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翔太 side
バスタオルに包んで抱き抱えてベットまで運ぶ。
初めて入る彼女の部屋は当たり前だけど〝鈴ちゃん〟の匂いで充満していて、一度達した体が再び熱を帯びたのを感じた。
翔太 鈴ちゃんの匂いでいっぱい♡幸せ
彼女の頬を愛おしく撫で、真っ直ぐ見つめる僕に、恥ずかしいのか目を逸らした。
翔太 こっち向いてよ
涙が頬を伝って流れている。唇を噛んで声を押し殺して静かに泣いている。
鈴花 side
真っ直ぐ見つめる彼の視線が心に突き刺さる。どうして自分はこんなに汚いんだろう。彼に出会うまでの自分は穢れる事で自分を保ってきたのに、その行為が今まさに己を苦しめていた。
翔太 大丈夫だよ大丈夫
魔法の言葉みたいに彼が唱えると不思議と心が落ち着いた。
彼の胸に抱きついて背中に腕を回すと、温かくて安心する。心臓が脈打つ音を聞きながら、とめどなく溢れる涙を、嗚咽を掻き消すように唇を噛み締めて一層強く腕に力を込めた。
彼は魔法の言葉を唱えながら頭を撫でてくれる。こんな年下の彼に自分を曝け出して甘える日が来るなんて。
翔太 鈴ちゃん唇噛まないで
そう言って唇を塞いだ彼は優しい目で私を見下ろす。その優しさに溺れ、また涙が頬を伝って流れた。
彼が押し倒そうと肩に触れると痛みが走った。血が滲み擦れている。悲しい顔をした彼の顔を直視できない。
シーツを引き寄せ〝穢れた身体〟を隠した。
鈴花 ごめんなさい、ごめんなさい
はぁーっとため息をつく彼。顔を見れない・・・きっと呆れて穢らわしいモノを舐め上げるように見ているんだ。だって
〝穢れているから〟
彼はベットから降りるとリビングの方に消えていった・・・嫌われた。当たり前だこんな汚い女、、、
翔太 鈴ちゃん、じっとして?
顔を上げるとニコニコと笑顔の彼が消毒薬とガーゼを抱えて戻ってきた。
翔太 勝手に引き出し開けちゃった。ごめんね
そう言って鎖骨の擦り傷を手当てすると頭を撫でた。
翔太 これでもう大丈夫^ ^他に心配事は?
鈴花 どうしてそんなに優しいの?こんなに最低な人間なのに
翔太 何で?鈴ちゃんは素敵な人だよ。魅力的で綺麗で可愛い
鈴花 そんな事ない。汚くて 穢れてる 真っ直ぐなあなたの視線が怖い
翔太 あなたじゃない。翔太だよ。僕が好きなんだ!鈴ちゃんを好きな僕が言ってるんだから。
自分の評価なんていらないだろう?自分を嫌いにならないで。
鈴花 あなたが好きだから怖い、、、失うのが、、、嫌われるのが怖い
翔太 僕を感じて?何処にも行かない、嫌いになったりしないから
ふたり繋がれば、〝温もり〟〝快感〟〝痛み〟 『生』 を感じられた。同時に『恐怖』も、、、
恐怖を打ち消すように、何度も肌を重ね繋がった。
ふたり果てても尚、傷だけはズキズキと疼いた。
寝返りを打つと鎖骨の傷が痛んだ。彼を起こさないように体を起こすと手当てしてくれたガーゼの隙間から傷跡を確認した。
どちらが付けたか識別できないキスマークが擦り傷の中にまだあって主張してくる
〝 穢れたモノ〟の成れの果て
『普通』じゃいられないのだと烙印を押された、、、
グッと力込めて傷跡を押すと痛みが走った。
私には必要な痛みなのだと感じ、何度も服越しに傷跡を擦っては押した。
声を押し殺しては泣く。いつもと変わらない朝だ。
翔太 やめて鈴、いい加減にしな
そう言って私の手首を掴み自傷行為を止めた彼が後ろから抱きつき、我に帰る。どうしたら楽になれるんだろう?過去は変えられないし、彼を好きだということも消えない。
鈴花 しょうた
翔太 なぁに?
鈴花 好き
目をまん丸にして顔を覗き込む彼はもはや〝子犬〟そのもので思わず髪の毛をわしゃわしゃと撫でた。
翔太 もう一回言って♡今度は僕の目を見て言って
鈴花 ////ッ 大好き しょッわぁッ
腰に抱きつき私を横に倒すと〝もう一回もう一回言って〟子供が駄々を捏ねるように何度も〝好き〟を求めた。
私も彼のように真っ直ぐと生きたい。傷を背負いながらも逞しくいつまでも並んで歩けるように。