11 進路
小さな嫉妬 と 大きな歓喜
大きな発見 と 小さな焼きもち
そんなこんなで私の最後の学校生活は終わった
・
『渡辺先生の母校、って知ってますか?』
「渡辺の大学ってこと?」
数学教師なのに白衣が絵の具でいつも汚れている深澤先生を授業終わりに捕まえて、聴いてみた。
『先生達仲良いから、知ってるかな〜と思って』
「確か西山大学の文学部だよー」
『西山、、あ、ありがとうございます!』
「ふふっ、渡辺先生に直接聴けばいいじゃーん」
『いやー…あ、渡辺先生にはこの事内緒にして欲しくて、、』
深澤先生が秘かに微笑んで笑ったのを、ちょっと照れ臭い気持ちで見た。
・
「西山の文学部?」
放課後の教室、目の前にいる先生が大きく目を見開いた。
個別の進路指導。
先生と教室に2人きり。
私は先生にバレないように小さく深呼吸を繰り返す。
特に行きたい大学も、やりたいことも無かった私。
あえて勉強するなら何の勉強がしたいかって考えた時、浮かんだのはやっぱり国語で、唯一得意と言える教科も国語だった。
「なんで西山?」
「他のも入れといた方がいいと思うけど」
『いや!絶対西山です!』
「あ、そう?ふはっ」
『あ、!えっと、、』
『私が好きな作家さんが講師をしてるらしくて!』
理由はそんな事じゃないけど、
「先生と同じ大学に行きたい」なんて言ったら先生、応援してくれなくなるかもだから、
ちゃんと、勉強しといた。
「あー、山本先生のね」
「あれ結構いいよ」
『え?先生知ってるんですか』
知ってるに決まってるけど、
わざと聴いてみた。
「知ってるも何も、俺の母校だもん」
『え、!そうなんですか』
「まぁ、いいじゃん」
「ま、姫野の成績次第だけどなー」
『そこは、!頑張るんで。』
絶対、先生と同じ大学に行く!
コメント
4件
が ん ば れ !