TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

4話 集う祓い屋タチ



⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯



会場 入口付近


私「 …. 」

名取「 緊張しているのか?」

私「 そんなことは…. 」

名取「 腕を出して 」

私「?」

名取「 基本、君の傍を離れはしないが念の為にまじないを書いておく 」


そう言い、周一さんは私の右腕に不思議な文字を書いた


私「 ふふ、くすぐったい 」

名取「 我慢しろ ….これでよし 」

名取「 さ、行こう 」

私「 はい 」



⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯



会場内


私「 広いですね 」

名取「 妖と人間が集まるからな 」

名取「 ….そういえばこの館、変な噂を聞いたことがあるな 」

私「 噂?」

名取「 前に一度、ここで会合があった時に聞いたんだ 」

名取「 ….あぁ、そうだ。黒部屋だ 」

私「 黒部屋?部屋が黒いってだけ? 」

名取「 俺もそこまで詳しくは知らないが、そんな感じだろう 」

私「 ふぅん 」

?「 おや、名取の若造じゃないか 」

名取「 ….七瀬さん、お久しぶりです ニコッ 」

七瀬「 前々回の会合ぶりだね、最近 やけに力を入れていると聞くが? 」

名取「 そんな事はないですよ スッ 」

私「 …. 」



周一さんは私を隠すように前へ出た

まるで “ この人は見てはいけない ” とでも言うかのように__。



名取「 そういえば、静司さんは今回参加していないのですか?姿が見えませんが 」

七瀬「 何やら、館を一周してくると急に言い出してね 」

七瀬「 全く、困ったお方だよ 」

名取「 それは大変ですね クスッ ….では 」

七瀬「 ? ….名取 」

名取「 …. ピタッ 」

七瀬「 その小さな子は何だい?新しい式か?」

名取「 …. 」


私「 周一さん、私は和田さんの代理ですよ ボソッ 」


名取「 ….すみません、紹介が遅れました 」

名取「 ほら、前に出ておいで 」

私「 …. ペコリ 」

名取「 和田さんが体調不良で来れなくなったそうで、その代理で来た子です 」

私「 羽澄伊吹です 」

七瀬「 羽澄….?」

七瀬「 成程、和田にしては考えたものだ 」

私「 ? 」

七瀬「 私は七瀬、宜しく 」

私「 よ、よろしくお願いします 」



⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯



廊下


私「 緊張した…. 」

私( 人の視線が痛い、なんだか不思議な感覚 )

名取「 お疲れ様 」

名取「 どうする?まだここにいるか?」

私「 私はもう少し…. 」

A「 お、これは名取の若様ではありませんか 」

名取「 あぁ、お久しぶりです 」

A「 よければロビーでお話しませんか?」

名取「 はい、勿論 」

A「 では行きましょう 」

名取「 …. チラッ 」

私「 また後で (口パク) 」



⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯



私『 美凰いる?』


シーーン


私『 美凰?』

私( 寝てるのかな?)




バタバタッ


七瀬「 おい、そっちはどうだ?」

×「 駄目です、いません 」

七瀬「 何処に行ってしまわれたんだ 」


私「 何かあったのですか?」


七瀬「 あぁ羽澄の、いやぁ….次期頭首がまだ見つからなくてね 」

私「 次期頭首?」

七瀬「 もしや何も聞かされていないのかい?」

七瀬「 的場静司という男なのだが 」

私( !….的場 )

私「 私、的場様宛に書類を預かっているんです 」

私「 私も一緒に探してもいいですか?」

七瀬「 ….いいのかい? 」

私「 はい ニコッ 」



⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯



2階


私「 とは言っても…. 」

私( その的場って人の顔も分からないし )

私( 美凰も寝ちゃってるし )


×「 おい、そっちはどうだ?」

×「 妖力が反応しないんだ、式も当てにならん 」

×「 あれほど強い力を持っておられるのに何故だ 」


私「 妖力….?」

私( もしかして、妖力で人を探せるの….? )




私は目を閉じ、強い力へと感覚を研ぎ澄ました



私「 ….こっち 」



⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯



私「 あれ、壁しかない 」

私( 感じるままに来たけど、違かったのかな )

私「 はぁ…. 」


何となく精神的にも体力的にも疲れ、私は壁に体重を預けた


私「 もう帰りたい 」






フワッ




私「 え 」



⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯



名取( はぁ、やっと終わった )

名取「 ….あれ、伊吹? 」


周囲を見渡すが伊吹らしき人影は見えない


名取「 伊吹?伊吹 ~ ?」

七瀬「 名取、ここに居たのか 」

名取「 七瀬さん?」

七瀬「 実は…. 」



七瀬「 彼女も一緒に探してくれているんだ 」

名取「 それで伊吹は今どこに? 」

七瀬「 さぁ、この館にはいるはずだが 」

名取「 この館って…. 」

名取( 広すぎだろ….!)



⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯



ドサッ


私「 ~ ッッ 」

私「 いったぁ 」

私「 あれ、何も見えない….? 」


一瞬、壁がなくなり入り込んだこの部屋

明かり一つなく、自分の手も見えないほどの暗さ






人の恐怖が詰まったような空間





カタン ッ


私「 ビクッ 」

?「 誰です?そこにいるのは 」

私「 え、私ですか? 」

?「 恐らく 」

私「 ….すみません、あまり名乗りたくないです 」

?「 へぇ 」

私「 貴方は?」

?「 俺だけ名乗るのは癪だからパス 」

私「 ….不審者 ボソッ 」

?「 聞こえている 」

私「 …. 」

?「 どうやって此処を? 」

私「 的場様って人を探してて 」

私「 何となく、ここら辺かなって思ったら壁が急になくなったんです…. 」

?「 何となく、ねぇ 」

私「 貴方はいつから此処に?」

?「 噂が気になってここらを周回してたら、この黒部屋を見つけたんだ 」

私「 ここが、黒部屋? 」

私( 名取さんの話は本当だったんだ )

?「 妖怪と人間を隔てる結界が壁にあるせいか、式も役に立たないし連絡も取れない 」

?「 七瀬さんに後で叱られそうだ 」

私「 ….七瀬さん?」



私「 もしかして、貴方が的場様ですか? 」



?「 あぁ、バレたか 」

的場「 俺は的場静司、そっちは?」

私「 ….羽澄伊吹 」

的場「 大人?それとも子供?」

私「 13歳、中1 」

的場「 13….? ふ、あはははは ッ!」

私「 ….そちらは?」

的場「 すみません、つい 」

的場「 俺は高3、今年18になる 」

私( 5つ違い…. )

的場「 伊吹はこの会合へ何をしに?」

私「 和田さんの代理で来ました 」

的場「 和田? 」

的場「 あぁ、廃業寸前と聞いてたあの人か 」

私「 はいぎょう?」

的場「 妖を操る力も見る力もなくなり立場を失うことだよ 」

的場「 ….なんだ、跡継ぎがいたのか 」

私「 私は跡継ぎじゃありませんよ 」

的場「 じゃあ何故従っている?力はあるのだから独立してしまえばいいのに 」

私「 …. 」

的場「 伊吹? 」

私「 …. ッ 、グスッ 」

的場「 …. 」

的場「 泣くと心の気が緩み、妖怪に食べられてしまうよ 」

私「 うるさい 」

的場「 年上に対して随分な口だ 」

私「 大人は嫌い、皆 勝手すぎます 」

的場「 あ、俺もその大人って部類に入る?」

私「 …. 」

的場「 都合のいい時だけ黙秘か 」

的場「 ま、しょうがないよ 」



的場「 人も妖怪も 皆 愚かなのだから 」



私「 よく分かりません 」

的場「 伊吹がもう少し大人になったら分かるよ、きっと 」

私「 的場様と同じ年齢くらいですか? 」

的場「 まぁ、そうだな 」

的場「 クスッ、きっと伊吹は祓い屋なる 」

私「 なりません、断言しないで下さい 」

私「 和田さんの跡継ぎは絶対に嫌 」

的場「 へぇ 」

的場「 じゃあ、的場一門に入る? 」

私「 入らないです 」

的場「 俺なら君の理解者になれるかもしれないのに? クスッ 」

私「 理解者を求めてる訳ではないんです 」

的場「 では何を求めている? 」

私「 …. 」

私「 まだ、分かりません 」

的場「 ま、伊吹にはまだ時間があるし、ゆっくり考えてみなよ 」

的場「 いつでも待っているから 」

私「 期限がなければ一生訪ねません 」

的場「 ….じゃあ伊吹が17になったら、聞きに行こうかな 」

私「 17? 」

的場「 今の俺と同い年 」

私「 分かりました 」

的場「 さて、そろそろ此処を出る策を考えないとな 」

的場「 時間が経ちすぎると一生出られなくなってしまう可能性がある 」

私「 ….え? 」





⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯



黒部屋に閉じ込められた 伊吹 と 的場静司

彼らは無事、黒部屋から抜け出せるのか ??



何も見えぬ空間で交わした約束



4年という月日は彼女をどう縛るのか__?

どう生きていくのか__?



next*

妖 ト 人間__。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

507

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