩いて来る人物を凝視した
すると歩いて来る人物は首領だった事が判明した
森「中也君かい」
中也「如何されたのですか」
中也「先程此の階から銃声が聞こえましたがご無事ですか?」
森「銃を撃ったのは私じゃないから大丈夫だよ、其れより」
森「君は太宰君が心配で来たのだろう?」
森「早く行ってあげたら如何だい?」
中也「ありがとうございます」
中也「お気を付け下さい」
森「ありがとう」
此の時は唯首領が見回りをしてくださっていただと思っていた
3階の一番奥の部屋に着いた
中から呼吸音がして部屋を覗くと
太宰が部屋の真ん中で蹲っていた
俺は焦って太宰の名前を叫んだ
太宰side
誰かが背後から呼び掛けている
然し其の声の正体は判明しなかった
唯苦しくて、唯死にたくて、
唯此の地獄から解放して欲しかった
頬に暖かい水滴が流れている
喉が焼ける様に痛い
肺が締め付けられる
呼吸の仕方が分からなくなった
もう死を覚悟する他無かった
中也side
中也「太宰ッ!」
太宰「は”ぁッヒュッヒュッはぁッヒュッ」
中也「おい太宰ッ」
中也「しっかりしろッ!」
太宰「ヒュッヒュッヒュッは”ッヒュッ」
何度も太宰に呼び掛けるが
如何やら俺の声は届いていない様だ
中也「息吐け馬鹿ッ」
太宰「ヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッはッはッヒュッ」
中也「息吸い過ぎだっつぅの!」
中也「おい、太宰ッ!」
中也「ッ太宰!」
太宰「ッ?」
太宰「ちゅうや、ボソッ」
無理矢理太宰の体を俺と正面にし全力で太宰の名を叫ぶと漸く声が届いた様だった
中也「俺と息の仕方合わせろッ」
そう太宰に伝えて深く深呼吸をすると
本人も何をするか分かった様で
苦しそうに顔を歪めて俺と呼吸を合わせた
太宰「すぅッは”ぁッヒュッは”ぁッ」
数分も経てば普通に呼吸をする事が出来るようになった
中也「俺が誰だか分かるか?」
太宰「、?」
太宰「ちゅ、中也?」
中也「はぁッやっと元に戻ったな」
太宰「…何で此処に居るんだい?」
中也「、偶々だよ」
中也(心配だった何て意地でも言えねぇ)
太宰「そう」
吐き捨てた様に台詞を吐くと
急に立ち上がろうとした
中也「おいッ」
案の定目眩を起こして倒れかけた
太宰「ッ」
中也「先程迄、過呼吸だった奴が立ち上がれる訳ねぇだろ!」
太宰「…..」
中也「…今聞く事じゃねぇかも知れねぇが」
中也「何であんな事になったんだ?」
太宰「…..」
俺の問い掛けに答える様子は無い
中也「…此れでも一応相棒だ」
中也「言ってくれなきゃ困る」
太宰「…..」
暫くの沈黙の末、太宰は口を開いた
太宰「、森さん」
中也「首領?」
太宰「…やっぱ何でも無い」
中也「手前が俺に隠し事何て珍しいな」
中也「いや、別に珍しくねぇか」
ふ、と太宰の視線が気になって
太宰の方を見てみると目の前には
敵組織の死体があった
恐らく生き残りだろう
其の時、何故だかは分からないが
首領と死体と太宰の体調不良の事で全て繋がった様に感じた
俺の勘は良く当たる
駄目だと分かっていながら俺は太宰に問い掛けた
中也「…なぁ」
中也「首領と何かあったか?」
太宰「、」
何時も隠し事をしたい時は無表情だが今日の太宰は微かに目を掠めた
何だか今日は嘘が分かりやすかった
中也「別に無理知恵はしねぇよ」
中也「言いたくなきゃ言わなくて良い」
太宰「…..」
太宰side
誰かが私に呼び掛けていた
でも何を言っているのか分からない
兎に角死にたいと考えながら息を吐く
暫くすると無理矢理体を起こされて
正面を向かせられた
掠れて視界にはオレンジ色の髪の毛と
青色の目が映った
回らない頭で必死に誰なのかを考えた
然し考えるよりも早く私は口を開いていた
太宰「ちゅうや、ボソッ」
合っているのかも分からない
でも咄嗟に出た言葉が中也だった
唯其れだけだった
心臓の音で相手が何を言っているのかは
分からなかったけれど
行動で何をしようとしているのか感じ取った
暫くすると呼吸は落ち着いた
段々と視界も明るくなり
音も聞き取れる様になった
中也「俺が誰だか分かるか?」
と聞かれて私は唯一言中也、と言った
中也は安心した様な表情を浮かべた
心の中は早く中也の目の前から消えたい
と言う気持ちでいっぱいだった
だから未だ落ち着いたばかりだけど
立ち上がって部屋から出ようとした
でもやっぱり上手くいかなくて倒れかけた
慌てて中也が私の身体を支えた
中也が気不味そうに心配をした
でも気づかれたくなくて黙った
本当に心配だったのか、中也は【相棒】と言う言葉を使った
珍しい事もあったものだ
其の言葉がやけに嬉しくて
つい口走ってしまった
答えてしまったからには質問責めだ
私は唯黙る事しか出来なかった
何かを感じ取ったのか私の視線の方向を見つめた
そして遂に森さんと何かあった事を悟られてしまった
内心物凄く焦った
バレたくなくて
