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続き
雨花「よし、無事二階に着いたね」
橙「うぅ……怖いです……」
瑠璃人「大丈夫だぜ!橙!オレが守ってやるからな!」
桃時「あんた膝ガクブルいってるわよ」
兎白「病室の他にはどんな部屋があるんだ?」
雨花「外科医室と教授室だよ」
桃時「じゃあ二手に別れて探索しましょ」
兎白「そうだな。じゃあどういう風に別れる?」
桃時「アタシは兎白と一緒がいいわ」
兎白の腕に自分の腕を絡ませる桃時。
雨花「はいはい。じゃあ橙ちゃんと瑠璃くんはわたしに任せて!」
兎白「お前だけ多くないか?大丈夫か?」
雨花「兎白くんには桃時ちゃんがいるし、橙ちゃんを兎白くんに付けたら瑠璃くんがうるさいだろうし、瑠璃くんを兎白くんに付けたら橙ちゃんが人数不足で怖がるだろうし、だから消去法で」
兎白「分かった。じゃあ俺たちは教授室を探索しよう」
桃時「了解」
雨花「じゃあわたしたちは外科医室を」
橙「うぅ……」
瑠璃人「橙に良いとこ魅せねぇと……」
雨花たちは一旦二手に別れて、探索することにした。
雨花「へぇ〜こういうところドラマでしかみたことないからなんか新鮮!」
橙「言ってる場合ですか!?」
瑠璃人「この外科医室になんかあんのか?」
雨花「とりあえず机の中とか書類棚とか探ってみよう」
雨花たちは外科医室のあちこちを探った。
橙「ん?あの!来て下さい!」
雨花「何ぞな?」
瑠璃人「何かみつけたか?」
橙「それがこれを読んで下さい!」
橙が手渡したのは、手帳だった。どうやら元々ここにいた外科医の私物らしい。
雨花「なになに?…………」
瑠璃人「オレにもみせろよ!…………なっ!」
手帳にはこう書かれていた。
「あの教授はクソだ!」「上手くもないのに偉そうにしやがって」「隠蔽するのが得意なゴミ野郎」「あんな奴死ねば良いんだ」
橙「この「上手くもない」って……」
雨花「十中八九手術のことだろうね。そして、この教授があの女の子の手術を担当して医療ミスをした可能性が高い」
瑠璃人「そんな……可哀想すぎる」
ガッシャーン!!!!ドゴォォォォン!!!!
橙「な、何です?!」
瑠璃人「教授室の方からだ」
雨花「行こう!」
雨花、橙、瑠璃人は急いで教授室へ向かう。
雨花「どうしたの?桃時ちゃん!兎白くん!」
雨花が教授室の扉を開けると……
橙「だ、」
「「誰もいない!?」」
瑠璃人「どうして桃時と兎白さんがいないんだ?!」
雨花「…………おかしい」
橙「え?」
雨花「この教授室。綺麗すぎる。普通もっと書類の山が積み重なってるはず。書類や本もほとんどない」
橙「じゃあ桃時さんたちがいなくなった理由は……?」
雨花「何か触れてはいけないものに触れたのかも……」
瑠璃人「えぇ……何だよそれ……」
雨花「教授室なら論文とか資料とか沢山あるはず。教授を教授らしくさせるものが沢山あるはずなのにそれがないってことは……」
「「教授を肯定するものが無くなっているということ」」
雨花「そして、それを無くしたいと想っている人は……」
橙「もしかして……!?」
瑠璃人「……マジで?」
雨花「出てきて〜桃時ちゃんたち返して〜」
しばらくシーンとした空気になると……
「はぁ……こんな簡単に解かれちゃうなんてちょっとショック……」
雨花「あはっ!やっぱりあなただったんだね」
「「401号室の幽霊さん」」
桃時「ちょっとあんた下ろす時はもっと丁寧に下ろしなさいよね!!」
兎白「まさか教授が悪い奴だなんて思わなかった……」
「はぁ、あなたたちが教授のこと良く言うから……それにしてもせっかく二十年ぶりに人と話せるようになったからゲームを考えたのになぁ〜」
橙「こっちは散々な想いでしたよ!!」
瑠璃人「まじで怖かったんだからな!!」
桃時「ていうか瑠璃人!あんた結局脱出ゲームじゃなかったじゃないのよ!!想いっきり間違えてるじゃない!!妙にリアルだしおかしいと想ったわ!!」
瑠璃人「ひぃ!すみません!!」
瑠璃人は桃時に踏んづけられている。
「ふふっ!やっぱりあなたたち面白〜い」
「特に」
「あなた!」
幽霊の女の子は雨花を指さす。
「あなたがいなかったら私があのくっっっっそ教授に医療ミスされたなんて分かるはずなかったもの!まさか開かずの三階に刺客を放り込んでくるとも想わなかったな!」
雨花「むっ。小雨丸は刺客じゃなくて相棒です〜」
「フンコロガシが相棒なの?ぐっふふ!本当に面白い!」
橙「あのあなたはここで何をしてるんですか?」
「未練を絶ってくれる人をずっと待ってるの」
兎白「未練って……教授の医療ミスのことか?」
幽霊の女の子はこくりと頷く。
