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第28話「ヴェール・バインドの影」
🚀 シーン1:闇に潜む敵
夜の静寂を破るように、ゼインたちは市街地の裏道を駆け抜けていた。
空には薄雲が広がり、月明かりを遮っている。
ゼインは黒のジャケットを翻しながら、慎重に周囲を警戒する。
その隣を走るナヴィスは、青い瞳を光らせながら口を開いた。
「……妙だな」
「何がだ?」
ゼインが息を整えながら尋ねると、ナヴィスは険しい顔をして答える。
「ヴェール・バインドの気配が……近いのに、動きがない」
ゼインも違和感を覚えていた。
確かに、敵の監視は感じるが、通常ならすぐに襲いかかってくるはずの部隊が、今は影に潜んでいるだけだった。
その時——
カチッ
乾いた音が響くと同時に、ゼインの背後で金属の塊が飛び出してきた。
「伏せろ!!」
ナヴィスが叫ぶと、ゼインは反射的に地面に転がる。
次の瞬間、爆発音と共に火花が弾け、鋭い針のような破片が周囲に散る。
「ちっ、罠か!」
ゼインはすぐに立ち上がると、腕に碧色の光をまとわせた。
ヴェール・バインドは、すでに戦闘態勢に入っていた。
🚀 シーン2:新型兵器の襲撃
暗闇の中から、ヴェール・バインドの兵士たちが姿を現す。
彼らは黒の戦闘スーツを身に纏い、その手には見たことのない銃が握られていた。
「碧族、発見。制圧を開始する」
冷たい電子音が響く。
ゼインは敵の装備を一瞬で分析した。
その銃は、通常の弾丸ではなく——
「……アンチ・フラクタル兵器か」
碧族のフラクタルを無効化する特殊な装備。
ヴェール・バインドの開発部門が作り出した、対碧族専用の武器だ。
「厄介なモン持ち出してきやがったな……」
ナヴィスが歯を食いしばりながら、両手を広げる。
次の瞬間、彼の体を中心に碧色の光が展開される。
「《リバースバリア》!」
ヴェール・バインドの兵士が引き金を引く。
青白い光弾が発射され、ゼインたちへと向かう——しかし、そのすべてがナヴィスのバリアに弾かれ、逆に兵士たちへと跳ね返った。
「なっ!?」
驚く兵士たち。
ゼインはその隙を見逃さなかった。
「——やらせねぇよ」
ゼインの体に、碧色の光が集まる。
彼は瞬時に前方へ踏み込み、拳を振るった。
「《オーバーライド》!」
ゼインの拳が兵士の銃へと触れた瞬間——
銃が青い光を帯び、コードが改変されていく。
「機能停止……?」
兵士が戸惑う間もなく、ゼインは彼の腹部に蹴りを叩き込んだ。
兵士は吹き飛ばされ、地面に転がる。
🚀 シーン3:ヴェール・バインドの本命
「ハッ、思ったよりザコいな」
ナヴィスが余裕の笑みを浮かべる。
だが——
カツン……カツン……
硬いブーツの音が、静寂の中に響く。
「——お前ら、楽しそうだな」
ゼインはその声に反応し、素早く振り向く。
そこには、ヴェール・バインドの”精鋭”が立っていた。
漆黒の強化スーツをまとい、顔の半分をマスクで隠している男。
彼の右腕には、フラクタルを無効化するナイフが握られていた。
「この前の襲撃で生き延びたようだな……」
ゼインは、その男の装備を一瞬で見極める。
——普通の兵士とは明らかに違う。
「ナヴィス、コイツは……」
「わかってる。”ガーディアン”クラスだ」
ヴェール・バインドの上位戦闘部隊、”ヴェール・ガーディアン”。
通常の兵士とは格が違う、エリート集団だ。
男はナイフを持ち替え、構えを取る。
「さて、お前らがどれだけやるのか……試させてもらうぜ?」
そして、次の瞬間——
“一瞬でゼインの目の前に現れた”
「速ぇ……!!」
ゼインは反射的に防御姿勢を取るが、すでに男のナイフが振り下ろされていた。
ギィンッ!!
ゼインは咄嗟に腕を上げ、碧色のエネルギーを纏わせる。
ナイフの一撃を受け止めるが、衝撃が全身を走る。
「チッ……!」
ナヴィスが素早く動き、**《フォールトシフト》**を発動させた。
次の瞬間、ゼインと男の位置が瞬時に入れ替わる。
「——もらった!」
ゼインは即座に拳を振るう。
しかし——
「甘いな」
男はゼインの拳を軽く受け流し、逆にナイフを突き出してくる。
「クソッ……!!」
ゼインは後方へ飛び、距離を取る。
「ナヴィス、どうする?」
「……こいつ、並の敵とは違う。二人で連携するしかねぇ」
男は冷たい目でゼインたちを見つめ、言った。
「さぁ、もっと楽しませてくれよ——碧族」