聞かれたくなくて
心配を掛けたく無かった
でも正直言ってしまいたい自分も居た
少しでも楽になりたかった
今すぐ泣き出してしまいそうになって
必死に涙を堪えた
中也side
太宰は少し考えた後に俺の質問に答えた
太宰「…本当は私、人を殺せないんだ」
中也「…..」
太宰「昔は何も感じなかったのに」
太宰「探偵社に入って、光の世界に行って、変わってしまったんだ」
太宰「昨日の任務でも敵を殺す事が出来なかったんだ」
太宰「殺そうと思っても手が動かなくなって心臓が苦しくなって」
太宰「でも森さんが来て無理矢理殺させられた」
太宰「其の日から罪悪感で押し潰されてしまいそうで苦しかった」
太宰「昔から君に言って来なかった一つ事があってね、」
太宰「私が任務で失敗した時は其の日の夜に躾をされていたんだ」
俺は【躾】の事を聞きたかったが其の気持ちをぐっと堪えた
太宰「躾の内容は…ちょっと言えない」
太宰「だけど兎に角苦しくて辛い」
太宰「昨日も躾をされた」
太宰「今日の任務失敗したら又躾をするって脅されていたんだ」
太宰「だから絶対に失敗出来なくて帰る事を拒否した」
段々全ての出来事の辻褄が繋がっていく
太宰「あの時はありがとうね」
中也「、おう」
太宰「先程も銃を向けた途端に体が硬直して動かなくなって」
太宰「結局森さんに無理矢理やらされた」
あぁ、全てが繋がっていく
太宰「人を殺した事を認めたくなくて、いや認められなくてあぁなってた」
太宰「…今話せるのは此れ位かな」
俺は唖然としてた
そんな事が俺の知らない所で起こっていたとは信じられなかった
其れと同時に何も気付いてあげられなかった自分に嫌気が刺した
太宰「私はね同情されたい訳でも無くて心配して欲しい訳でも無いんだ」
太宰「唯君にお礼を言いたいんだ」
太宰「ありがとう、助かったよ」
太宰「そしてすまない」
俺は唯、
中也「…気にしてんじゃねぇよ」
気を使う事しか出来なかった
太宰の頭に帽子を乗せて
自分の背中に太宰を背負った
太宰「、自分で歩けるよ」
中也「先程倒れた掛けたばっかじゃねぇか、説得力ねぇわ」
中也「大人しく背負われとけ」
太宰「…ありがとうボソッ」
背中から鼻を啜る音が聞こえた
暫く経てば肩の部分が涙で濡れて
冷たく俺の肩を冷やした
太宰を車に乗せて拠点へ戻った
車に着く前に太宰は眠ってしまっていた
寝ている太宰の顔は昔よりも大人びていて
とても疲れていた
目には白い肌には似合わない黒く濃い隈が
くっきりと目立っていた
拠点に着けば又背中に太宰を背負い
太宰の執務室へと向かった
相当眠かった様でソファに寝かせても
起きる気配は全く無かった
其の後は自分の執務室へ向かい
報告書を書いて、首領に報告を済まし
ソファに寝転んだ
心の中で太宰との接し方を考えた
気を遣った方が良いのか
其れとも何時も通りで良いのか
何方にしろ太宰の気持ちを知る必要がある
俺はある決意をして眠りについた
太宰side
苦しい
痛い
辛い
気持ち悪い
死にたい
夢なんて見たくない
【あの人】の事何て思い出したく無い
【あの事】何て思い出したく無い
夢何て大嫌いだ
早く醒めろ
早く醒めろ
早く醒めろ
太宰「ッ!」
目が醒めたら心臓の音が煩かった
頬には涙が伝っていた
泣いてばっかりだな、
どうでしたか?
今回、何時もよりも短めですみません💦
とうとう来週は修学旅行旅行だぁ!
前回投稿したやつのコメントにも結構修学旅行近い子が多かった!
みんな、楽しもうね~!
話変わっちゃうけど私の見た目(?)とか第一印象って何なんですか?(とてもどうでも良い)
急にすみません💦気になってしまってw
その他にも何か質問とかあったらコメント書いてください!
コメント返します!
今回も見てくださり
ありがとうございました!!
次回は❤️2000で投稿します!
今回の❤️多くてすみません💦
理由と致しましてはやはり修学旅行や修学旅行が終わった後も高校に関わるテストだったり色々忙しくて
投稿ができないと思って多くさせていただきました
(正直中々❤️2000は行かないと思ってる。て言うか一生行かないかも、)
身勝手な都合ですみません
と言う事で次回は❤️2000で投稿します!
では、またね!
コメント
39件
ウワァァァァアァァ!第一印象は、小説だけみるとクールだし小説文章力めっちゃありそうだな、というかめっちゃあるなって思ったけど、 コメントや、小説終わりの言葉、?見たいの見ると優しいし、丁寧でわぁ、ギャップがあってタイプだっ!って思いましたねw
うわあああぁぁぁぁッ!!!!!もうっ、だめだぁ!!続きが気になりすぎて夜も昼も眠れる!!妄想で明け暮れてしまうよ!! 修学旅行楽しんでね!私もいい思い出ばかりだったなぁ〜、親友と食べたハンバーガーが美味しかった!(?) 第一印象は優しいな子かな?コメントとか丁寧で嬉しかった!そして文才がありまくるっていうね!! 何時もながら長文でごめんね〜!