5話 迫りクル時間
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私「 出られなくなる….?」
的場「 せめて灯りがあれば何か見つけられるかもしれないけど 」
的場「 それは難しそうだ 」
私「 的場様、今どこにいますか? 」
私「 一度合流しましょう 」
的場「 ….伊吹、壁はある? 」
私「 右手にあります 」
的場「 よし、そのまま壁に沿ってこちらに 」
私「 はい 」
的場「 あ、歩数は数えて 」
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・
・
私「 24、25、26…. 」
私「 何だろう、これ? 」
私は左手で何かを触る
私( 髪かな?でも誰の….? )
的場「 俺の頭だ、撫でるな 」
私「 あ、すみません 」
私「 隣 座ります、失礼しま…. うわぁッ!」
ゴンッ!!
私・的場「 ~ ッッ 」
私「 本当にごめんなさい 」
的場「 ふは ッ 」
的場「 あはははは ッ! 」
私「 ….何か? 」
的場「 いや、悪い 」
私( 私、そんなに面白いこと言ったっけ )
昼間、周一さんに思い切り笑われた光景を思い出した
私 ( 周一さんと離れるべきじゃなかったかな )
私「 あ ッ 」
その時、私はふと思い出した
周一さんが私の右腕に何かを書いていたことを。
私「 そういえば、周一さんが腕にまじないを書いていたような…. 」
的場「 周一さんが? 何を書いたか分かる?」
私「 私に分かると思いますか? 」
的場「 ….全く、周一さんの抜けてる所だ 」
的場「 そのまじないが書いてある腕を出して 」
私「 ? 」
ガリッ
そう鈍い音が聞こえた時、私の腕に何かが落ちた
私「 え 」
的場「 大丈夫、俺の血だから 」
私「 血、?」
次の瞬間、ふっと何かが通り過ぎる風を感じた
的場「 行ったか 」
私「 何をしたんですか 」
的場「 まじないを発動させた 」
的場「 伊吹に術の呪文を伝えてないとなれば、恐らく血や涙で反応するものだと思ったんだ 」
的場「 さっき伊吹が泣いた時、術が発動しなかったしね 」
私「 あの ッ 」
的場「 伊吹 」
人の血が怖かったら妖と関わるべきじゃない
的場「 自分を犠牲にするか、力をつけて強くならないと 」
的場「 何にも守れないよ 」
私「 …. そうじゃない 」
的場「 ? 」
私「 私は、的場様の血を使う必要はなかったと言いたいんです 」
私「 言ってくれれば、自分の血を使いました 」
私「 ….自分を大切にして下さい 」
的場「 …. 」
私「 的場様、聞いてますか? 」
的場「 聞いてるよ 」
私「 本当に?」
的場「 あぁ 」
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バタバタッ (足音)
名取「 伊吹、どこだ ~ !」
私「 名取さん….!? 」
的場「 伊吹、26歩左へ 」
私「 分かりました 」
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・
・
的場「 周一さん、聞こえますか?」
名取「 誠司?….あぁ聞こえる!」
的場「 突き当たりの横壁に隠し部屋があって、閉じ込められました 」
的場「 外に呪符などありますか? 」
名取「 ….いや、なさそうだ 」
的場( やはり内側か )
的場「 周一さん、灯りを持って中に入ってくれませんか? 」
的場「 まぁ、妖力が入れるに値するか分かりませんが ニコッ 」
名取「 一言要らんことを言うな!」
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名取「 誠司、灯りを…. って暗 ッ! 」
的場「 やぁ、周一さん ヒラッ 」
私( あ、顔…. )
的場「 ニコッ 」
名取「 伊吹、無事で良かった 」
的場「 周一さん、俺の心配は? 」
名取「 知らん 」
名取「 ….それより、解呪できるのか? 」
的場「 えぇ、恐らく 」
的場「 部屋を一周してみよう 」
名取「 ….で?」
