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「うわー!」

「どうしたのです、アンジェロ?」


メイアが聞いてきた。部屋に戻った私はベッドに突っ伏し、頭を抱えた。


「副団長、ぜったい私のこと疑っているわ」


アルフレドとの面談で、緊張しっぱなしだった。


「何か言われたのですか?」

「いいえ。質問以外は、特に何も」


だから気になるのだ。


「何も言われなかったのならいいことではありませんか?」

「そうだけど……そうじゃないのよ」


あの時のアルフレドの顔は、ぜったい何かに疑問を抱いている顔だった。


「気になるのでしたら、確認いたしますか?」


そう言うと、メイアは魔法を使い、壁の一角に、アルフレドの姿を映し出した。どうやらレクレス王子とお話をしているらしい。


『アンジェロは嘘を言っています』


いきなりアルフレドがそう言ったので、私は心臓を鷲づかみにされた。……えっと、何で!


『証拠はあるのか?』


レクレス王子が問う。そうよ、証拠はあるの?


『証拠はありません。私の推測混じりになるのですが――』


アルフレドは眼鏡のズレを直した。


『アンジェロは、エストレーモの人間です』


!? ま、まさかバレた!?


『エストレーモと言えば、アンジェラの――」


王都にある侯爵家であるエストレーモ家。そしてアディン王子からふられた、レクレス王子の新しい婚約相手でもある私の家だ。


『ええ、アンジェラ様の、おそらく弟でないかと』


……え? おとう、と……?


『姉弟?』

『どちらが上かはわかりません。もしかしたら兄かもしれない。アンジェラとアンジェロ。ふたりは双子だと思います』


……双子?


『またか。昨日も双子説を出したな』


出してたの? というか、王子も私を疑っていた?


『アンジェロが母と言ったこのメイア・バナーレなる人物』

『魔術師、か?』

「……」


メイア、そんな目で見ないで。あなたの名前を使ったの、許して。


『このメイアという名前、聞き覚えがありまして。アンジェラ様は幼少から魔法や魔道具に優れた才を発揮なさっていたのですが、その傍らにはメイアと名乗る側近がおりました。……おそらく魔法の指導をしたのはその人物かと』

『アンジェロの母親もメイアという名前だ……しかし』

『しかし、証拠にはなりません。偶然かもしれない。ただ、アンジェロがここで見せた魔法の才能。魔道具の製作技術。まるでアンジェラ様のそれと同じように思えませんか? 同じ師匠から学んだのだとすれば――』

『アンジェロが魔法に優れているのも、それが影響している、と……?』


レクレス王子は腕を組む。


『しかし、普通にメイアの子供という説は? 双子説は些か強引過ぎる』

『エストレーモ家の事情は知りませんが、アンジェロに、何か家を継げない理由があったとしたら……?』


アルフレドは首を傾けた。


『魔術師の世界では双子は忌むべきものとして、片方を殺すとか捨てるというものがあったとか』

『本当か!?』

『そんな噂を聞いたことがあるだけで、本当かは知りません。ただ、そういう風習みたいなのがあって、どちらか捨てなければならなかったとしたら……? 王都を離れて辺境に住んでいたのも、ありそうな話ではありませんか?』

『まだ、こじつけだぞ』


そもそも家は魔術師の家系じゃないってばー! もちろん、ここで私が吠えても聞こえないんだけど。


『推測になってしまうんですが、どこかでアンジェロが嘘をついているのは間違いないんです。彼の説明で、明らかにおかしな点がある』

『それは?』


それは?


『多くの高価な調味料を複数所有していたことです』


……なにそれ。


『アンジェロのいう冒険者業と、高価な調味料がどうしても結びつかないんですよ。冒険者が調味料を多種揃えられると思いますか?』

『クエストを成功させまくって稼いだのでは? 実力は充分だと思うが』

『でも、彼はDランクなんですよ』


アルフレドは指摘した。


『そんな高価な代物を取り揃えられるほどの高収入クエストは、Dランク程度では受けられない。一攫千金レベルの発見をしたとか討伐した、という可能性はありますが、それならなお、上級ランクに昇格するもので、いまだDランクのはずがない』

『確かに』

『それに普通の庶民が、お金を得たとして調味料買うぞって思考になりますか? アンジェロは美味しいものを知っているんですよ。調味料を使うと美味くなることを。じゃあどこで知ったか? 商人の息子でないなら、もう貴族などの上流階級しかない』

『だが、双子は片方追放されるのではなかったのか?』

『表向きは、そういう形を取ったのでは? 風習とはいえ、実の子を殺すとか親としては耐え難いことではないでしょうか』


アルフレドの説は、この辺りが弱いのよねー。憶測過ぎて、かすりもしていない。確かに親が、生まれたばかりの赤ん坊を殺すとか、考えたくないのはわかるけれど。


『追放した形にして、裏ではエストレーモ家が支援をしていたのではないでしょうか? さすがに母ひとり子ひとりで、辺境暮らしで不足なく過ごすには少々厳しいかと』


はい、これも憶測と想像ですねー。


『あと、これを言ってもいいのか迷うのですが……』

『何だ?』

『アンジェロの顔、どこかで見たような気がするんですよ。もちろん、ここで会ったのが初めてなのは間違いないですが、ではどうしてそう思った時、気づいたんですよ。彼の顔、アンジェラ様に似ているのですよ』


っ! 男装しても、面立ちや雰囲気は隠せなかったか?


『私もここ数年アンジェラ様のお顔を拝見していないのですが、誰かと思い出すと、あの方なんですよ』


……。


私はメイアを見る。どうしよ、これ?


『アルフレド、仮にお前の説が正しかったとしよう。それでアンジェロをどうするつもりだ?』

『……どうしましょうか」


あら……。これには私もビックリする。決めてないの?


『どうにか自分なりに解釈したとはいえ、仮にアンジェロがアンジェラ様と双子だろうが、メイアの本当の息子だろうが、我々がとかく介入する理由はありません』

『だよな。危険がないなら、あえて暴く必要はないのではないか?』

『はい。アンジェロが黙っているのも、明かせない家庭の事情というものでしょう。そっとしておくのがよいかと』


危険がないなら放置しよう、ということで二人は納得したようだった。ふぅ。もう、焦らせないでよ。生きた心地がしなかったわ。まったく……。

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