テラーノベル
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「お前たちの情報操作システムは、すでに俺のハッキングで完全に無力化してある。この部屋に俺たちが入った時点でな」
卓が冷酷に告げた言葉と、スマートフォンに表示された「数百万人の同時視聴者数」の数字。それが意味する現実を理解した瞬間、久徳公浩の顔からすべての血の気が引いた。
「嘘だ……官邸の、国家の最高セキュリティだぞ!? 街のハッカーごときに破れるわけが――」
「言っただろ、久徳」
勇一が一歩前に出ながら、静かに、しかし地を這うような重い声で遮った。
「朝原卓を裏社会の闇に引きずり込み、怪物に育て上げたのはお前自身だ。お前が私利私欲のために作った10年間の闇が、今、お前自身の首を絞めてるんだよ」
久徳は狂ったようにデスクの上の内線電話に飛びついた。
「おい! 警備班! SP! 誰かこの部屋のテロリストどもを射殺しろ! 早くしろ!!」
だが、受話器からは虚しいツーツーという電子音しか返ってこない。
「無駄だよ、おっさん」
輝道がフードを外し、手首の関節をパキパキと鳴らしながら冷たく笑った。
「あんたの私設暗殺部隊なら、さっき母校の『陸上部の倉庫』で全員おねんねさせてきた。日本の正義ある捜査員たちが、今頃この官邸を完全に包囲してるぜ」
「あ……あ……っ!」
国家を裏から支配していた絶対的な怪物が、初めてただの「罪人」へと成り下がった瞬間だった。久徳は書類を撒き散らしながら、醜く床へとへたり込んだ。勇一は、15年前の父親の遺品である古い警察手帳を掲げ、久徳の眼前に突きつけた。
「久徳公浩。15年前の高橋剛警部補殺害教唆、小山萌子巡査部長殺害教唆、朝原卓殺人未遂、および国家転覆罪。……その他、数え切れないお前のすべての罪状で、今度こそ完全に逮捕する」
輝道が迷いなく近づき、久徳の細い手首にガチリ、と冷たい手錠を噛ませた。金属の重い音が、最高機密室に虚しく響き渡る。
「なぁ久徳。お前の作ったシステムは完璧だったかもしれないが、一つだけ致命的な計算違いがあったな」
輝道は久徳の耳元で、静かに囁いた。
「俺たちの親父はな、死ぬ間際まで俺たちに教えてくれたんだよ。……『ただの偽物の正義にだけは、絶対に負けるな』ってな。地獄へ行ったら、萌子と親父に、たっぷり謝りな」
「久徳。お前の時代はとっくに終わった」久徳は完全に魂が抜けたように項垂れ、突入してきた大勢の捜査員たちによって、白日の下に連行されていった。15年の因縁、萌子の死、佳奈子の狂気、そして10年前のあの崖の上から始まったすべての悲劇が、ついに本当の、完全なる終幕を迎えた。
コメント
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ああ、ついにこの瞬間が……! 読んでて拳が震えました。卓のハッキング、輝道の「陸上部の倉庫」発言、そして勇一が父親の警察手帳を掲げる場面、全部が鮮やかに繋がって、もう涙が出そうでした。特に輝道の「ただの偽物の正義にだけは負けるな」って台詞、父親から子へと受け継がれた意志が感じられて、心臓をぎゅっと掴まれました。15年の因縁にようやく決着がついて、読者としても本当に清々しい気持ちです。一つの区切りとして、本当に素晴らしい終幕でした🌷