名取「 何で俺が先頭なんだ 」
的場「 血出したら痛くて クスッ 」
名取「 ….!」
的場「 駄目じゃないですか、使わせるなら方法を伝えておかないと。」
名取「 悪い、世話をかけたな 」
的場「 あはは、何だか素直ですね 」
名取「 うるさい 」
的場「 ….伊吹 」
的場様はそっと手を出した
私「 ? 」
的場「 手を 」
私「 結構です 」
的場「 はぐらたらどうする グイッ 」
そう言い、半ば強引に手を繋がされた
的場「 さ、行こう 」
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名取「 それにしても広いな 」
的場「 ゴホッゴホッ 」
名取「 誠司?」
的場「 ….あぁ、そうですね 」
名取「 大丈夫か? 顔色が悪いぞ」
的場「 部屋が暗いからでしょう?気にしないで 」
的場「 それより、術の根が分かりました 」
名取「 なに?」
的場「 ニコッ 」
的場「 これは呪符とかの類ではなく、妖怪の中らしい 」
名取「 妖怪の中?」
的場「 周一さんも何だか息苦しさを感じない?」
名取「 ….ほんの少しだけどな 」
的場「 入ってきた人間の妖力を吸い取って力を持ち続けているらしいね 」
的場「 この妖怪を祓えば、部屋から出られるよ 」
名取「 じゃあ祓う準備を…. 」
的場「 周一さん、これを使って スッ 」
名取「 俺一人でやれって事か?」
的場「 なに周一さん、怖いの?」
名取「 …. ムッ 」
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的場「 ふぅ / ストン 」
私 ( 隣に座る
私「 的場様、顔色悪いですよ 」
的場「 さっき周一さんにも言われた 」
的場「 伊吹は大丈夫?」
私「 はぐらかさないで下さい 」
的場「 あはは、そんな事ないって 」
名取「 準備ができた、始めるぞ 」
的場「 えぇ、頑張ってください 」
私「 あれが、陣?」
的場「 クスッ 、見るのは初めて? 」
私「 はい 」
的場「 成功するか否か…. 見ものだ 」
私「 失敗する時もあるのですか?」
的場「 当然。祓い屋は命が幾つあっても足りないからね 」
的場( それに周一さんの妖力がどれだけ残っているか…. )
名取「 ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯…. 」
名取「 名を呼びて応えたるは色もなし 器たるやこの紙にて 器汚す者を はじかれよ 」
その瞬間、私達は光に包まれた
私「 ….? 」
私( 変わってない?)
名取「 ハァッ、ハァッ 」
的場「 失敗か 」
的場「 周一さん、もう妖力少ないみたい 」
名取「 知っている、だがやらなきゃ出れないだろ 」
的場「 さて、どうしたものか 」
名取「 ….もう一度やってみよう 」
的場「 やめた方がいい、身体が持たないよ 」
名取「 だったら!お前がやれば ッ 」
的場「 …. / ズルッ 」
ドサッ
名取「 せ、誠司….?」
私「 的場様?」
的場「 ….ごめん、ここに居る時間が長すぎた 」
的場「 横になればすぐに良くなると思うよ 」
名取「 何ですぐに言わなかった!」
的場「 周一さんだって、入った時に妖力が抜かれる感覚はあったでしょう 」
的場「 並の祓い人ならきっともう…. 」
名取「 …. 」
的場「 ….すみません 」
名取「 全く ….少し寝てろ 」
名取「 そういえば、伊吹は大丈夫なのか?」
私「 はい、今のところは 」
的場「 ねぇ周一さん 」
名取「 ん?」
的場「 伊吹にやらせてみようよ 」
名取「 ….は?」
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妖力が吸われ続けている 三人
残る体力も限界に近づく。
彼らは無事、妖を祓えるのだろうか__?
しかし 、
なぜ 伊吹 には影響が無いのか ??
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コメント
1件
伊吹ちゃんにはどうして影響ないんだろう?続き気になります!!!