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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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「ふっ!」
『良いぞ、夢月。いつもよりペースが早い。ちゃんと訓練の成果が生きて来てるな』
なんて、お兄ちゃんに褒めてもらいつつも、練習ステージで6keyを使いながら突き進んだ。
4cardに教えてもらった近接戦闘術をフルに使いながらも、戦闘スタイルはいつものまま。
とにかく隠れる、逃げる、誘き出す。
その上で此方の都合の良い戦場を作り出し、相手が釣れたところで一気に攻める。
そして何と言っても、ここ最近サブキャラの影響? によって、素早く全体を確認する癖が付いたというか。
自然と相手の行動予測をする癖が付いた事により、コレがまたより一層戦闘を楽にしてくれている気がする。
本当に些細な事を気にする様になっただけというか、その程度なんだけど。
この差が、凄く大きい。
でも考えてみれば、当たり前だよね。
46leatherの方は、基本的に戦闘能力が低い。
その大前提があるからこそ、とにかく相手を“見る”癖が付き。
そもそも自ら戦闘を仕掛けようと思わない程度のステータスだからこそ、いかに“自分が逃げやすいか”を最優先に考えている訳だ。
まさに小動物の思考回路。
でもコレは、6keyを扱っている時には無かった思考だとも言えるのだ。
こっちでは、いかに相手を倒すかって方向へ頭に切り替えてしまうので。
『上手いぞ、ここまで順調。だが正面から残り二人、後ろから三人増援が来る。このままだと囲まれる、どうする?』
「前から! 味方の到着を待つって事は、自信が無いか頭が切れる証拠! 残しておくと厄介!」
『了解、相手はスモークグレネードを準備してる。投げ込んで来ると同時に突っ込め、逆に目くらましに使えるぞ。開いた扉の脇に一人、こっちから見て右側。更にその後方に一人、そっちが強襲役だ』
兄の指示を聞きつつ急いでマグチェンジ。
ライフルはマガジンを代えた後に背中に回し、ハンドガンを抜いて短く構えた。
そして。
『ピンを抜いた! 行け!』
「了解!」
室内に投げ込まれるスモークグレネードを横目に見ながら、此方は部屋の外へと飛び出した。
すると相手もほぼ同時に飛び込もうとしていたらしく、私が飛び出して来た事に強襲役が驚いた様子を見せるが。
そいつの銃身を掴み取り、横に逸らしてからこっちはハンドガンで数発連射。
外さない距離、しかも相手が出て来ると分かっていたからこそ、外す訳がない。
だが防弾ベストに阻まれ、キルを取るところまではいかなかったので。
「せぃっ!」
相手の銃を掴んだまま、グルッとその場で横回転。
これと同時にしゃがみ込んで足払いをすれば、私とぶつかりそうになっていた相手はその場に転倒。
その動きに合わせて此方も地面に寝そべる様な形で姿勢を下げて、スモークグレネードを投げ込んでくれた方の相手に向かって銃を構えてから連射。
向こうは部屋に飛び込むつもりで居たのに、逆にこっちが飛び出して来たのだ。
相手にとっては異常事態。
だからこそろくな反応も出来ず、全弾その身に受けてから転倒するNPC。
とりあえず、此方に向いている銃口が無くなった。
そんな訳で、先程から掴んでいる敵の銃身はそのままに。
更に身体を回転させ、一緒に転がっている相手の首にハンドガンを突き付きて二発。
少し時間は掛かるだろうが、間違いなくキルは取れた。
この間に敵の武器を奪い取り、もう一人の転がっている方にも遠慮なくフルオートで連射。
弾切れを起こせばそのまま銃を投げ捨て、再びハンドガンを構えたが。
問題無く、両者共制圧出来た様だ。
『夢月、後続三人』
「問題無い」
今度はこっちのベルトに付いていたグレネードのピンを抜いて、さっきまで居た室内に放り込んだ。
ついでにさっき倒した相手の防弾ベストについていたソレも抜き取り、同じくピンを抜いて室内へポイ。
ほんの数秒間待ってあげれば、壁の向こうからズドンッと凄い衝撃が伝わって来て。
「状況報告」
『……クリア、だな。問題無い』
「よし、進むね」
そんな会話を挟みつつ、順調に訓練メニューをこなしていくのであった。
やっぱり、6keyの方が使いやすいっていうか。
ものっ凄く“しっくり来る”感じが凄い。
サブキャラもこれくらいに体型とか変えちゃった方が、変な症状も出なかったのかなぁ……なんて思ったりもするけど、そっちは本当に今更だなぁ。
◆
「なぁ夢月、新しい銃とか欲しくないか? 6keyで使ってる武器で、ここをもう少し良く出来たら良いのに~とか」
「い、いやぁ? 別に、今使ってるヤツで良いよ? あれ、使いやすいし」
本日の練習の後、お兄ちゃんから部屋に呼び出しを食らったかと思えば。
急にそんな事を言い出して来たではないか。
てっきり今日の動きで思う所があったのかと、変にドキドキしてしまったのだが。
どうやら全然違う要件だったらしい。
「ま、そうなるよな。今の銃、好きか?」
「うん。何回も言うけど使いやすいし、格好良いし。私は好き。モデルガンも持ってるから、余計に愛着があるかも」
特に迷う事無く、そんな風に答えてしまったのだが。
兄は少々「う~む」と唸って困り顔。
えぇと……もしかして、何か不味い事が?
