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太宰side
私は、暗闇の世界から光が当たる世界へ出て来たことは後悔していない。
だが、手紙だけを残してしまったことは後悔している。
(中也、怒ってるよね。でも中也は私のこと嫌いだから嬉しく思ってるかな?)
太宰は歩きながら考えた。
太宰が向かっていた場所は、緑の茂った山道の只中に、海の見える墓地だった。白く小さく、名前の刻まれていない墓標の前に太宰は立っていた。そこは抗争で死んだ友人の墓標だった。
「織田作、ありがとう。」
太宰はそれだけを言い、その場を去った。
太宰は、武装探偵社、(人助けが出来るところ)
の社員になった。
長い月日が経ち、武装探偵社に新しい社員が来た。中島敦と泉鏡花だ。二人も探偵社に馴染んできた。
(二人の仕事を見ていると、あの頃を思い出すなぁ。)
「太宰さん、ぼーっとして大丈夫ですか?」
「あー、敦くんか。いや、ちょっと昔のことを思い出していたのだよ。」
「そーいえば、太宰さんって前の仕事何してたんですか?」
「秘密さ、当ててみたらどうだい?」
「んー?難しいですね…。」
「わかったら教えてくれたまえ。」
そんなふうにして、太宰は新しい人生を送っていた。