とりあえず俺たちは北へと足を運ぶことにした。
現世にいた頃から怠け癖のあった俺にとって、こんなゴールの見えない運動をするのは懲り懲りであった。
道中では敵にも頻繁に会うし、虫なんかもいっぱいいた。
気持ち悪くて気持ち悪くて仕方ない。
⚡️「ここからさらに北に進んでいくと村があるみたいだぞ。」
村?村があるの??
新しい人工土地に踏み入れるのは初めてだからワクワクする。
👾「ほんとに!?え!!!早く行こ!!」
⚡️「最初からそのつもりで進んでるわ(笑)」
👾「先に言えや。」
⚡️「え、こわ、なに?反抗期?」
👾「喧嘩売ってる?ちょっと痛めのグーで行こか?」
⚡️「忘れたのか?俺は僧侶だぞ?自分で回復できるんだぞ。」
👾「あっ、そうだった…。」
こんなくだらない会話をしていると目の前に何か大きな生き物が現れた。
どうせまたスライムだろうと思っていた。
しかし、やけに実体がしっかりしていて、どう頑張ってもスライムには見えない。
❗️「ゔがぁぁぁぁ!!!!!」
絶対スライムじゃない。終わったわ。
もう死を悟ったよ。
⚡️「おい!はるー!!こいつは今の俺らじゃ太刀打ちできない!!逃げるぞ!!」
👾「え、ちょ、まって」
急かすなよ!!!ちょっと落ち着けって!!!
何とか逃げきれた。
👾「あいつは一体何だったんだ?妙に大きかったし、変な雄叫びまであげてたけど。」
⚡️「あれはゴブリンだろうな。こんぼうみたいなのも持ってたし。今、あんなのにひと殴りでもされちまったら他界他界しちまうぞ。」
ゴブリン…。とんでもないな。
👾「そ、そうなのか。これからは気をつけて進まないとだね。」
怖すぎて手足の震えが止まらなかった。
俺たちはさらに北へと突き進んで行った。
無事に村に辿り着いた。
👾「ここが村か〜!!なんか治安悪そうだね。」
⚡️「おい、そんな失礼なこと言うな。」
銃弾が撃たれた形跡のある壁や天井。
あまり手入れのされていないサボテンなど。
明らかになにかあるだろうと思われる雰囲気だった。
👾「人探そうよ。」
⚡️「そうだな、あそこの居酒屋っぽいとこ行ってみるか。」
確かに斜め前辺りに居酒屋らしき店があった。
看板にはどこかの知らない言語で文字が書かれていた。
カランコロン~。
「いらっしゃい。そこのカウンターに座りな。」
入るとすぐにマスターらしき人に席へ誘導された。
隣にはもう1人お客さんがいた。
腰には拳銃を掛けて、背中にはスナイパーのような銃を背負っていた。
見るからに喧嘩売ったらヤバそうなタイプだったので話しかけないようにしていた。
👾「なんか隣の人やばくね」
⚡️「黙れ、聞かれたらどうするつもりだ」
怖い。怖い。
🍯「どうしたの。私に何か用?」
聞かれてたーーーーーーー!!!!!
終わったーーーーーー!!!!
👾「い、いやいや!!な、なんでもないです!!」
🍯「どうしてそんなに怖気付いてるの?私、そんなヤバい奴に見える?」
あれ…?なんか思ってたより優しそうな…?
🍯「私の名前は“はにけーき”。ガナーをやってるの。」
👾「ガナーって何ですか…?」
⚡️「銃使いのこと。だから銃を装備しているんだと思うぞ。」
🍯「そうそう。」
銃使いか…かっこいいなー!!!
俺も銃を使いこなせたらモテてただろうな。
🍯「いっちょ前に剣なんて背負ってるけど君たちは何の職なの?」
👾「俺は勇者…らしい。」
⚡️「俺は僧侶。人を癒すのが趣味でな。」
🍯「勇者に僧侶ね。なかなかの面構えね。」
なんか褒められた?これ褒めてるよね?
せっかくだし、この人も仲間にできないかな?
銃使いなんていたら遠距離戦もかなり有利になると思うんだけど。
👾「今、一緒に冒険する仲間を集めてるんだけど、はにさんも良かったら仲間に…なんちゃって(笑)」
🍯「私が君たちと一緒に旅ねぇ。今、探し物をしてるの。それを見つけてくれたらついて行ってあげるよ。」
え?さっそく条件付きで、挙句にパシられる感じ?
嘘でしょ?そんな俺、身分低そうに見える?
👾「わ、わかった!その探し物ってのはなに?」
🍯「私のベレー帽。黄緑の大きめのやつなんだけど。大切にしてたのに風で飛んでいっちゃってね。」
ベレー帽…?ガナーにベレー帽…?本当に必要なのか…?
🍯「この村のどこかにあるはずなの。私はここで待ってるから探してきて。」
👾「おっけええええい!!!!!」
とりあえず大きな声で返事して店を出た。
⚡️「お前、さっそくパシられてるじゃねえかよ(笑)」
👾「うるさいな、ガナーなんて味方になったらすごい強くなるじゃん?だからどうしても…。」
⚡️「まあそうだな。とりあえず早く見つけようぜ。」
まだ見慣れないこの村で帽子探しか。
何のための冒険なんだろうか……。