「俺が新しいハンドガンを使ってみろって言ったら……試してくれる?」
「え? うん、それは全然良いけど。慣れるまで、時間は掛かるかも……しれないよ? 私、他のハンドガンって殆ど使った事無いし。奪って撃って、すぐ捨てる事はあっても」
なんだろう、こんな事を言われたのは初めてなのだが。
もしかして、今のハンドガンではやはり不味い理由が?
でもこの前武器パックを販売し始めたばっかりだし、モデルガンも正式に発売されたんだよね?
何かしら使っちゃいけない理由とか出て来たら、それこそそっちも問題が発生するんじゃ……なんて、私には分からない事まで不安になって来たところで。
「早乙女さんからも近々メールが来ると思うんだけど、コレ。俺等“裏方”の方で指令が出てる案件、読んでみ?」
「う、うん? それは読んじゃって良いモノなの?」
急に書類を差し出され、アワアワしつつ受け取ってみると。
そこに書かれていたのは……“賞金首の新規武装”という文字列。
え、今のままじゃ駄目なの?
というか、もしかしてハンドガン使っちゃ駄目とか言い出す?
だとすると私、まともに戦えなくなっちゃうんだけど。
もはやプルプルしながら、兄の方へと視線を向けてみると。
「落ち着け、夢月。ハンドガンスタイルはそのままで良い」
「ほっ……良かった。スタイルから変えろって言われたら、多分6keyを使っても物凄く弱体化しちゃうところだったよ……」
とかなんとか、胸を撫で下ろしていたのだが。
「けど、そのスタイルが問題になっててな? お前のハンドガン、基本的に賞金首皆に配布されてるんだよ」
「う、うん。たしかそう言ってたね? それが、何か不味いの?」
私はアレをメインとして扱っているけど、他の人はサブに使ったり、もしくはそもそも使わなかったり。
本当に人によって色々みたいだけど。
「人間ってのはな? “飽きる”生物だ。欲求ってのは色々あるけど……ガンサバイブオンラインにおいて目立っているお前、つまり6keyに憧れを持つプレイヤーは凄く多い」
「そ、そう言われると恥ずかしいけど……」
「けど今回問題なのは、前回の“賞金首武装パック”。お前の武装セット、なんだった?」
「え? え? あの、えっと……ハンドガンと、防弾スーツ。それから……細かい物が幾つか……」
「その通り。6keyのメイン武器があのハンドガンだからこそ、お前の装備パックを買えば誰でも“あのハンドガン”を手に入れられるって事だ。だが、他の面々のパック……どうだった? ハンドガン、入ってたか?」
それぞれの装備パック内容、その全てを覚えている訳では無いけど。
多分……無かった気がする。
皆が使っているメイン武装が入っている様な、それこそ各々の特徴が出ている様な武器各種。
どれもこれも、私じゃ分からないようなカスタムが施されており、どれも格好良いなぁ~程度にボケッと眺めただけだったのだが。
「正直に言うな? あのハンドガンは、所謂“賞金首のオマケ”なんだよ。倒した時に一番欲しいのは、やっぱりメイン武装。けどそれをポンポンドロップさせる訳にはいかないから、他の武装ドロップとして用意されているに等しい」
「……あの、ですね。なんか、物凄く悪い予感がするというか」
待って、待って?
