「あ、言っちゃった」
言うつもりのなかった、言葉を放ってしまったことに衝撃を隠せない。
俺、今なんて言った?
「…灯鞠、さっきのって本当の気持ち? 」
驚いたような顔をして絃歌が呟いた。
ここまで言ってしまったならしょうがない。俺の気持ちをさらけ出すしかないようだ。
「俺、絃歌のことが好き。ずっと前から。でも、絃歌に恋人がいると思って、悲しくなって涙が出てた。」
「その、好きっていうのは…」
「恋愛的な好き、だよ。キスとかしたいし、それ以上も全然したい。 」
絃歌は目を丸くした。余程驚いているように見える。
「…ごめん。幼なじみからこんなこと言われても、気持ち悪いよな。やっぱ忘れて」
「忘れてとか言うなよ!俺も灯鞠のこと好きだ!!」
手首を握られて言われた。
俺の目元には涙が溜まっており、頬を伝う。
「で、でもだって。」
「家に居たのは、従姉妹の姉ちゃん。心配させてごめん。俺も、俺も灯鞠のこと好きだ。」
急な展開に脳が追いついていない。
絃歌が俺なことを好き?どうゆうことだ?
「好きって、いつから」
「気づいたのは最近のこと。最近はさ、先輩達から女を紹介させられるのが多くて。色んな人と関わってみたけどいつも頭に居るのは灯鞠だった。」
予想外のことに理解が追いつかない。
「で、でも俺男だし。絃歌の好きな可愛い子にはなれないよ。 」
「灯鞠は可愛いよ。俺が関わった人の中で一番可愛い。」
「俺なんかで、いいの?」
「灯鞠がいいんだよ。」
俺の叶いようのなかった恋が、叶ってしまった。
安堵なのか、嬉しくてなのか、また涙が出てきた。
「灯鞠は泣き虫だなぁ。」
笑って絃歌がそういうと、口に軽くキスをした。
「好きだよ、灯鞠」
今度からは、恋人としての絃歌に悩まされるかもしれないと、頭を抱えた。
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