テラーノベル
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第一話 境界線を越えて
夕暮れの街並みを、一人で歩いていた。
高校の帰り道。通りには車の音が流れ、橙色の光がアスファルトに長く伸びている。
どこにでもある、いつもと変わらない帰り道
ーーのはずだった。
通りの角に差し掛かった、その瞬間ーー耳鳴りと目眩が襲った。
空気がふわりと揺れた。
足元の感触が曖昧になり、街灯の光が歪む。
風の音が遠のき、代わりに、鈴が鳴るような澄んだ響きが耳に残った。
顔を上げる。
見慣れた街並みの先が異質な光を帯びて揺れていた。
色は過剰なほど鮮やかで、影の輪郭が淡く発光している。
心臓が強く跳ねた。
気づいた時には、私はーー境界線を越えていた。
???「早く、人間界に戻れ!」
鋭く、迷いのない声。
振り返ると、そこには光の縁取りだけがはっきりと見える影が立っていた。
形は定かではない。だが、確かに意思を持った存在だと分かる。
私が呆然と立ち尽くしていると、突然ーー
「リュシア様!」
誰かの名を呼ぶ声が響き、別の異界人がこちらへ近づいてきた。
よりはっきりとした輪郭を持つその存在は、不思議そうに首を傾げる。
「その方は?」
リュシア「!待っーー」
リュシアの制止も聞かず、異界の者は私の顔を覗き込んだ。
ーーその瞬間
「……!?」
表情が凍りつく。
「人間ダ!」
周囲に響き渡るほどの声量。
「捕まえろ!」
その一言で、場の空気が弾ける。
異界の光がざらつき、気配が一斉にこちらへ向いた
視線は、もはや戸惑いではない。
明確な”捕える意思”だった。
コメント
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新キャラだっ!めっちゃ最高なんだが?続きちょ〜楽しみ💕