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私
には理解できない感覚だが、 それこそが人間の普通なんだろうね。
君たちにとってはこれが普通なのかな?
「そういえば最近見ないけど、どうしている?」
「あぁ、あの子ですか? 今年に入って一度も会っていないんですよねぇ~」
「そうなのか……」
「もう3ヶ月くらい経つんですかね? さすがに心配ですねぇ~」
「そうだな……ん?」
「どうかしましたか?」
「なんか聞こえないか? 足音みたいな……」
「えぇ!? それって幽霊とかじゃねーよな?」
「まさかぁ! 俺達まだ高校生だぜ?」
「……あっちの方から聞こえる!」
「ちょっ、ちょっと待てってば!」
人気の少ない路地裏を走る影が二つあった。
二人は同じ高校の制服を着た生徒だが、一人は明らかに怯えた様子を見せている。
後ろからは複数の足音が響き、徐々に距離を詰めてきている。
――ガタッ!
「ひぃっ!!」
背後からの物音に驚いたのか、もう一人の生徒が情けない声を上げる。
「落ち着けって! ほら、あれだよあれ!」
そう言って指差したのは地面に置かれたゴミ箱だった。
中身はほとんど空になっており、生ごみなどが散乱している。
「さっきまで無かったんだよ! だからきっと誰かが捨てたんだって!」
必死の形相で説明する男子学生とは対照的に、女子学生の顔色は青ざめている。
「そ、そうなの?」
「間違いないって! お前も見たろ!?」
「確かに見てたけど、急に出てきたように見えたっていうか……うん、なんだったんだろうか……」
「俺にもそう見えたぜ!なんか変だよなぁ~!」
「うーむ……わからねぇ……」
『あの娘はいったいなんであんなことをしたのかしら?』
『わからないよ』
『あの子の気持ちなんて知りたくもないね!』
『さて、そろそろ行くぞ』
『もう行っちゃうのかい!?もっとゆっくりしていけばいいだろ!!』
『お腹空いた……』
『仕方ないじゃないですか』
『そうですね……』
『えぇっとぉ~』
『はやく行こうぜ!!!』
『おいらはこっちの方がいいと思うんだけどなぁ……』
『……わかったよ、好きにしなさい』『お前みたいな役立たずに用はない!』
『お前なんて生まれてこなければよかったんだよ!!』
両親から投げつけられる言葉の数々。
失敗してばかりの毎日。
期待に応えられない日々。
何をやってもうまくいかない。
家族の中で自分だけ取り残されていく。
それでもまだ、自分は愛されていると信じていた。
けれどある日を境に、すべてが変わってしまった。
突然父親が家を出ていき、母親は酒浸りになったのだ。
母親が父親を追いかけて出て行った後、兄たちは母親と同じようになった。
誰も自分のことを見てくれない。
自分も誰のことを見ることもなかった。
ただひたすらに勉強だけをしていた。
しかしその結果はいつも同じだった。
落ちこぼれの烙印……失敗作と呼ばれた子供時代。
劣等感、自己嫌悪、虚栄心、見栄っ張り。
病名:泡沫実果症候群
「ねえ、見てよ!これ!」
「わあ~綺麗ね……」
「うん……本当に……」
「ねえ、次はこっちに行ってみよう?」
「えー、もう疲れたから帰りたい……」
「大丈夫だよ……ほら行こう」
「待ってよぉ~」
「早くしないと置いていくぞ」
「ふぇ~ん……」
「ちょっと待ってて……」
「おい、まだなのか?」
「もう少しだからさぁ」
「まったく仕方ないな」
「ごめんねぇ……」
「よし、行くか」
「うん!」
「ああ」
「はい」
「おお」
「お待たせしました」
「遅いじゃないか」
「すみません」
「何してんだよ」
「ごめ~ん」
「はやくしろよ」
「今すぐ行きます」
「待ちくたびれたぜ」
「本当に申し訳ありませんでした」