テラーノベル
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まぶたの裏に、朝の光を感じて目が覚めた。
意識が浮上するのと同時に、全身を猛烈な倦怠感が襲う。仕事で三日三晩の徹夜を乗り越えた時ですら、これほどの「リソース不足(HP切れ)」を感じたことはない。だが、その倦怠感は驚くほど甘美で、僕の心はかつてないほどの多幸感で満たされていた。
(……待て。落ち着け。まずはログを確認するんだ)
僕は恐る恐る、重い体を起こした。視界に入ったのは、ダブルベッドの上で布団を胸元まで引き寄せ、こちらを見つめる白石さんだった。カーテンの隙間から差し込む光が、彼女の透き通るような白い肌を照らしている。
「おはようございます、陽一さん♡」
(……現実だ。バグでも、シミュレーションでもない。白石さんが、僕の隣にいる!)
嬉しすぎる。あまりに尊くて、鼻の奥が少しツンとなった。僕は彼女の小さい手に、そっと自分の手を重ねた。指先から伝わってくるのは温かい、確かな体温だった。
「白石さん、誕生日おめでとう」
「……ありがとうございます。ふふ、幸せ……」
花が綻ぶような笑顔だった。僕は誕生日のお祝いにレストランを予約していたのを思い出し、スマホで時間を確認した。
「予約は12時で……今は、まだ8時か」
その時、白石さんがスルスルと布団を滑り抜け、僕の胸元に潜り込んできた。
「……じゃあ、あと4時間も……いっぱい、イチャイチャできますね♡」
熱を帯びた瞳で見つめられる。
「え? いや、昨夜だってあんなに……」
「昨日は昨日。今日は今日。お誕生日だから……わがまま、聞いてくれますよね?♡」
――朝一からの、予定外のフルスロットル。 僕の脳内サーバーは、もはや警告(アラート)を鳴らす気力すら残っていなかった。
風宮 むぅまろ(̨̡ ¨̯
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