コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ソファの上で、しばらく動けずにいた私は涙を拭き、深呼吸をして立ち上がった。「……晶哉くんに酷いことしちゃったな。晶哉くん、大丈夫かな……。」
胸が苦しかった。
泣いたのは、晶哉くんのせいじゃない……。
自分のせい……。
私は静かに彼の部屋の前まで歩いていく。
コン、コン……と小さくノックした。
「晶哉くん……?」
返事はない。
でも、部屋の中からかすかな嗚咽が聞こえた。
胸がきゅっと締めつけられる。
「入るよ……?」
そう言いながら、私はそっとドアを開けた。
部屋の隅。
ベッドの端で、晶哉くんは膝を抱えて座っていた。
顔をうずめ、肩を震わせて泣いていた。
「……晶哉くん。」
ゆっくり近づくと、晶哉くんは顔をあげた。
涙だらけの目。
潤んだ瞳が、まるで子供のようだった。
〈如月ちゃん、近づいたらあかん!俺、如月ちゃん見ると……理性保てへん……。如月ちゃんのこと……傷つけてしもうた……。ごめんな……。〉
「謝らなくていいよ……。別に晶哉くんのせいで泣いたんじゃない……。私の方こそ、ごめんね……。私、自分の気持ちが分からない……。晶哉くんと末澤さんに思ってる好きは同じ好きなのかとか全然分かんないんだ……。だから、それで2人を傷つけてるんじゃないかなって思ってたら涙出ちゃって……。」
〈えっ……。そう思ってくれてたんや。俺な、会った時に如月ちゃんに一目惚れしてん。でも、誠也くんと仲良くしてるの見て、誠也くんからキスしたって言われて、なんかぐちゃぐちゃになって強引にキスなんかしてしまったから嫌われたんかと思った……。〉
「嫌ってないよ。」
〈……ホンマ?〉
「うん、ホンマ!」
〈……如月ちゃん、ホンマありがとう。〉
いつもの笑顔になり、飛びついてくる晶哉くん。
〈俺、待つ!如月ちゃんが“好き”や“恋”が分かるまで。答えが出るまでずっと待つから!〉
胸がぎゅぅっと締めつけられた。
優しさが痛いくらいに響いた。
私はただ、小さく頷くことしかできなかった。