テラーノベル
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午後の講義が終わった頃。
窓の外は土砂降りだった。
🦈「……うわぁ」
こさめは思わず声を漏らした。
朝は晴れていたから完全に油断していた。
傘なんて持ってきていない。
スマホで天気予報を開く。
しっかり雨マーク。
🦈「終わった……」
同棲中のみこちゃんからも、朝。
👑『傘持った?』
と、言ってたような気がする。
その時のこさめは寝ぼけていて、
🦈『んー』
としか返していない。
当然、持っていない。
🦈「怒られるかな……」
いや、怒られはしない。
みこちゃんはそういうタイプじゃない。
たぶん、
👑『だから言ったのに〜』
って笑われる。
それはそれで悔しい。
こさめはため息をついた。
大学から家までは電車で三十分くらい。
駅まで歩けばなんとかなる。
濡れるけど。
まあ、帰れなくはない。
🦈「……行くかぁ」
鞄を抱え、校舎の出口へ向かう。
雨は相変わらず激しい。
一歩踏み出そうとしたその時。
👑「こさめちゃんー!」
聞き慣れた声。
顔を上げる。
雨の向こうから大きな傘を持ったみこちゃんが走ってきていた。
🦈「……え?」
こさめは思わず固まる。
みこちゃんはこさめの前まで来ると、ほっとしたように笑った。
👑「間に合った」
🦈「なんでいるの」
👑「迎えに来た」
当然みたいに言う。
🦈「なんで」
👑「傘忘れたでしょ」
🦈「……」
👑「忘れたんだ」
みこちゃんがにやっと笑う。
図星だった。
👑「だから来た」
🦈「別に濡れて帰れたし」
👑「だめ」
即答。
👑「風邪引くじゃん」
🦈「引かないし」
👑「引く」
🦈「引かない」
👑「引く」
🦈「……」
👑「引く」
断言された。
こさめはちょっとだけ負けた気分になる。
👑「ほら」
みこちゃんが傘を傾ける。
👑「帰ろ」
その笑顔を見ると断れない。
🦈「……ありがと」
👑「どういたしまして」
嬉しそうな返事だった。
駅までの道。
二人で一つの傘に入る。
自然と距離が近くなる。
肩が触れるたびに、みこちゃんはなんだか機嫌が良さそうだった。
👑「こさめちゃん」
🦈「なに」
👑「今日も可愛いね」
🦈「雨の日に言うことじゃないでしょ」
👑「いや、毎日言ってる」
🦈「知ってる」
本当に毎日言う。
朝起きても言うし。
ご飯食べてても言うし。
ぼーっとしてても言う。
みこちゃんの中では呼吸みたいなものらしい。
🦈「でも迎えに来るとは思わなかった」
こさめがぽつりと言う。
みこちゃんは少し首を傾げた。
👑「だって心配だったし」
🦈「大げさ」
👑「大げさじゃないよ」
みこちゃんは笑う。
👑「こさめちゃん、無理するじゃん」
🦈「してない」
👑「する」
言い切られた。
👑「絶対びしょ濡れになって帰ろうとしたでしょ」
🦈「……」
👑「ほら」
🦈「……まあ」
👑「ね?」
当てられてしまった。
みこちゃんは満足そうに頷く。
👑「だから迎えに来た」
🦈「優しすぎ」
👑「好きだからね」
さらっと言う。
こさめは思わず顔を逸らした。
🦈「その言葉便利だね」
👑「便利じゃないよ」
みこちゃんが少し笑う。
👑「本当に好きだから」
その声はやけに優しかった。
雨音に混じって耳に残る。
電車を降りて家へ向かう途中。
みこちゃんがふと立ち止まった。
🦈「ん?」
👑「こさめちゃん」
🦈「なに」
みこちゃんはこさめの前髪を指先で軽く整える。
少しだけ濡れていたらしい。
👑「やっぱ濡れてる」
🦈「ちょっとだけ」
👑「帰ったら温かいの飲もう」
🦈「ん」
👑「ココア?」
🦈「飲む」
👑「よし」
みこちゃんは満足そうに笑った。
その顔を見ていると、なんだか胸の奥が温かくなる。
🦈「……みこちゃん」
👑「ん?」
🦈「迎え来てくれてありがと」
今度はちゃんと目を見て言う。
一瞬だけ、みこちゃんが固まった。
👑「……」
🦈「なに」
👑「嬉しい」
🦈「なんで」
👑「こさめちゃんが素直だから」
🦈「別に普通だし」
👑「可愛い」
🦈「それ禁止」
👑「無理」
即答だった。
そして家に着くまでの間。
みこちゃんはずっと上機嫌で、こさめの肩が濡れないように傘をこっちへ傾け続けていた。
リクエストくださぁぁぁぁぁぁぁい!
コメント
7件
桃黄見れたりしますでしょうか? 幼少期のお二人が見たいです、、(((変態 風船が取れなくなって〜的なのお願いします💕
黄×水+紫で嫉妬みたいです🥹
雨の中を迎えに来るみこちゃん、優しすぎて泣けるわ……「好きだからね」ってさらっと言えるのずるい。こさめちゃんが素直にお礼言ったところもグッときた。肩が触れる距離感とか、傘を傾けるみこちゃんの気遣いにほっこりした〜☺️ 藍翠さんの描く二人の空気感、好きすぎる。続きも楽しみにしてます!
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