「私はあいつの医療ミスのせいで死んだ。私の恨みの効果で病院自体は滅んだけど。私と話すようになるには、教授が医療ミスをしたって言う未練を知られる必要があったの。だから自分からは話しかけられない。あいつは私が死んで早々別の病院に移った……!鬼灯町の外だから移動できないし、でもあいつに罰を下されるまで私はこの世にいるしかない。本当はもっと早く成仏したいのに……」
橙「あっ!」
瑠璃人「ん?どうしたんだ?橙」
橙「あんまり久しくみてなかったので、今想い出しました!あなたの担当をした教授の顔!その机の写真をみて想い出しました!」
桃時「机の写真?」
「あぁ私が吸収しなかった奴ね。ここには歴代の教授の写真が飾ってあって、教授に恨みがあった私は、教授というものに関わるもの全て排除したの。でもこの写真だけは吸収できなかった。キモくて。そんなことより、このくっっっっそ教授が何だって?」
橙「はい!このくっっっっそ教授は、他の病院でも医療ミスを行い続け、逮捕されたそうですよ?」
「え、ほ、本当に?」
雨花「橙ちゃんの記憶は正確だよ」
「…………あ、……あぁぁぁ」
幽霊の女の子は泣いた。
「じゃあこれで私は成仏できるのね!」
橙「はい!できるはずです!」
兎白「良かったな」
瑠璃人「おめでとさん!」
桃時「もう人を攫っちゃダメよ?」
橙たちはわいわいと騒いでいる。
雨花「それにしても自分の未練を使ったゲームを作るだなんて中々面白いね!」
「そ、そうかな?」
雨花「わたしだったら……」
「「未練なんて捨てちゃうからさ」」
雨花は諦めてるかのように言った。
「…………ふふっ、あなたとは生きてる頃に会いたかったな。きっと仲良くできたと想うんだよねぇ〜」
「じゃあ」
「さようなら」
橙「さようなら!!」
桃時「さよなら」
瑠璃人「元気でやれよー!」
兎白「来世こそ寿命を全うにできることを祈ってる」
雨花「…………」
「「あなただけの心からの幸せを願ってるよ!!」」
「!」
「ありがとう!!」
こうして、幽霊の女の子は成仏していった。
雨花「…………」
橙「…………」
桃時「…………」
兎白「…………」
瑠璃人「…………」
「「どうやって脱出すれば良いんですか・良いの
・良いんだ・良いんだよ?!」
橙たちはあたふたしている。それはそうだろうせっかく脱出できるチャンスを棒に振るったのだから。
雨花「でもまだ解いてない謎……あるよ?」
橙「解いてない謎?」
兎白「あっもしかして」
「「ガラケーか!」」
雨花「そそ!もう充電溜まっただろうし、みに行こ?」
桃時「すっかり忘れてたわ」
瑠璃人「早くみに行こうぜ」
雨花たちは401号室に向かった。
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雨花「えぇとガラケーは……良かった。ちゃんと充電できたみたい!」
橙「私たちのスマホは県外で使えなかったのに、このガラケーは使えるんですね……不思議です」
雨花「あの女の子の強い念力が通じてるとしか今は言えないね」
瑠璃人「おっ!なんかメール来たぞ?」
桃時「どれどれ……」
兎白「『送信元︰401号室』?内容は……」
『雨花たちへ
私の事を助けてくれてありがとう。少しの間だったけど、友達と遊べたような気がして面白かったよ!また来世で……
P.S.例の鍵は遺影の中』
雨花「だそうだy」
橙「ゲットしましたさっさっとここから出ましょうそうしましょう早く早く早く早く」
桃時「あんた落ち着きなさいよ!!」
兎白「しかし、もう外は夜になってるはずだ。早く帰ろう」
瑠璃人「やっと出られる……」
雨花「あはは!じゃあ行こうか!」
その後、雨花たちはシャッターを開け、外へと脱出できた。
雨花「脱出成功!」
橙「まさかのリアルリアル型脱出ゲームでしたね」
桃時「あぁ〜つっかれた」
兎白「よし!帰ろう!」
瑠璃人「今度は本物の脱出ゲームしに行こうぜ!」
橙・桃時「結構です・よ」
瑠璃人「そんなぁ……!」
雨花「でもさ。あながち間違ってなかったよね?」
橙「何がです?」
雨花「ほら、瑠璃くんが言ってたでしょ?」
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橙「どんな脱出ゲームなんですか?」
瑠璃人「病院だよ。病院に入院してる女の子を助けて外に出れば勝ち!どういう風に助けるかはその場で言うみたいだぞ?」
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橙「あっ確かに」
瑠璃人「はいオレ無実〜」
桃時「そもそも脱出ゲームじゃなくてホラーゲームだったじゃない!!」
瑠璃人「いてぇ!耳引っ張んな!」
兎白「でも間違ってはないな」
雨花「あははっ!今日はゆっくり休まなきゃね?」
こうして雨花たちのリアルリアル型脱出ゲームは幕を閉じた。