ゆうまは彼の鬼を待っている。
俺達の先に鬼が一体通過して行ったが、それは彼の待つ鬼ではなかった。
ケイはゆうまの両手をあやすように揺らしながら、さらに質問を続けた。
「鬼って? 僕はかくれんぼの鬼しか知らないから、教えてほしいな」
「鬼はね。女の人だよ。ぼく達はみんな一生懸命だったのに、突然ここに放り出して行った女の人。わらいながら僕達を捨てた人。泣いて抱きしめてくれることもあるらしいけど、そういうのはここには来ない」
支離滅裂(しりめつれつ)な話し方に、俺はちょっとだけ首をかしげた。
言いたいことはわかる気もする。笑いながら彼らを捨てた女が鬼。ネグレクトだろうか。その結果命を落としたのがこの少年なのだろうか。
この少年はこの場所で彼を笑いながら捨てた鬼を待っていると言う。
この産婦人科で。
そう、ここは産婦人科だ。
だとすれば、この子はネグレクトで**************************
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