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第六話:ロシアの懐の深さと過去の片鱗
中国との合同演習を終え、ルーナは少しだけ自信を取り戻していた。そんなある日の夜、突然玄関の扉が叩かれた。
🇷🇺「ソルグ!いるか!?俺だ!ロシアだ!」
豪快な声に、ソルグは慌てて扉を開けた。そこには、ウォッカのボトルを片手に、満面の笑みを浮かべたロシアが立っていた。
☀「ロシアさん!どうしたんですか、こんな夜中に!?」
🇷🇺「どうしたもこうしたも、お前とウォッカが飲みたくなったんだ!今日はとことん付き合ってもらうぜ!」
ロシアはそう言うと、勝手に家の中に入り、テーブルにウォッカのボトルを置いた。ルーナはロシアの勢いに圧倒され、ソルグの背中に隠れてしまう。
☀「ルーナ、すまないな。でも、このウォッカは最高だぜ!」
ソルグはルーナを落ち着かせると、ロシアと向かい合って座り、ウォッカを飲み始めた。
数杯のウォッカを空けた頃、ロシアは少しだけ真剣な表情になった。
🇷🇺「なあ、ソルグ。お前は本当にいい兄貴分だな。ルーナを大切にしているのが、よくわかる」
☀「そんな…俺は、ただ…」
ソルグはグラスを手に持ちながら、言葉を詰まらせた。彼の脳裏には、父親と恵まれた環境で過ごした8年間と、ルーナが苦しんだ8年間が交互に蘇っていた。
☀「俺は…ルーナが苦しんでいる間に、何不自由ない生活を送っていました。父親に次期統治者として厳しくも愛情を持って育てられ、陸軍と空軍の知識を叩き込まれた。でも…その間、ルーナは…」
ソルグは、ルーナが虐待を受けていた過去を話した。言葉を紡ぐたびに、彼の心に深い後悔の念が押し寄せる。
☀「俺がもっと早くルーナを迎えに行っていれば…俺がもっと、ルーナのことを考えていれば…ルーナはあんなに苦しまずに済んだのに…」
ソルグは涙を浮かべながら、グラスの中のウォッカを見つめた。
ロシアは、そんなソルグの姿を静かに見ていた。そして、豪快な笑い声を上げ、ソルグの肩を力強く叩いた。
🇷🇺「ハハッ!何を言っているんだ、ソルグ!過去のことを悔やんでも、何も変わらないだろう!」
ソルグはロシアの言葉に、少し戸惑った。
☀「…ロシアさん…」
🇷🇺「お前が今、ルーナのことを大切に思っている。ルーナを幸せにしようと努力している。それで十分じゃないか。過去は過去だ。大事なのは、これからだ!」
ロシアの言葉には、ウォッカの豪快さとは異なる、深い優しさが感じられた。彼は、続けて言った。
🇷🇺「ルーナの海軍の指揮能力は、お前が想像する以上に素晴らしい。あいつは、孤独な8年間で、自分だけの世界を築き上げた。それは、誰にも真似できない才能だ。お前は、その才能を活かしてやればいい。ルーナを、お前とルーナの国を、守ってやればいいんだ」
ロシアは、ソルグのグラスに再びウォッカを注いだ。
🇷🇺「お前には、俺がいる。中国もいるし、アメリカも日本もいる。みんな、お前たちのことを応援している。だから、一人で抱え込むな。頼れる仲間がいることを忘れるな」
ソルグは、ロシアの言葉に胸が熱くなった。豪快な言葉の裏にある、深い友情と優しさ。彼は、ロシアという国の懐の深さに触れた気がした。
☀「ロシアさん…ありがとうございます…!」
🇷🇺「礼はいらない。さあ、ウォッカだ!明日のことなんか考えるな!今を生きるんだ!」
二人は再びグラスを重ねた。ルーナは、離れた場所から二人のやり取りをそっと見ていた。ソルグの涙と、ロシアの優しさ。彼女は、ソルグがどれだけ自分のことを大切に思ってくれているのかを改めて感じ、胸を温かくした。そして、ロシアがソルグにかけてくれた言葉に、心から感謝した。
(続く)
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