テラーノベル
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静かな朝、白い世界
カーテンを開けた瞬間、景色が変わった。
庭も道路も、屋根も――
全部、しっかり白。
「……結構、積もってるね」
あなたの声に、黒尾はコーヒーを飲みながら外を見る。
「まあ、雪だしな」
落ち着いた声。
いつも通りの余裕。
「🌷はまだ寝てる?」
「うん」
「じゃ、無理に起こさなくていいか。
寒いし」
そう言いながら、黒尾の視線は何度も外に戻る。
誰も踏んでいない、まっさらな雪。
「……起きたら、見るくらいでいいな」
「🌷、おはよう」
🌸は🌷を抱き上げて窓の前へ。
「🌷、お外見てごらん」
「……?」
眠そうな目が、ゆっくり外を見る。
「……わぁ……」
その一言に、黒尾の喉が小さく鳴る。
「……真っ白だな」
「……ゆき……いっぱい……」
「外は寒いぞ」
「……ぱぱ、さわりたい…!」
ちらっとキラキラした目で黒尾が🌸の方を見た。
🌸は一瞬考えてから、ため息をついた。
「……ちゃんと着るなら。」
帽子、手袋、マフラー。
一つずつ丁寧に確認。
「指、ちゃんと入ってるか?」
「……うん」
「よし。完璧」
🌸が笑う。
「意外と落ち着いてるね」
「大人だからな」
――その直後、玄関を開けた。
積もった雪の世界
「……」
🌷は一歩も動かず、ただ立ち尽くす。
足元一面、ふかふかの雪。
「……しろい……」
「ゆっくりな」
黒尾が手を引く。
「……ぎゅ……」
雪を踏む音。
🌷の目が、きらっと光る。
「……おと……!」
「…したな」
黒尾の口角が、ほんの少し上がる。
🌷がしゃがみ、雪を両手で集める。
「……これ……」
ぎゅっと握って、
黒尾の足元に、ぽとん。
「……えい」
黒尾、固まる。
「……今の、攻撃か?」
🌷は一拍置いて、
「……えへ」
黒尾の肩が、ふるっと揺れる。
「……はぁ」
ため息一つ。
「🌷」
「……?」
「それ、雪合戦って言うんだ」
しゃがんで、雪を軽く丸める。
「こうやって――」
ぽす。
わざと、🌷の足元へ。
「……ぱぱ!」
「当たってねぇからセーフ」
🌷が笑う。
「……もういっかい!」
「よし」
――ここから、黒尾の声量が少し上がる。
「いくぞー」
「……えい!」
「おっ、上手い!」
黒尾も本気で投げ始める。
「ほらほら!」
「……きゃ!」
雪が舞う。
「🌷、ガード!」
「……がーど!」
完全に楽しそう。
「……やばいな、これ」
黒尾の顔は、もう完全に笑っている。
「ちょ、待て待て!」
🌷が小走りで逃げる。
「……ぱぱ、こないで!」
「逃げるやつは狙われる!」
「……きゃー!」
黒尾は大人気なく追いかける。
「ほら!
これで終わりだ!」
「……えい!」
雪が黒尾の胸に当たる。
一瞬の沈黙。
「……やったな?」
しゃがんで、特大の雪玉を作る。
「パパの本気、見せるか」
🌸が止める。
「ちょっと、まだ幼いんだからね?」
「分かってる!!
優しめだからサ!!」
🌷は大爆笑。
ひとしきり遊んだあと。
「よし、🌷、次は雪だるま作ろう」
「……ゆきだるま……!」
「下は大きく、上は小さく」
黒尾は完全に講師モード。
「バランスが大事だ」
「……ばらんす……」
二人で転がす雪玉。
「せーの!」
「……せーの!」
どんどん大きくなる。
「よし、合体!」
黒尾が持ち上げて、ぽん。
「……できた……」
「顔どうする?」
「……まる!」
「了解!」
枝、石、葉っぱ。
完成した雪だるまを見て、🌷は拍手。
「……できた!」
「最高だろ!!」
声、大きい。
🌸が笑う。
「最初、落ち着いてたのに」
黒尾は照れたように頭を掻く。
「……🌷が楽しそうだと、無理」
🌷の鼻が赤くなってきた頃。
「そろそろ戻るぞ」
「……まだ……」
「また降ったらな」
黒尾は🌷を抱き上げる。
「約束」
家に戻ると、温かい部屋。
🌷は黒尾の腕の中で、すぐにうとうと。
「……ぱぱ……たのしかった……」
黒尾は小さく笑って、囁く。
「……俺も」
窓の外では、
二人で作った雪だるまが、静かに立っていた。
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