つまり賞金首を倒した時の報酬、その保険として用意されていたハンドガンが、私の使っているアレ。
だというのに他の武装に一切目を向けず、私がソレばっかり使っていたからこそ。
6keyの武装パックは、本当に“ソレ”で販売する他無く。
簡単に言うと……少しお金を出せば、誰にでも手に入る“手の届く武装”になってしまった訳で。
「もしかして……私、あのハンドガンの商品価値……物凄く落としちゃった?」
不味い、それは本当に不味い。
ゲーム内では、賞金首の一人を倒したけどメイン武装ドロップしなかった~でも“賞金首用のハンドガン”はゲットしたわ~っていう。
“無いよりマシ”的な保険だったソレを、ガッツリ販売しちゃった感じじゃないですかね?
つまり装備パックに関しては、実質他の人より割高の扱い。
中身の拳銃、本来はサブウェポンだしね。
そして運営陣にとっては、新たな“保険”を用意しないとプレイヤーの“ガッカリ感”に繋がる武装として認定されてしまった……という事なのでは?
「ご、ごごごごめんなさい! 私がもっとちゃんと他の武器を使ってれば、こんな事には!」
「落ち着け、夢月。むしろお前がメインで使ってくれたお陰で、6keyの武装パックとモデルガンの売れ行きは好調だ。むしろ後者に関しては製造が追いついていないレベルで人気だ。つまり6keyは、ガッポリ稼いでる。会社にとっても大貢献だ」
「……ぁ、そうなの? だ、だったら良かった……のかな? え、でも今回のコレ。武装を変えろって」
「そう、そこで最初の話に戻る訳だが……目標にしていた人と同じ武装が手元にあると、当然目的の一つが薄れるよな? ドロップを狙う必要が無くなる訳だし」
あ、確かに。
私で考えるから駄目なのか。
他の賞金首で考えれば、割とすんなりと納得がいく。
あくまで今回の件は、プレイヤーの“新たな目的”として新武器を使おうと言うだけ。
保険として用意されていた筈のハンドガンが普通に売り出されてしまった為、全体から大きく見直すとか、そういう大掛かりな話でないのなら安心なのだが……。
結局、此方としては問題が残されている訳で。
新武器、と言われましても。
こっちは銃に全然詳しくないんですけど。
「今回は本当に少し見た目を変える、カスタム要素を追加する。それでもOKなんだがな? 現実には無い装備でも問題ない、だから見た目だけを架空のデザインに。どんな物が良いか発案しろ。そう言われても、多分夢月は困るだろう?」
「ハイ、困ります。0から1を作る能力、私にはアリマセン」
無理です、そんなの。
ガンショップに連れて行ってもらった時でも、あっちも凄いこっちも凄いって興奮しっぱなしだったのだ。
そんな中オリジナルを作れと言われても、頭がパンクする未来しか見えない。
などと、思考停止状態に陥っていたのだが。
「そこで、だ。お前の新武器、俺に全部任せてくれないか? 見た目の好みとか、使い心地とかの感想は度々聞くから。今回の俺等の仕事は、“賞金首の我儘を聞き出す事”。でも6keyの武装に関しては、サポーターの俺も根元から大きく関わる、みたいな……お兄ちゃんと、一緒に作ってみないか?」
「是非それでお願いします!」
これまた新しいお仕事、という事で良いのだろうけど。
私にとっては難易度が高すぎる為、全力で兄を頼る事になってしまった。
だって無理だもん。
私の思考回路は、そういうクリエイティブな方向に出来て無いもん。
という事で、今回の案件。
いつも通りお兄ちゃんに頼りながらお仕事させて頂ければと思います。
こんなんでちゃんと大人になれるのかって言うのと、これでお給料もらって良いのかって話になっちゃうけど。
また別の機会に、お兄ちゃんには何かプレゼントを用意しようと思います。
なんかもう、人生において全てお世話になっているので……。
コメント
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お疲れさま、くろぬかさん!第88話読み終わったよ。 今回は6keyの戦闘シーンがめっちゃかっこよかった!スモークグレネード使った逆転の発想とか、敵の銃を奪ってそのまま連携して倒す流れ、脳内で映像がバチバチ再生されたわ。サブキャラの影響で「見る癖」がついたって成長も熱いし、シロレザーと6keyで思考回路が違うって設定の解像度も好き。 後半の「武器パック問題」は笑った。まさか自分の愛用ハンドガンが“保険扱い”で商品価値下げちゃったってオチ、夢月の焦り方が可愛すぎて和んだよ。お兄ちゃんと一緒に新武器作る展開、めっちゃ楽しみにしてる🔥